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高 若飛, 耿 欣, 章 俊華
p.
291-296
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
本研究では,中国・承徳避暑山荘における亭と立地としての地形・水を対象とし,亭及び亭と地形・水の空間構成類型をまとめ,その特徴の考察を行った。その結果,亭が広範囲に分布し,主に湖ゾーンと山ゾーンに設置されており,また亭の分布によって湖ゾーンでは自然の風景と人口の風景をつなぎ,山ゾーンでは主に自然スタイルでデザインされたことがわかった。亭が豊富な造型をもち,その中の普通型が多く用いられている。様々な用途の亭が置かれていることは,皇家庭園の総合性のある特徴を表現している。また,8タイプの亭と地形・水の区間構成類型が得られ,亭と様々なタイプの空間構成類型は,空間と風景を豊かにしていることがわかった。亭の形,大きさ及び開放性は,機能と空間構成類型によって異なることが明らかになった。
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ニ瓶 莉苗, 錦澤 滋雄
p.
297-302
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
景観アセスメントの実施実態に着目し,実務に携わっている環境コンサルタントを対象にヒアリングとアンケートを行い,調査・予測手法の使用度とその有効性,実務上の工夫点と問題点について分析,考察した。その結果,景観アセスの実施件数は少なく十分な蓄積がないことが示された。またフォトモンタージュが予測手法としてひろく用いられ,実務者の視点から評価した有効性も高かった。さらに,今後の課題として,事業実施によるプラス面を含む評価を取り入れていくことの重要性が示唆された。
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-旧相模原市と旧津久井郡城山町を事例として
浜 泰一, 斎藤 馨
p.
303-308
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
地域の環境を把握する指標はいろいろ考えられるが,人々の関心が高いものは,緑視率や騒音であると考えられる。そこで,多様な環境が存在する神奈川県相模原市において,緑視率と騒音を指標として,人々の地域に対する認識のどの部分を把握できるのかを分析した。分析には,緑視率,騒音の実測値と相模原市が実施した市民アンケートの結果を用いた。特に緑視率の把握には,1 地点で、45°おきに8 枚の写真を撮影する方法を採用した。分析の結果、人々の都市景観や防犯対策に対する認識に影響があることが示唆された。
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宮崎 渉, 近藤 健雄, 山本 和清
p.
309-314
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
平成7年に阪神・淡路大震災が発生し、救助活動として水上輸送が機能したため、東京都は首都直下型地震に備え、防災船着場整備計画を策定した。本研究では、災害時に障害者が利用しやすい防災船着場の整備に向けた課題を得るために向け、国・都・区が設置した9 つの防災船着場を対象とし、バリアフリー整備や避難所から防災船着場までの障壁を把握する。その結果、車椅子利用者が防災船着場に避難する様々な障壁が明らかとなった。
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田中 孝典, 亀野 辰三
p.
315-320
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
近年,ユニバーサルデザインに配慮した歩行空間整備の一つとして,デザインや色彩等に工夫を施した舗装が用いられているが,車いすやベビーカー等の走行性に起因する歩道の路面形状については明確な数値的基準は示されていないようである。本論文では,歩道における路面形状の違いが車いすの走行快適性に及ぼす影響について検討を行った。加速度計を装着した車いすの走行時において測定した加速度の数値解析および乗車者へのアンケート調査結果から,振幅スペクトル値が5m/sを超える波長が顕著にみられる歩道路面は車いすの走行快適性に影響を及ぼすことが分かった。
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山本 清龍
p.
321-326
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
自然公園における利用の集中は公園資源と利用者の自然体験に劣化をもたらす重要な問題の一つである。そこで,本研究では,利用の分散について検討するため,研究対象地として富士山を取り上げ,1)登山者の属性を把握し,行動と意識の特性を明らかにすること,2)利用者の行動と心理,公園の管理計画の観点から考察すること,の二点を目的とした。研究の結果,五合目と頂上では登山者の集中の態様が異なること,4 つの登山口は混雑回避を含め異なる観点から登山者に選択されていること,登山者属性によっては時空間的な混雑回避をとりうることが明らかになった。
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武 正憲
p.
