5wt%超燃料の導入による高経済性及び使用済燃料削減による環境負荷低減の実現には、軽水炉燃料サイクル各段階の燃料取扱いに対する臨界安全性に関し、合理化が必要であり、可燃性毒物の吸収効果を有効活用(可燃性毒物クレジット)する技術が有効である。本2件の発表では、新燃料加工や発電プラントでの新燃料の取扱い及び使用済燃料輸送・貯蔵のそれぞれの臨界安全性に対し、炉心反応度には影響を及ぼさない条件の下、可燃性毒物クレジットを適用し、臨界安全設計を合理化する方法を提案する。
なお、報告する臨界実験は、所有する5wt%未満の燃料棒を用い、その概念を検討したものである。また、現状の5wt%未満の商用炉燃料に対してもバックフィット可能な技術である。
(1) ウラン濃縮度5wt%を超える燃料集合体の輸送・貯蔵にガドリニアクレジット(Gdクレジット)を適用することは、臨界安全性を合理的に確保する上で有効であり、また、この概念は濃縮度5wt%未満の燃料集合体でも効果が大きい。ガドリクレジットでは、ガドリニアによる燃焼初期の反応度抑制効果を考慮し、全燃焼期間を通じての最大反応度を包絡する燃料棒配置(モデルバンドル)を臨界安全性評価の対象とする。また、輸送時は落下事故を勘案し、燃料棒ピッチも臨界安全を確認する上で重要である。東芝臨界実験装置(NCA)において、この有効性と計算コードの精度を検証するため、現有の濃縮度5wt%未満の燃料棒を用い、輸送・貯蔵体系のラック模擬材を装荷した臨界実験を実施した。
発表では、取得したラック模擬材、燃料棒配置及び燃料棒ピッチをパラメータとした臨界実験、MCNPによる解析に基づく計算コードの精度検証を報告する。
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