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クエリ検索: インフラメンテナンス実践研究論文集
165件中 1-20の結果を表示しています
  • 後藤 幹尚, 岩波 光保, 千々和 伸浩, 津野 和宏
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 116-125
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     跨線橋の定期点検では,鉄道の運行が終了する夜間に実施する場合が多く,点検に要する資機材等の搬入出や,き電設備等への防護設置等の時間も要するため,点検実務に割ける時間が少ない.その上,各鉄道事業者による軌道や電気設備等の保守作業もあることから,橋梁点検を実施できる日の決定には制約を受ける.また,架け払いの足場などを用いて点検を実施する場合には,橋梁点検員以外の人員が多く必要となり,その結果,点検以外の費用も多く要する等の課題もある.これらの課題に対して効率的に取組む必要があり,その一つとして新技術の活用が想定されるが,これのみでは改善できる範囲に限りがある.そこで本論文は,跨線橋の定期点検における予算編成から点検の実務までにおいて取り組んできた効率化の実態を示すとともに,今後の更なる効率化に向けた展開についても示した.

  • 後藤 幹尚, 川越 貴水, 浅野 和香奈, 後藤 朋子, 多和田 俊介, 岩波 光保, 千々和 伸浩, 津野 和宏
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2023年 2 巻 1 号 11-20
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/20
    ジャーナル フリー

     次世代の橋梁長寿命化修繕計画の実践を通じて,ライフサイクルコストの縮減による効果には限りがあると考え,社会インフラの実態を十分に周知した上で,これらの存在によって得られる恩恵をより広げることが重要であると考えている.そこで,現代における橋の新たな価値を創造し,この価値から社会活動や日常生活の向上等に資する橋のみを守り,場合によっては新たな機能を拡充した橋へと更新することで,橋の存在によって新たな恩恵を享受することができる.本論文は,メンテナンスの区民協働を通じて橋の新たな価値を創造するために,広報活動とアンケート調査を実施し,この調査結果を報告するとともに,メンテナンスの区民協働の実践に向けた課題と今後の展開について示した.

  • 後藤 朋子, 後藤 理沙, 後藤 浩, 後藤 幹尚, 藤森 竣平, 岩波 光保, 千々和 伸浩, 津野 和宏
    インフラメンテナンス実践フォーラム
    2024年 1 巻 1 号 50-57
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     大田区では,橋のメンテナンスを通じた区民協働による橋の新たな価値創造に向けて,シェリー・アーンスタインによる「住民参加の階段」を踏まえ,橋に関する情報発信に取り組んでいる.令和4年度には,大田区全域に向けた広報紙による情報発信およびアンケート調査を実施した.その結果からは,橋に対する一定程度の関心が伺えたものの,実際に橋のメンテナンスに参加することに対する抵抗感も垣間見えた.今後,橋のメンテナンスの区民協働につなげるためには,まずは“あって当たり前”の存在となっている橋そのものに意識を向けてもらうこと,年齢や世代に見合った情報発信を行い,発信のみの一方通行ではなく相互理解につなげる対話をすることが必要と考え,①橋の存在そのもの,②橋を支える技術や人に対する意識付けおよび③年齢に応じた意識付け活動を実践した.本稿では,より日常生活に密着した身近な存在としての橋に意識を向けてもらうために実践した取り組みについて報告する.

  • 神林 慶哉, 山崎 花菜穂, 福井 航, 平澤 周一, 榎本 泰典
    インフラメンテナンス実践フォーラム
    2024年 1 巻 1 号 20-25
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     東日本旅客鉄道の保線部門では,毎年多くのレールを交換しており,大宮保線技術センターでは2022年度に約4,200RMのレールを交換している.現在,レール交換計画を策定する際には,現場で交換延長の測定やレール溶接位置の確認,交換時における支障物の確認などを行っており,調査に多くの人件費と労力を費やしている.そこで,線路設備モニタリング装置の効率的活用の観点から,同装置から得られる画像データを活用したレール交換計画の策定手法の検討を行った.本稿では,研究から得られた知見や展望について紹介する.

  • 品川 恒平, 大野 良輔
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 99-105
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     JR 東日本では軌道のメンテナンス作業の軽減を図ることを目的にTC型省力化軌道の敷設を進めている.2019年4月からは第5期工事として,首都圏本部のみならず横浜支社,八王子支社,大宮支社の東京30km圏内の主要線区に敷設を拡大している.横浜支社管内の敷設区間の中でも川崎保線技術センター管内の一部区間が50kgNレールであることから,60kgレールに変更して軌道の耐力を向上させる重軌条化をTC型省力化軌道敷設工事と併せて実施している.重軌条化施工区間は主にロングレール区間であり,また横取り装置,伸縮継目,踏切,橋りょうなどが介在していることから重軌条化を行う上で施工方法を入念に検討する必要があった.本稿ではこれまで実施してきた施工に関する主な取組みについて報告する.