327-332
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
2008 年エコツーリズム推進法が制定され,エコツーリズムによる地域振興策が注目されている。実質的な運営者のエコツアーガイドは環境保全の担い手としても期待されている。本研究では,2002 年以前の文献を整理し,エコツアーガイドの役割と能力の関係を明らかにした。エコツアーガイドは,1)顧客サービス,2)環境教育,3)資源管理,4)地域貢献の4 つの役割を期待されることが示された。ガイドの能力は,各役割に対応するが,多くの能力は1)顧客サービスとの関係が強い。エコツーリズムを推進するためには,ガイドの能力の向上を議論するだけでなく,ガイドが能力を発揮できる仕組み作りに対する議論も必要である。
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大木 慎, 坂部 創一, 山崎 秀夫, 守田 孝恵, 張 建国
p.
333-338
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
情報環境における仮想的な人間関係がもたらすストレス及びその悪影響に着目し,理論仮説を設定した。それは,「仮想人間関係交流度が活発になるほど仮想対人ストレスが増加し,それは孤独感と現実人間関係良好度を悪化させてQOLを低下させるが,これらの悪影響は良書読書量効果で抑制できる」である。そして,情報系大学生を対象に調査を実施して,共分散構造分析で仮説を検証した。その結果,理論仮説が検証され,インターネットを介したコミュニケーションの負の側面として,仮想対人ストレスの悪影響が示唆され,その予防策として良書の読書の推進の重要性を示した。
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柴田 雅雄, 坂部 創一, 山崎 秀夫, 守田 孝恵, 張 建国
p.
339-344
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
本研究では,CMC (Computer-Mediated Communication) 利用の促進が文章表現力をどの程度向上させ,それが口語表現力と現実の人間関係,そしてQOL (Quality of Life) にどのように影響しているのかという問いを設定した。そして,情報系大学生を対象に調査を実施して,共分散構造分析で良書の読書効果も含めて要素間の因果関係を検証した。その結果,良書の読書のみ文章と口語の表現力を向上させ,メールとSNS (Social Networking Service) は文章と口語の表現力を向上させないことが示された。そのため,今後の情報化社会において「良書の読書」を推進することの重要性が示唆された。
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幸田 英樹, 坂部 創一, 山崎 秀夫, 守田 孝恵, 張 建国
p.
345-350
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
情報環境が及ぼすうつ傾向への影響を,テクノ依存症傾向,うつ傾向,孤独感,インターネット利用目的とツール別の各要素を含め,総合的に分析することを目的に,情報系大学生を対象に調査し,共分散構造分析で検証した。結果,テクノ依存症傾向が高まることでうつ傾向を高めること,インターネット利用目的により影響度が異なることが検証された。情報化社会におけるうつ傾向の予防策として,テクノ依存症の回避と現実逃避目的のインターネットの利用を控えることの重要性が示唆された。
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中村 和彦, 斎藤 馨
p.
351-356
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
森林環境教育は小中学校でも行われているが,森林の現地へ行く機会は限られている。この制約を解消するために,環境認識を空間的および時間的に拡大するとされる映像教材が有効であると考えられる。そこで,森林環境教育の現地学習後に行われる復習授業を事例として,映像教材の空間的拡大および時間的拡大の効用の有効性を検討した。中学校第1学年の生徒に対して映像教材を用いた授業を行い,授業の前後に生徒が記述したテキストを定量的および定性的に分析した。結果,空間的拡大の効用が有効である可能性が示され,時間的拡大の効用は環境教育目標の達成段階の向上という点での有効性が示唆された。
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高山 範理, 筒井 末春, 朴 範鎭, 綛谷 珠美, 荒牧 まりさ, 香川 隆英
p.
357-362
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
本研究では,20 代前半の健全な男子学生を対象に森林浴実験をおこない,不安障害に親和性の高い人格特性だと思われた神経症傾向とその下位尺度の不安傾向の高低によって対象者を分類し,森林環境の印象評価、認識および感想,そして森林浴効果について調べた。その結果,神経症傾向が高い人たちは,森林環境に対して,より好ましくかつ親しみやすく,適度に自然性が高い対象であるとして評価しており,森林浴前から,相対的に高いストレス状態にあるが,1)短時間の歩行活動によって,特に怒りや敵意の感情が沈静化する,2)座観活動によって,活気が昂進し疲労が低下する可能性が示唆された。
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鄭 元朝, 近藤 健雄, 山本 和清, 宮崎 渉
p.
