日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第12回大会
選択された号の論文の156件中151~156を表示しています
ポスター発表4 記憶,注意,人格・臨床
  • 望月 正哉, 玉木 賢太郎, 内藤 佳津雄
    セッションID: P4-23
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/05
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    これまでの研究では,手の把持行為を観察することによって,その行為の目標に一致する対象物に注意が向けられることが示されてきた。しかし,道具の把持行為を観察することで注意が調整されるかどうかか明確ではない。本研究では,この点について様々なSOAでターゲットを提示する単純反応課題を用いて検討した。その結果,参加者は長いSOAにおいて,道具の開きに一致する対象物上に提示されるターゲットの方が,一致しない対象物上に提示されるターゲットよりも速く検出することが示された。この結果は,道具の観察による手がかり効果が,一時的なアフォーダンスによって方略的に注意を割り当てていることで起こることを示唆している。
  • 反応解除ではなく目標解放が遅延する
    井関 龍太, 勝原 摩耶, 上田 彩子, 熊田 孝恒
    セッションID: P4-24
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/05
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    井関他(認知心大会, 2013)は,SART(Sustained Attention to Response Task)を行っているときに同時的にボタン押し反応を求めると,ボタン押し開始時の反応時間に比べて,終了時(ボタンを離す)の反応時間が長くなることを見出した。この現象は,ほぼ同じ課題だがより注意要求の少ないTFT(Traditionally Formatted Task)ではみられなかった。本研究では,終了時の反応がボタン離しでない場合にも同様に遅延現象がみられるかを検討する。実験1では,実験の開始時からボタンを押し続け,プローブが提示されたらボタンを離し,消えたら再び押すことを求めた。実験2では,プローブ提示の際と消失の際にそれぞれボタンを押してすぐに離すことを求めた。いずれの実験においても,プローブ消失時の反応は提示時よりも長く,この遅延はTFTよりもSARTで大きかった。本研究の結果から,二次課題終了時の反応遅延は,特定の反応形式に依存するものではないことが明らかになった。
  • 景山 望, 光藤 宏行
    セッションID: P4-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/05
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    本研究では,新ストループ検査を反復実施した際に起こるストループ干渉率の増加について,反復による学習効果は課題の種類で異なるという仮説から検討を行った.上記について,新ストループ検査2の4種類の課題正答数,ストループ干渉課題と統制課題から算出される干渉率,反復検査による各課題正答数の増加量を用いて検討した.その結果,干渉率と全ての課題正答数は増加した.反復検査による統制課題の正答数の増加量は,干渉課題の正答数の増加量よりも大きかった.本研究の結果は,反復検査による干渉率の増加が,ストループ干渉の増大ではなく,課題の種類による学習効果量の違いであることを示唆するものであった.本研究から,検査2を用いて継続的に認知能力を測定する過程で干渉率が増加した場合,課題正答数や実施回数を含めて認知能力の変動を分析する必要があることが明らかになった.   
  • 峯 知里, 杉尾 武志
    セッションID: P4-26
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/05
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    近年,報酬(reward)と連合した刺激が無意識的に注意を捕捉することが示されている。しかし,認知負荷が高い事態で報酬と連合した刺激が,注意を捕捉するかどうかは明らかではない。本研究では,フランカー課題によって反応葛藤が生じる認知負荷の高い状況下で報酬学習を行い,価値駆動的な注意メカニズムと認知的制御の関連性について検討した。その結果,低報酬に比べ高報酬と連合したフランカーが出現した試行で適合性効果の増加がみられた。報酬の影響は,反応葛藤に対する認知的制御にもみられ,直前に報酬が与えられると一致性連続効果(congruency sequence effect)が消滅した。この現象は高報酬と同様に低報酬においても示された。以上の結果から,認知負荷が高い事態においても報酬学習が成立し,報酬と連合した刺激は無意識的に注意を捕捉することが示唆された。
  • 大塚 芽以子, 川口 潤
    セッションID: P4-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/05
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    先行研究において、自身の顔は他者の顔に比べて早く見つけられることが示されている (Tong & Nakayama, 1999)。また、左手で反応させた場合、自身の顔には他者の顔に比べて早く反応できることが明らかになっている(Keenan, 1999). しかし、そのような自己顔認知の特殊性は統合失調型パーソナリティを持つ参加者には見られないとする研究もある(Platek & Gallup, 2002) 。これらの結果から、精神疾患と自己顔の認知には関連があると考えられる。そこで、本研究では、ドットプローブ課題を用いて、抑うつと自己顔に対する認知バイアスの関連を検討した。その結果、抑うつ傾向の高い参加者は、抑うつ傾向の低い参加者よりも自己顔の後に呈示されるドットに対して早く反応した。このことから、抑うつ傾向の高い人は、自己顔に対する注意バイアスを持っていることが示唆された。
  • 松本 昇, 菅原 大地, 望月 聡
    セッションID: P4-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/05
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    抑うつ者には自伝的記憶の具体性の減少がみられる。その原因のひとつとして,抑うつ経験者は自伝的記憶の検索時にマインドワンダリングが生じると,それに捕らわれて記憶の検索が進まなくなることが示唆されている。本研究では,マインドワンダリング測定課題であるSARTにおけるマインドワンダリングや課題成績と,自伝的記憶想起課題におけるマインドワンダリングや具体的な記憶に関連があるかを検討した。大学生39名を対象にSART(McVay & Kane, 2009)とAMT-OI(松本・望月,2013)を実施した。その結果,SARTの思考サンプリングで“その他”と回答する者ほどAMT-OIの概括的な記憶が多かった。また,SARTのNo-go試行における目標無視傾向が高い者ほど,そして,SARTで課題に集中できない者ほど,AMT-OIにおいて課題無関連の内的な思考や感情に注意を向けてしまうことが示された。
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