Anthropological Science (Japanese Series)
Online ISSN : 1348-8813
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ISSN-L : 1344-3992
124 巻, 2 号
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原著論文
  • 山田 博之, 國松 豊, 濱田 穣
    原稿種別: 原著論文
    2016 年 124 巻 2 号 p. 73-84
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    [早期公開] 公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    現代日本人の乳犬歯の形態的特徴を調査した。資料は抜去歯46歯である。歯冠形質の観察は抜去歯の石膏模型で辺縁隆線,基底結節,棘突起,遠心副隆線を調査した。歯の計測はデジタルノギス(1/100 mm)を使い,歯冠近遠心径,唇舌径,歯根唇舌径,歯頸部エナメル質の膨らみ,歯冠高,近心shoulder高,CMSDを計測した。乳犬歯の歯冠形質をみると男児と女児はともによく似た形態をしていた。舌側面からみると,上顎では辺縁隆線および基底結節の出現頻度が永久犬歯よりも乳犬歯の方が高い。一方,棘突起と遠心副隆線は乳犬歯よりも永久歯の方が出現率は高い。下顎では全体に上顎よりも歯冠形質の表現型が弱い。歯冠サイズでは上顎の歯冠近遠心径と唇舌径で有意に女児の方が男児を上回っていた。それ以外の項目には男・女児間で有意な差はみられなかった。指数値でも上・下顎とも有意な性差はみられなかった。永久犬歯と比較してみると,乳犬歯は以下のように特徴づけられる。1)幅厚指数は100以下を示し,切縁からみた歯冠の外形は近遠心方向に長い形をしている,2)歯頸部エナメル質の相対的な膨らみ具合は永久犬歯よりも強い,3)歯冠高に対する相対的な近心shoulderの位置は上・下顎とも永久歯よりも歯頸寄りの位置にある。

資料研究報告
  • 十塚 正治, The Super Science High School Consortium, 佐藤 陽一, 田中 雅嗣
    原稿種別: 資料研究報告
    2016 年 124 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    [早期公開] 公開日: 2016/11/17
    ジャーナル フリー

    平成20~24年度に文科省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)コンソーシアムとして日本国内(八重山諸島,宮古島,沖縄本島,佐賀県,兵庫県,宮城県,青森県)の高校と共同で,Y染色体DNAとミトコンドリアDNA(mtDNA)のハプログループを解析し,日本各地における頻度分布を調査した。その結果,Y染色体ハプログループに関してはDE*は佐賀県,青森県と比較して,琉球地域で高い割合を示した。ハプログループC1は佐賀県,青森県と比較して,琉球地域で高く,逆にC3は佐賀県,青森県と比較して琉球地域で低い結果となった。ハプログループO2b1は沖縄本島において低頻度を示したが,O2b*, O3の頻度は地域間で大きな違いはみられなかった。mtDNAに関しては,佐賀県,兵庫県,青森県と比較し,琉球地域においてハプログループM7aは高頻度を示し,N9aは低頻度を示すことがわかった。N9bは頻度数値がどこも小さいが,青森,琉球地域に対し,中間に位置する兵庫・大阪・京都と佐賀が比較的低かった。日本本土と琉球地域ではY染色体DNAとmtDNAのハプログループの頻度に違いがみられることがわかった。

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雑報
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