日本鳥学会誌
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71 巻, 2 号
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総説
  • 藤巻 裕蔵
    原稿種別: 総説
    2022 年71 巻2 号 p. 121-135
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス

    北海道では繁殖期に多くの鳥類は全域に生息する全域型の分布をする.一部の種は南部,南西部,東部,北東部,または北部に分布する型である.また地理的に東西南北の偏りはないが,海岸沿いと河川の下流沿い,中流沿いに分布する種がいる.このほか,広く分布する種でも,草原性鳥類は森林に入ることはほとんどないので,おもに平野部と盆地に分布する.森林性鳥類は,農耕地など森林外の環境にも生息する種を除くと,おもに森林のある山地に分布する.山地に生息する鳥類のうち,高標高地に生息する種の分布域は,低標高地にも生息する種におけるより小さくなる.南西部型の分布をする種では,温量指数が大きくなるほど出現率が高くなる.これに対し,北東部型の分布をする種では,温量指数が小さくなるほどよく観察できるようになる.また高標高地に生息する種では温量指数が小さくなるほど出現率が高くなる.これらのことは,一部の種では気温が分布を決める一つの要因になっていることを示唆する.北海道内の一部の地域に分布する種のうち,南部型や南西部型の分布をする種は,東部型,北東部型,北部型の分布をする種より多い.このことは,北海道の鳥類相(繁殖種)が北海道より北のサハリンやロシアのプリモーリエの鳥類相より北海道の南に位置する本州の鳥類相との類似性が高いことによると考えられる.

原著論文
  • 多田 英行
    原稿種別: 原著論文
    2022 年71 巻2 号 p. 137-144
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル フリー

    本研究では岡山県中部におけるヨタカCaprimulgus indicusの営巣環境を調査した.2015–2020年の調査で,のべ119の推定なわばりを踏査し,16巣を確認した.確認した巣のうち,巣の痕跡のみで親鳥やヒナを観察できなかったのが5巣,抱卵は観察されたが育雛は観察されなかったのが5巣,育雛まで観察されたのが6巣だった.ヨタカが好む営巣環境は,アカマツ二次林地や植林伐採跡地の尾根付近にみられる,地表が乾燥した疎らに茂みのある開放地である傾向がみられた.また,ヨタカは傾斜地の一部にある平坦な場所を巣に利用していた.

  • 浅野 凜子, 三上 修
    原稿種別: 原著論文
    2022 年71 巻2 号 p. 145-152
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル フリー

    米英に比べ,日本では,各家庭の庭で鳥に給餌をする習慣を持つ人が少ない.この原因として,日本はバードウォッチャーの数が少ないので給餌をする人も少ないという可能性と,バードウォッチャーの数とは無関係に給餌をする人が少ないという可能性の両方が考えられる.どちらで説明できるか,あるいは両方ともが必要かを明らかにするために,本研究では,日米英の3か国で,バードウォッチャー数の指標として,野鳥観察に関わる団体の会員数を調べた.その結果,会員数は日本において総数においても人口当たりの数でも最も少なかった.さらに,野鳥観察に関わる商品に対する購買力と給餌に関わる商品に対する購買力を比較するために,アマゾンのネットショッピングサイトで,給餌に関わる商品と野鳥観察に関わる商品のレビュー数と価格を3か国間で比較した.その結果,米英では,野鳥観察よりも給餌に関わる商品に対するレビュー数が多かったが,日本では逆に野鳥観察に関わる商品に対するレビュー数のほう多かった.また,給餌に関わる商品と野鳥観察に関わる商品の,相対的な平均価格は,どの国も,野鳥観察に関わる商品のほうが高かったが,日本においてもっともその差が大きく,給餌よりも野鳥観察に,より費用をかけていることが明らかになった.以上のことから,日本で給餌の習慣がないのは,バードウォッチャーが少ない効果もあるが,それだけでは説明できず,給餌に対する意欲そのものが,他2国よりも低いことが示唆された.

  • 益子 美由希, 山口 恭弘, 吉田 保志子
    原稿種別: 原著論文
    2022 年71 巻2 号 p. 153-169
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル フリー
    電子付録

    全国一のレンコン産地である茨城県では,カモ類及びバン類による年間約3億円(2020年度)のレンコン被害が報告されている.レンコンは通年湛水のハス田の泥中に生育し,収穫時にえぐられた傷のあるレンコンが混じることがあるため「カモ被害」とされてきたが,実際にカモ類等が夜間に食害する様子を示した資料は無かった.どの種がどのようにレンコンを食べるか明らかにするため,2021年2–3月,収穫後のハス田(泥面は水面下約20 cm)に試験的にレンコンを設置し,カモ類等による夜間の採食行動を自動撮影カメラで撮影した.全16回の試験回毎に,2–4節ある新鮮なレンコンを日没前に田内(水面下0–52 cm,試験毎に深さを変更,園芸用支柱に結えて保持)又は畦上に設置し,翌朝に回収した.その結果,マガモAnas platyrhynchosとオオバンFulica atraがレンコンを食べる様子が頻繁に撮影され,まず畦上又は水面にあるレンコンを突いて食べ,完食すると次いで頭を水中に浸して水面下0–20 cmにあるレンコンを食べていた.その後,水面下20–40 cmの泥中にあるレンコンを倒立して食べ,途中,オオバンは潜水,マガモは水かきで泥を掘る動作も行った.翌朝,レンコンが食べられた範囲の泥面は水面下20–42 cmのすり鉢状に掘られており,水面下40 cmよりも深くにはレンコンが残っていた.他のカモ類の飛来は少なかったが,ヨシガモA. falcataは泥面のレンコンを,ヒドリガモA. penelopeは畦上と水面のレンコンを食べた.ハシビロガモA. clypeata,コガモA. crecca,オカヨシガモA. streperaはレンコンを食べる行動は見られなかった.以上から,泥中に着生する商品となるレンコンが少なくともマガモとオオバンによる食害を受けうることが示され,浅く位置するレンコンほど食害を受けやすいと考えられた.

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