363-368
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
本研究では韓国58個の国家漁港を対象に統計的分析を実施し,漁港地域を観光潜在力による漁港類型を自然環境型, 水産業機能型, 祭り文化型, 複合観光型で分けて検討した。また漁港の観光潜在力と観光構造特性を分析した結果,もっとも重要な要因は水産物生産量と地域お祭りであり,次に文化史跡地観光地の順序で現われた。したがって今後漁港を観光地で開発するのにあって漁場機能維持の水産基盤強化を基本とする政策が要求されて,港内水質浄化のような環境整備事業も必要であると判断される。
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近江屋 一朗, 齋藤 雪彦, 橋本 早苗
p.
369-374
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
農村移住者を対象に聞き取り調査を行い,移住者属性と余暇活動の関係を調べた。その結果,移住者の属性は定年退職タイプ,子育てタイプ,自然環境タイプ,その他のタイプに分類された。また,余暇活動は農村的余暇活動,準農村的余暇活動,都市的余暇活動に分類された。定年退職タイプの男性は主に農村的余暇活動を行っていたが,女性には準農村的余暇活動を通じて農村に溶け込む者がいた。子育てタイプは充分な余暇時間を持っているものは少なかった。自然環境タイプは多様な余暇活動を行っており,また,準農村的余暇活動によって農村住民と交流していた。その他のタイプには農村に魅力を感じていない移住者もおり,主に村外で余暇をすごしていた。
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山下 潤
p.
375-380
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
近年ドイツやオランダといった国で,地域的な温暖化対策に対して環境補助金が活用されている。本研究では,このような補助金の一つであり,CO
2排出削減を目的とし,スウェーデン政府によって実施されたLIP(地域投資事業)を取り上げ,LIP実施自治体でのCO
2排出削減への影響を評価した。加えて本研究ではCO
2排出に影響を与えている要因も明らかにした。
t 検定の結果から,LIPによってもたらせたCO
2排出への影響がLIP実施・未実施自治体間でほとんど差がないことを示した。さらに2段階重回帰分析等の結果から,LIPではなく,それ以外の政策がCO
2排出削減に貢献したことが示唆された。
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-東京湾周辺における海面上昇による影響の経済的損失の一考察
山本 桂香
p.
381-386
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
地球温暖化による海面上昇は,様々な経済的影響ももたらす。そのため,海面上昇の影響を評価する手法の開発が課題となっている。本研究では,標高データより海面上昇による被害地域を抽出した。0m 地帯が存在する13 の区には,東京都の人口の4 割が居住し,経済活動においても,東京都の製造品出荷額の約4 割,年間商品販売額の6 割がこの地域に集中している。さらに,工業統計メッシュデータの製造品出荷額等の金額から海面上昇の影響をみてみた。その結果,東京湾周辺では,0.59m の海面上昇によって,生産損失額は8,034,320 百万円に上ることが予想され,経済的に大きな影響を受けることがわかった。
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小林 慎太郎, 古家 淳
p.
387-392
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
バングラデシュの長期的な食料安全保障のためには,コメの収量成長率をどの水準で保つ必要があるかについて,温暖化の影響も考慮しつつ,食料需給モデルを用いて検討する。21世紀中の気温上昇を2.6℃とするシナリオでは,先行研究で示された乾期作2%,雨期作1%の収量成長率で,少なくとも現在の食料状態が保たれるが,3.4℃のシナリオの場合は食料状態が悪化することが明らかとなった。今後は,長期的な視点から高い収量成長を保つ方策の検討が重要になる。
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穴澤 活郎
p.
393-398
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
均質な火山砕屑物で被覆された地域の河川水を化学分析し,定量値を統計手法ならびに熱力学的計算を用いて解析した。多変量解析の結果,畜産排水など幾つかの端成分の混合による影響を受けている試料が明瞭に分類された。また,本地域の河川水質の支配要因が岩石―水相互作用であることが示唆された。さらに岩石―水相互作用に基づく熱力学的計算により,水質形成プロセスが定量的に説明された。
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村上 和仁
p.