  • 大坪 千夏, 寺山 一輝
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 90-98
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     地方自治体では,財政の逼迫・技術者不足が深刻化しており,すべての橋梁を健全な形で維持することは困難である.こうしたことから,近年,橋梁のトリアージによるメリハリのある維持管理が注目されている.本研究は,石川県輪島市をケーススタディ地域として,橋梁の補修による片側交互の通行規制によって生じる道路利用者の社会的損失を計測・評価することを目的とする.橋梁の通行規制前後で交通量配分を行い,道路利用者の社会的損失(総旅行時間の変化)を計測した.その結果,通行規制によって社会的損失が生じない橋梁が複数存在することがわかった.また,劣化が進行している橋梁の中でも社会的損失に差があることを示した.本手法を適用することによって,橋梁の撤去・補修の優先順位(トリアージ)を定量的に評価できることが明らかとなった.

  • Ngo Le Hoang Minh, 高田 巡, 北 翔太, 深田 宰史, 上野 敏幸, 鈴木 海風, 三坂 岳広, 伊勢野 暁彦
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 81-89
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     センサと無線伝送を活用した橋梁ヘルスモニタリングの課題の一つに電力確保がある.振動発電はその解決策になり得るが,実橋において振動発電デバイスが効率的に発電できる設置位置を短時間で選定することは困難である.そこで本研究では,固有振動解析によりターゲットとする振動モードおよび振動発電デバイスの設置位置候補を抽出したあと,試験車走行試験を行い,光学振動計測技術を用いて,設置位置候補の中から効率的な発電ができる設置位置の検討を行った.また,同時に,本研究で用いた光学振動計測技術の本橋梁部材への適用性について明らかにした.さらに,本技術により抽出した設置位置で計測された加速度波形を用いて室内にて起振機試験を行い,振動発電デバイスの発電量を評価した.

  • 岩崎 拓, 森川 大輔, 林 泰正, 阿部 雅人, 深田 宰史
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 72-80
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     本研究では,福井県の山間部に位置する複合劣化を受けた実橋梁の鋼板接着補強RC床版を対象として,樹脂注入と舗装の打換えによる補修前後に行った小型FWDを用いた衝撃荷重載荷試験および数値解析からコンクリートの静弾性係数を推定し,補修の効果を評価した.その結果,樹脂注入・舗装打換え前後において,衝撃荷重載荷試験の結果を比較したところ,静弾性係数の推定値は増加し,樹脂注入による補修効果が確認された.また,衝撃荷重から静的荷重に変換する荷重変換係数を用いて,さらに,小型FWDを用いた衝撃荷重載荷試験と有限要素モデルを用いた構造解析により,コンクリート床版の劣化状態を静弾性係数の推定値により評価した.

  • 松本 直樹, 石川 敏之, 公門 和樹, 上田 尚史
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 62-71
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     実橋で,塗膜割れが確認されると磁気探傷試験により疲労き裂の有無を確認するため,疲労き裂の検出は高コストとなる.そのため,低コストかつ遠隔で疲労き裂を検知できるモニタリング技術が求められている.本研究では,シングルボードコンピュータとひずみアンプシールドを用いて長期間のひずみ計測が可能な装置を製作し,LPWA(Low Power Wide Area)を用いてデータ転送する疲労き裂検知モニタリング手法を提案した.そして,製作した無線ひずみ計測機器を用いて,疲労試験にて疲労き裂の発生・進展をモニタリングした.その結果,製作した無線ひずみ計測機器で,荷重が作用していないひずみを経時的に計測することにより,疲労き裂の発生・進展がモニタリングできることを明らかにした.また,製作した無線ひずみ計測機器を用いて,電源が確保できない場所での長期間のモニタリングが可能であった.

