森林野外調査での位置把握のために,携帯型GPSに森林地図を組み込んだ森林ナビゲーションシステムを開発した。地図データは,調査で用いる作業用データと,林小班界等の長期継続的データの2種類に分けた。作業用データについては,フリーソフトウェアのカシミール3Dを用いて,パソコンと携帯型GPS(eTrex Vistaと76S,米国Gammin Inc.)との間でデータの入出力を行った。長期的データでは,林小班界,林道,等高線をGISで整備し,加工してGPSに組み込んだ。森林地図を組み込んだGPSを,高知県東部の魚梁瀬国有林地区で使用実験した所,林道で95%の水平精度は76Sで96m,eTrexで103m,スギ林内で水平精度は76Sで33m,eTrexで37mであった。GPSの画面上にGPSの測位位置と地図が表示され,野外での自分の位置把握が容易であった。野外では携帯型GPSのみを持ち歩くので,携帯性,防水性の点でPDA(個人用携帯情報端末)等によるシステムに比べて優れた。地図がGISに整備されていれば,導入費用はGPS本体と地図加工費用のみと安価であり,行政などでも導入しやすいと考えた。
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