日本鳥学会誌
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53 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 綿貫 豊
    2004 年 53 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    海鳥は潜在的には広い範囲で採食できる.最近,沿岸性および外洋性の海鳥数種類において,個体毎に採食場所定着性があることと同時に個体変異があることが報告された.その採食場所の定着性と個体変異がみられる生態的条件とメカニズムについてレビューした.採食場所定着性は,海流や潮汐,海底地形などに依存した比較的安定した良い餌場で採食することと関連しているらしい.また,相対的に安定した餌である底魚を食う場合にハビタットの定着性が見られた例があった.個体は続けて同じ場所へ採食にでかける傾向があり,場所定着性が短期記憶によるものであることが示唆された.特定の良い餌場にくりかえし出かけることで採食効率が上がり,結果的に繁殖成績も高くなる,という仮説が出されているが,直接的な検証はまだなされていない.場所定着性を解析する適切な統計的方法による比較研究によって,いかにして餌の安定性が採食場所定着性と個体変異に関連するか,空間スケールを考慮した研究が必要である.
  • 亀田 佳代子
    2004 年 53 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    電波発信器,小型深度記録計,安定同位体比分析などの調査技術の発達により,海鳥類の採食生態に関する個体変異研究が可能となった.ウ類では,潜水深度,採食場所,食性,採食ハビタットなどの個体変異が報告されている.ウ類は主に単独で採食するが,場合によっては大きな採食集団を形成する.また,定住個体と季節移動を行う個体が同種内に存在することがある.一方各個体は,食物の利用可能性に応じて採食行動を柔軟に変化させる.このように,採食場所の特殊化と採食行動の柔軟性という二つの側面が,ウ類の採食生態の重要な特徴と考えられる.適切な組織の安定同位体比を分析することにより,ある時間断面におけるウ類の食物について,有益な情報を得ることができる.個体ベースの採食戦略や個体群動態の解明,そして保護管理における適切な対応策の検討には,ウ類の採食生態にみられる個体変異の決 定要因について,さらなる研究が必要であると考えられた.
  • 高橋 晃周
    2004 年 53 巻 1 号 p. 22-35
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    海鳥類は通常,繁殖地から遠く離れた餌資源に依存し,繁殖地と採餌場所の間を繰り返し往復しながら繁殖を行っている.このような繁殖における基本的制約から,海鳥類の親の餌の選択や,採餌にかける努力量,採餌効率の個体間の違いは繁殖成績に大きく影響すると考えられる.本論文では,海鳥類の採餌行動と繁殖成績の関係を個体レベルで調べた研究について簡単にレビューした.海鳥の個体ごとの食性は,これまで伝統的に餌•ペリットのサンプリングや直接観察により調べられていたが,最近では安定同位体比を用いた解析も行われ始めた.これらの研究では,エネルギー価の高い餌を専門的または高い頻度で採餌する個体の繁殖成績が高いという傾向が見られる.しかし,食性の個体変異の研究例はカモメ類に偏っており,他の海鳥類での研究が必要である.海上での海鳥の採餌行動は,近年発達した小型の動物装着型記録計や,衛星またはVHF発信器によって追跡されてきている.このような計測器によって,親の海上での採餌努力量を定量化したペンギンにおける2つの研究では,親の採餌努力量と雛の成長速度の間に関係は見られなかった.繁殖成績に結びつく個体の採餌行動として,採餌の努力量よりも採餌効率が重要であることが示唆された.採餌効率の個体間の違いは主に,個体間の1)形態の違い,2)学習による採餌技術の違い,3)他個体との競争,によって生じると考えられる.採餌生態を個体ごとに追跡し,これが親自身のエネルギー配分プロセスを通じていかに繁殖成績に影響するか調べることは,今後,採餌戦略と生活史戦略をリンクさせる重要な研究となる.鳥類の中でも特徴的な採餌生態•生活史特性を持ち,また近年採餌行動を個体ごとに追跡する手法が整いつつある海鳥類をはじめとした魚食性鳥類での研究の発展が期待される.
  • 川口 敏
    2004 年 53 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    Sixteen Osprey Pandion haliaetus nests were found during the 2002 breeding season in eastern Kagawa Prefecture (34°15-24′N, 134°5-17′E), Shikoku, Japan. Fourteen nests were situated on or near the tops of dead or alive pine trees Pinus spp, and two on the flat tops of radio towers. Thirteen of them were found within a small (4.5×2.5 km) hilly area.
  • 有馬 浩史, 須川 恒
    2004 年 53 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    Streaked Shearwaters Calonectris leucomelas breed along the northwest Pacific coast, and winter in Australia and Southeast Asia. Previous studies at nesting sites on islands off the Japanese coast have indicated that males and females give different mating calls. This research, implemented at a breeding colony on Kanmuri Island, Kyoto Prefecture, showed that there were differences in the external measurements of Streaked Shearwaters giving low-pitch and high-pitch vocalizations. A discriminant function: D=216.400-2.318×THL-4.074×BW+2.007×NAL-1.929×BD, where THL is total head length, BW is width of bill at anterior edge of nostril, NAL is nalopsi and BD is depth of bill at anterior edge of nostril, was derived from external measurements of adult shearwaters giving low-pitch (41 birds) and high-pitch (41 birds) calls. D was positive for the birds with low-pitch calls and negative for the birds with high-pitch calls. This function proved reliable for 97.6% of the low-pitch individuals and for 95.1% of the high-pitch individuals, thus vocalization may be a useful means of sex identification in the field.
  • 大西 敏一, 真木 広造
    2004 年 53 巻 1 号 p. 45-46
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
  • 大西 敏一, 真木 広造
    2004 年 53 巻 1 号 p. 47-48
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
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