  • 清水 惇, 昆野 修平, 箕浦 慎太郎, 新田 猛
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 53-61
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     鉄道線路を新規に建設する際,鉄道車両が問題なく安全に走行できるように建築限界の確認が必要である.特に新幹線軌道においては,建設される延長が長くなることや限られた期間内に鉄道車両の走行に対する支障物がないことの確認が必要であり,測定の省力化および効率化が求められている.筆者らはこれまでの研究において,列車巡視を支援するため,営業列車等の車両前頭に設置したステレオカメラ等から取得した画像を解析し,建築限界等の支障物の有無や沿線の環境変化を自動で検出する線路周辺画像解析エンジンを開発してきた.そこで本論文では,本エンジンを用いた新幹線軌道における建築限界の確認を目的として,建設中の新幹線軌道の複数の区間において画像取得試験を行い,本エンジンによる建築限界支障検知の精度検証を行った.

  • Chanoknunt SANGSOBHON, Hidehiko SEKIYA, Mizuki HAYAMA, Masanobu NAGAI
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 48-52
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     Bridges represent vital transportation infrastructure, and their malfunction can have serious repercussions. Monitoring bridge displacement is essential not only for maintenance but also for informing future design decisions. Unfortunately, conventional displacement measurement methods are complex. On the other hand, MEMS sensors are capable of field measurement with their compact size and the absence of a need for reference points. While extensive research has focused on understanding the displacement behavior of single-span bridges, it is equally important to investigate the behavior of multiple-span bridges. The present study used MEMS accelerometers to measure the displacement of a 3-span continuous box girder bridge with an orthotropic steel deck. The displacement responses measured using MEMS accelerometers were compared with strain responses to verify the accuracy of those.

  • 竹内 康, 山本 尚毅, 川名 太, 藪 雅行, 渡邉 一弘
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 40-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     本研究では,FWDたわみ形状から直接的に路盤の健全度評価を行う方法として,NCHRPレポートで示されている路盤の圧縮ひずみ予測式に着目し,直轄国道でのFWD調査結果を用いて当該予測式の精度検証を行うとともに,日本のFWD運用条件に即した予測式の構築について検討を行った.その結果,NCHRPの予測式はFWDの多層弾性理論(MLET)解析結果とは乖離する傾向にあることがわかった.また,日本のFWD運用条件に基づいたMLET解析結果を用いて,圧縮ひずみ予測式と温度補正式の定式化手法および圧縮ひずみによる損傷基準値を示した.

  • 三鍋 佑季, 川口 貴之, 中村 大, 岩崎 凌子, 安達 謙二, 林 豪人, 小浪 岳治
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 31-39
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     本研究では補強土壁における施工時の品質管理や竣工後の維持管理に関する諸問題を改善し,補強土壁のメンテナンス性向上を目的として,アンカー補強土壁を対象とした実大実験を実施した.その結果,施工中に補強材の引抜き抵抗力を計測することで,不良土の混入や締固め不足を迅速に検知できる可能性があることを確認した.また,メンテナンスサイクルにおける診断時において,補強材に作用する引抜き前の引張力と引抜き時の最大抵抗力との比較が可能となることや,修復(措置)時にも既設補強材に作用する引張力やその変化を把握しうることから,補強材を壁面材の表側で連結できるようにすることは,補強土壁のメンテナンス性向上にとって極めて有効であるとの認識を得た.

  • 佐々木 舞緒, 仲村 成貴
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 282-288
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     道路施設の点検は2019年度より2巡目に入り,点検結果や診断等に関するデータが蓄積されてきた.また,整備が進んできたデータベースの活用が期待されている.一方で,市町村では修繕等の措置についての着手および完了率が低水準であることや災害対応力の低下が指摘されている.本研究では,道路橋点検や避難施設等のデータを用いて,強地震動の作用により被災して通行不可となった道路橋が,避難者の避難距離に及ぼす影響を検討した.埼玉県内の市町村が管理する道路橋を対象として解析した結果,道路橋の通行不可により到達圏の面積が4割以上減少する避難施設があることが明らかとなった.本研究により,データベースの活用事例および修繕等を促進する検討事例を示すことができた.

  • 浅野 和香奈, 井林 康, 岩城 一郎
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 273-281
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     福島県平田村では,住民による簡易点検結果と記録簿により,定期点検と次の定期点検までの5年間の橋梁の変状を把握している.住民の簡易点検データを維持管理に活用するためには,点検結果を手作業でデータベースに入力する必要があり,データ整理に時間を要するという課題がある.これに対し,点検データの効率的な活用を目指して,簡易橋梁点検チェックシートと同様の項目で点検を行うことができるアプリケーションの構築を行った.点検者がいる位置情報を自動で取得し,カメラ機能を立ち上げて橋梁の状態を写真に収めることができる.アプリケーションを用いた簡易点検の円滑度合,戸惑った操作,追加してほしい機能等についてアンケート及びヒアリングを行い,改善や検討すべき点を明らかにした.