399-404
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
実験生態系であるマイクロコズムを用いてP/R比(生産量/呼吸量比)および生物個体数からみたMnの生態リスク評価を行った。その結果,1)Mnの生態無影響濃度(m-NOEC)は,マイクロコズム試験においては≦1.0mg/lと見積もられること,2)単一種生物試験と比較すると,共存系試験であるマイクロコズム試験の方がバラツキが小さく感度が高いものと考えられること,3)生物個体数からの評価とP/R比からの評価は整合性があり,マイクロコズムを活用したP/R比からの生態リスク評価は有効な手段となること,4)単一種の試験の結果に対しては安全係数を掛けてNOECは求められるが,マイクロコズム無影響濃度(m-NOEC)の算出法については,更に検討する必要があることが示された。
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角田 裕志, 満尾 世志人, 大平 充, 千賀 裕太郎
p.
405-410
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
2008~2009 年に,山梨県精進湖沿岸の異なる生息環境(砂礫帯,礫帯,溶岩帯)に生息する外来魚オオクチバスの胃内容物と環境ごとの餌生物相を調査し,同種の食性と餌選択を環境間で比較した。食性は,砂礫帯でテナガエビが優占したのに対し,溶岩帯と礫帯ではトウヨシノボリが優占した。また,礫帯では多様な魚類が餌として捕食されていた。餌選択について,砂礫帯と礫帯ではオイカワやブルーギルなどの遊泳魚が選択されていたが,溶岩帯では忌避された。食性や餌選択の環境間の違いは,餌生物の隠れ場所(礫や水生植物)の存在とそれに伴うバスの採餌戦略の変化によって起こったと考えられる。
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小林 昭裕
p.
411-416
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
本研究では,わが国において,今後,樹木リスク管理を導入する際に検討課題になるとみられる論点について検討することとした。ここでは,ハザードとリスクの考え方,樹種による被害の差・腐朽と被害との関係,樹木の構造的強度の見方と把握手法,リスクの点検・評価,リスク軽減対策の優先順位を主眼として,国内における実態を踏まえつつ,学術論文,書籍並びにインターネット検索から得た文献資料をもとに課題を整理し検討した。その結果,統合的な樹木管理計画や樹木リスク管理に対する合意形成,従来の学問領域を超えた学際的な研究の枠組みが必要なことが確認された。
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大橋 唯太
p.
417-422
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
暑熱指標WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature) の屋外長期計測から,2008年夏季における熱中症リスクを岡山市街地内の空間形態が異なる3空間(大規模舗装地・建築物稠密地・農場)に対して解析した。運動や生活活動時の熱中症予防指針が定める「運動禁止・危険」ランクWBGT31℃以上を記録した日は,観測期間63日中,大規模舗装地で23日,農場で21日と,全体の約1/3を占める一方,建築物稠密地では3日しか記録されなかった。また,観測期間中における熱中症救急搬送データと日最高WBGTの比較から,日最高WBGTが30℃を超えてくると岡山市で熱中症リスクが急激に高まる特徴が示された。そのWBGT30℃以上の暴露時間も大規模舗装地・農場と建築物稠密地のあいだに大きな差異が認められた。これらの違いは,建築物稠密地の日陰形成がWBGTの上昇を抑制していたことに起因する。
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鍋島 美奈子, 中尾 正喜, 西岡 真稔
p.
423-428
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
河川や水路が都心部に多く存在する大阪市中心部を対象に,2009年8月に定期観光船を利用した河川上の気温の移動観測と,公園などを利用した周辺街区での気温の定点観測をおこなった。2009年9月には,同じく定期観光船を利用した移動観測を実施し,河川上の気温と表層水温を同時に観測した。その結果,河川上の気温と表層水温は正の相関関係をもち,午前10時半の時点で河川の表層水温より河川上の気温の方が2~4℃程度高いことがわかった。8月に観測した気温分布から河川上の気温と周辺街区の気温との差をみると,晴天の海風日には,海風が進入する前の10時半で最も大きく,海風進入後の12時半,16時半では徐々に気温差が小さくなる傾向がみられた。
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沖 正彦, 森山 正和, 竹林 英樹
p.
429-434
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
国及び地方自治体において地球温暖化防止の取り組みが精力的に行われているが,業務分野におけるCO2の排出量はむしろ増加しており,その対策が急がれている。神戸市では公共施設にエコロジー建築の手法を導入することで,CO2削減対策の一つとしている。ここでは公共施設管理者のエコロジー建築に対する意識と現況調査をアンケート及びヒアリングにより実施することで,エコロジー建築要素の現況との関係を明らかにする。
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平野 勇二郎, 濱野 裕之, 田上 浩孝, 藤田 壮
p.
