Anthropological Science (Japanese Series)
Online ISSN : 1348-8813
Print ISSN : 1344-3992
ISSN-L : 1344-3992
111 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著論文
  • 中井 將嗣
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 111 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/11/19
    ジャーナル フリー
    「身長=大腿骨最大長×100÷26.74」 という比例式 (Feldesman et al., 1990) を用いて, 東アジア大陸の新石器時代人22集団の平均身長を推定し, 集団間比較を行った。その結果, 東アジア大陸の新石器時代人の身長には, 黄河—淮河間の黄淮平原を頂点とし, 南方および西方に離れるに従って次第に低くなってゆく, 地理的な勾配が形成されていたことが明らかとなった。男性の平均身長の最大は大〓口(山東省)の177.2 cm, 最小は〓魚崗(広東省)の152.2 cmであり, その差は25 cmに及んでいた。新石器時代の黄淮平原人はモンゴロイド史上最高身長の人々であった可能性が高い。
  • —アイヌの起源と多様性の解明へ向けて—
    余郷 嘉明, 鄭 懐穎, 長谷川 政美, 杉本 智恵, 田中 新立, 本庄 健男, 小林 伸好, 太田 信隆, 北村 唯一
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 情報学
    2003 年 111 巻 1 号 p. 19-34
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/11/19
    ジャーナル フリー
    JC ウイルス (JCV) DNA の系統解析によりアイヌの起源を解明することを目的として, 北海道の3地域(浦河, 白老, 旭川)に住むアイヌ30名から尿を採取した。尿から検出された JCV DNA (n = 13) は5つのゲノム型 (MY-b, MY-x, MX, EU-a/Arc, EU-c) に分類された。MY-b, EU-a/Arc, EU-cは過去に近隣の人類集団から検出されたが, MY-xとMXは今回初めてアイヌから検出された。得られた知見から, (1) 東北アジアから渡来した複数の人類集団が現代アイヌを築いたこと, (2) ヨーロッパ人に近縁の東北シベリア先住民の祖先集団が現代アイヌの中核を形成したこと, (3) 縄文人を形成した集団や新規な東北アジア系集団も現代アイヌの形成に寄与したことが示唆された。
  • 森 紀子, 寺嶋 雅彦, 徳森 謙治, 中島 昭彦, 青木 義満, 橋本 周司
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 情報学
    2003 年 111 巻 1 号 p. 35-49
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/11/19
    ジャーナル フリー
    健常日本人成人男性11名, 女性10名を対象にHelicalCTを撮影し, 三次元構築した3D-CTの顔表面画像上に26個の特徴点を設定して男女別に平均の三次元座標値を求め, 11項目の特徴点間距離を測定した。また骨および顔表面画像上に35個の特徴点を設定しその部位の軟組織の厚さを計測した。これらの生体計測値はこれまでに報告された値に比べてわずかに大きな傾向にあった。平均座標をもとに構築した顔面形態の物理モデルは, 現代日本人成人男女の標準モデルとしてパーソナルコンピューター上で自由に回転表示でき, 人類学分野をはじめとした多分野で使用できる可能性が示唆された。
  • 2. クリブラ·オルビタリアとエナメル質減形成, 及びハリス線を含めた三種のストレスマーカーの関連性
    古賀 英也
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 情報学
    2003 年 111 巻 1 号 p. 51-67
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/11/19
    ジャーナル フリー
    西南日本出土の縄文時代から現代に至る頭蓋骨682個についてクリブラ·オルビタリアを, また626個体の歯列についてエナメル質減形成を肉眼観察し, それぞれの出現頻度を調査した。両ストレスマーカーは共に小児期から思春期頃にかけて最高頻度に達し, 以後は年齢と共に減少する傾向が見られた。クリブラ·オルビタリアは現代人の35.4%が最高で, 最低は博多の天福寺近世人の2.4%であった。また, エナメル質減形成は原田近世人で87.0%の最高値を示し, 最低は北部九州弥生人の15.2%であった。このストレスマーカーには西日本各地の弥生集団間でかなりの違いが見られたが, 縄文人に較べて特に北部九州弥生人で低下傾向が認められた。以上の各時代, 地域集団において, ハリス線を含めた3種のストレスマーカー間の相関を調べたところ, クリブラ·オルビタリアとエナメル質減形成の間に弱いながらも有意の関連性が認められた。
資料
書評
feedback
Top