  • 平山 繁幸, 加藤 舜大, 村野 益巳, 唐沢 博一, 児玉 智也, 白旗 弘実, 永井 政伸
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 265-272
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     大型車交通量の多い路線の鋼床版橋梁では,デッキプレートとUリブの溶接部にデッキ進展き裂およびビード進展き裂が発生する.首都高速道路では,デッキ進展き裂は鋼床版SAUTによって深さ6mm以上のき裂を,ビード進展き裂は溶接ビード表面に現れたき裂を目視で検出しているのが現状である.き裂をより浅い段階で検出することができれば,検出したき裂に対する補修対策の選択肢が増える.本研究では,超音波フェーズドアレイに着目し,デッキ進展き裂およびビード進展き裂を発生の初期段階で検出するための専用の探傷装置を開発し,デッキ進展き裂およびビード進展き裂を導入した試験体を用いて検出精度の検証を行った.その結果,本装置によって従来の超音波探傷技術よりも浅いき裂を検出できることを確認した.

  • 島田 和則, 堀 雄一郎
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 258-264
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     特殊分岐器(可動ダイヤモンドクロッシング,シングルスリップスイッチ,ダブルスリップスイッチ)は,構成する部材が多く,かつ構造が複雑であることから,分岐器管理の中でも特に保守に苦慮し,たびたび設備故障を発生させている.JR東日本(以下,当社)においては,これら特殊分岐器の設備故障防止に向けて,特殊分岐器の構造強化対策の実施及び撤去の推進,管理標準等の策定,更には近年発生した事象に対して原因の究明,対策の検討並びに再発防止策を図った.その結果,当社東京圏における設備故障の発生件数は,約20年前と比較して約84%減少し,特殊分岐器1組当たりの設備故障発生率は,約20年前の約49%から約10%まで減少した.

  • 鵜澤 星一, 髙山 充直, 塚原 高志, 池田 泰博
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 248-257
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     JR 東日本では,海岸線から概ね1km以内に位置する鉄道コンクリート橋梁で,塩害による変状が多く発生している.主な対策として,PC橋には電気防食工法,RC橋には塩化物イオン吸着剤を用いた断面修復工法を適用している.これは,各工法について対策後20年超の経過観察結果から,工法の長期耐久性評価と塩害抑制効果などを総合的に勘案し,当社における塩害環境下の橋梁に対する維持管理の基本的な考え方として整理した結果である.以下に,これまでの取り組み内容を示し,提案する維持管理方針と今後の塩害に対する維持管理の方向性を示す.

  • 堀内 一平, 岡田 真治
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 242-247
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     大糸線信濃常盤構内21号分岐器のヒール部(トングレール後端継目)における通り変位(線路の水平方向の歪み)は,2020年6月頃に管理目標値を超過した.さらに,列車動揺検査においても左右動の管理目標値を超過する状態となり,乗り心地への影響も生じていた.通り変位を解消するため,分岐マクラギの交換を含む通り整正やスイッチマルタイ(以下SW-MTT、分岐器で線路の突き固めを行う機械)施工を実施したが,いずれも効果が持続せず,通り変位の解消には至らなかった.そこで,通り変位の再発原因について,分岐器前後のレール遊間(レールの温度伸縮に備えて継目部に設ける間隔)不足による軸力発生に着目し,ライニング作業(マルタイによる通り整正)と併せて分岐器前後の遊間整正を実施し,通り変位を抜本的に解消した取組みの成果について報告する.

  • 松本 康寿, 平松 孝晋, 上西 大樹
    インフラメンテナンス実践研究論文集

    2024年 3 巻 1 号 235-241
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

     昨今,技能労働者の高齢化や労働志向の変化にともない現場の労働力は不足しており,線路内作業の効率化は国内の鉄道事業者にとって共通の喫緊の課題となっている.そこで,JR西日本では生産性向上と働き方改革の一環として,検査業務をセンサや機械による手法に置き換える「地上検査の車上化」に取り組んでいる.その手段の一つとして,MMS(Mobile Mapping System)技術の鉄道への適用を進め,2021年から在来線および新幹線の全線での計測を開始している.今回,2カ年の運用を通じて,社内の各系統において普及,活用が進んだことにより,鉄道分野におけるインフラメンテナンスのデジタル化に対し一定の成果が得られたことから,MMSの鉄道分野への適用および現場での利活用事例を紹介する.

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