435-440
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
本研究では夏季の都市キャノピー内の温熱環境の実態を解明することを目的とし,川崎市において行われた都市街区内の気象観測データを解析した。本研究の結果,都市キャノピー内ではオープンスペースと比較し,とくに晴天時に街区内の気温のばらつきが大きいことなどが示された。また,この街区内の気温のばらつきの要因は,建物による日影の影響が大きいことを示唆する結果が得られた。これまでの多くの都市気候研究はオープンスペースにおいて取得した気象データが用いられてきたが,都市熱環境改善などの社会要請に応えるためには都市キャノピーの効果を含めた評価が重要であることが本研究により示された。
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吉岡 剛, 古川 道信, 吉崎 浩司, 松橋 隆治, 吉田 好邦
p.
441-446
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
電力の自由化に伴い,エネルギーサービスプロバイダ(ESP)が設備の所有者となって,需要家にエネルギーサービスを提供するサービス形態が新たに登場してきている。一方,東京都は2010 年4 月から排出量取引制度を始め,都内1,330 の産業・業務用施設を対象にエネルギー起源からの二酸化炭素排出に排出枠を課することとなった。従って,ESP は,収益性に直結するより多くの事業リスクを管理していく必要性が出てきている。本研究では,金融工学を用いて,エネルギーサービス事業のポートフォリオを用いた最適な投資手法について示した。
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小林 剛, 亀屋 隆志, 三宅 祐一
p.
447-450
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
化学物質のリスクコミュニケーションのための人材育成の必要性が国内外で指摘されている。本研究では,大学院生を対象としたロールプレイ形式での化学物質のリスクコミュニケーション体験学習手法について,学習効果の向上の検討を行った。実際の社会問題を活用して仮想事例を設定すること,過去の仮想事例での議事録やピデオ教材をイメージトレーニングに活用すること,教員の適切な議論の誘導により多様な議論を効率よく行うことができた。5年分の議事禄を整理して,RCの論点の体系図を作成した。
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鈴木 伸知, 村山 武彦, 原科 幸彦
p.
451-456
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
近年わが国においては,有害化学物質に関するリスクコミュニケーションは主に個別の事業者と周辺住民との間で行われてきた。しかし,個別事業所のみのリスクコミュニケーションでは,様々な発生源から排出される化学物質の地域への累積的影響を把握することが困難であるなどの限界がある。今後は複数の事業者が協力して地域レベルでリスクコミュニケーションを行っていくことも必要である。そこで本研究では,地域の事業者が協力してリスクコミュニケーションを行うにあたり,どのような協力形態が現実的なのか,という問題意識に基づいて調査を行った。その結果,行政主導による異業種間の協力に基づくコミュニケーションの実施が望ましいと考えていることなどが明らかになった。
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藤井 秀道, 伊藤 豊, 馬奈木 俊介
p.
457-462
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
本研究ではOECD加盟23カ国の化学製品製造業を対象に1995年から2006年にかけてCO
2排出量を考盧した生産性分析を行う。分析方法にはDirectional Distance Function を適用し,生産性の推移とCO
2排出量の潜在的削減可能量の推計を行い,国別に比較した。分析結果より,CO
2排出量を考慮した生産性は1998年から2005年にかけて上昇しており,上昇の要因は先進的な技術を持つ国による技術進歩の達成が挙げられる。一方で,旧共産圈の国では生産性が悪化していることが明らかとなった。
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-LED 電球を事例として
田畑 智博, 白川 博章, 河尻 耕太郎, 井原 智彦
p.
463-468
発行日: 2010年
公開日: 2011/08/12
会議録・要旨集
フリー
本研究では,低炭素型製品として,LED 電球の購入に対する消費者の価格受容性を支払意思額(WTP)により評価した。先ず,アンケート調査から,LED電球の購入に対する消費者のWTP を,仮想評価法(CVM)により算出した。その結果,WTPは平均値で1495 円となった。次に,消費者のLED 電球の購入可能価格と平均販売額との価格差を調査した。価格差は1215 円であり,これが普及阻害要因であることが示された。これを解消するための情報提供方法としてコストペイバックタイム(CPT)を算出した結果,価格差の回収期間は6.5ヶ月となった。イニシャルコストだけでなく,CPT を組み合わせた情報提供を行うことで,LED電球の普及促進に繋がるといえる。
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