医療利用において関心の持たれている中性子源には数十MeVの陽子とベリリウムとの中性子生成反応がある.ここでは,中性子生成反応のうち
5Heの崩壊に起因する成分の寄与をモデル計算により求めた.
5He生成断面積の計算には,より高エネルギー領域で用いられている準自由ノックアウトモデルを適用した.崩壊により生じる中性子のエネルギースペクトルは生成される
5Heのエネルギースペクトルから求めた.本モデル計算による中性子スペクトルは低エネルギー領域でスペクトルの拡がりを示した.この拡がりは文献に示されている実験データには見られるが,ENDF/B-VIIのデータには見られない.本モデルによる計算結果は文献データをよく再現した.入射エネルギー数十MeVの陽子とベリリウムとの中性子生成反応において,
5Heの崩壊の寄与が重要であり,本報告の計算モデルが有効であることが確認された.
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