先行研究において、自身の顔は他者の顔に比べて早く見つけられることが示されている (Tong & Nakayama, 1999)。また、左手で反応させた場合、自身の顔には他者の顔に比べて早く反応できることが明らかになっている(Keenan, 1999). しかし、そのような自己顔認知の特殊性は統合失調型パーソナリティを持つ参加者には見られないとする研究もある(Platek & Gallup, 2002) 。これらの結果から、精神疾患と自己顔の認知には関連があると考えられる。そこで、本研究では、ドットプローブ課題を用いて、抑うつと自己顔に対する認知バイアスの関連を検討した。その結果、抑うつ傾向の高い参加者は、抑うつ傾向の低い参加者よりも自己顔の後に呈示されるドットに対して早く反応した。このことから、抑うつ傾向の高い人は、自己顔に対する注意バイアスを持っていることが示唆された。
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