本研究では,国際的な写真画像のデータベースであるInternational Affective Picture System(IAPS)に対して,2種類の評定項目を用いて感情価および覚醒度の評定を行った。
従来の評定方法では,参加者が評定している感情が,「刺激の呈示によって喚起される参加者の感情(情動喚起条件)」を評定しているのか,「呈示された刺激の内容に含まれる感情(刺激感情価条件)」を評定しているのかが不明瞭であった。
そこで,この2種類の感情を評定する項目を設定し,同じ刺激に対して感情価と覚醒度の評定をそれぞれ2回行い,2種類の評定値の関連について検討した。
その結果,感情価・覚醒度評定の両方で,評定値に正の相関がみられたが,覚醒度評定に関しては,刺激感情価条件の方が,情動喚起条件よりも高い値を示すことが確認された。
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