海洋深層水研究
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4 巻, 2 号
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  • 矢田 修一, 大場 雅行, 榎本 恵一
    2003 年 4 巻 2 号 p. 47-56
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    「室戸海洋深層水」中の細菌種を, 分離した細菌の16SrRNA遺伝子の塩基配列に基づいて分析 した. 分離した85株のうち75株は, Vibrio属29株, Pseudoalteromonas属16株, Shewanella 属9株, Alteromonas属6株, Marinobacter属4株, Erythrobacter属3株, Dietzia属2株, Tenacibaculum属2株, Bacillus属1株, Halomonas属1株, Idiomarina属1株, Photobacterium 属1株, 計12属に分類された. その中には, 既知の低温細菌, 深海細菌, 石油分解細菌に近縁と考えられる細菌や, 生理活性を持っと報告されている色素を産生する細菌が見出された. 属を決定できなかった10株には, その塩基配列が既知の細菌のものと低い相同性しか示さない, 未報告と考えられる細菌が含まれていた.
  • 中岡 勉, 西田 哲也, 一瀬 純弥, 長友 洪太, 水谷 壮太郎, 巽 重夫, 松下 稔, Tim PICKERING, 池上 康之, 上 ...
    2003 年 4 巻 2 号 p. 57-66
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2012/02/17
    ジャーナル フリー
    フィジー共和国をはじめとして熱帯や亜熱帯の多くの国々は, 電気と水を確保するために海洋温度差発電 (OTEC) と海水淡水化のフラント建設が期待されている.そのために, 海洋深層水を利用するOTECと海水淡水化のプラントを組み合わせたハイブリッドシステムが考えられている. このOTECを中心に据えたトータルシステムを考える場合, 設置場所の選定が重要となる.この論文は, 1996, 97, 98, 99年の12月上旬に太平洋のフィジー群島Viti Levu島のSuva沖で調査した水温・塩分・溶存酸素と海底地形にもとついて, フィジー経済水域内でのOTECの再生エネルギーを2っの方法で試算した.その結果は, それぞれフィジー共和国の現在の発電出力5.82×104kWの120倍と1959倍となった.
  • 松永 明信, 黒川 弘子, 小善 圭一, 高柳 信孝, 大戸 幹也, 豊田 孝義, 中島 敏光
    2003 年 4 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2012/02/17
    ジャーナル フリー
    イオンクロマトグラフを用いて, 硝酸塩を1時間毎に連続的に自動分析する装置を開発して, 2001年9月から2003年3月まで, 富山県滑川市の県水産試験場に揚水されている海洋深層水中の硝酸塩濃度を測定した.上記深層水中に含まれる硝酸塩濃度は通常は24μM程度であるが, 時々10.1~24.8μMの濃度変動が観察された.濃度変動は時間単位で見られ, 数時間から数日間に及んだ.硝酸塩濃度と水温に高い相関が認められ, 濃度の減少と水温の上昇が対応した.硝酸塩濃度が低く, 水温の高い水塊が深層水の取水口付近へ, 水平的又は鉛直的に時々移動してくることが示唆され, 原因として冬型の天候や台風等の可能性が考えられた.
  • 高橋 正征, 池谷 透
    2003 年 4 巻 2 号 p. 73-87
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    このところ確実に継続している世界の人口増加や食糧生産基地の農地の劣化を考えると, 近い将来, 世界の食糧生産は最重要課題の一つになりそうである.一方, 水深数10mの真光層以深に存在する巨大な栄養塩類のストックは, 現状の海洋の生産を高める一大可能性を秘めており, それが実現すれば, 陸上での動物タンパク質生産を補うことが可能である.そこで魚や他の水産生物の増産を目指して, 現在, 日本で進められている海域生産性向上への3つのチャレンジを紹介する. 第1は, 大陸棚の底近くにある栄養塩類を多く含んだ海水を人工海底マウンドと流れの作用によって貧栄養の表層水と混合して肥沃化を図る.第2は, 富栄養の海洋深層水を陸上に汲み上げ, それによって発電所を冷却し, 温まった海洋深層水を浅海域に放水して藻場やプランクトン群集の生産を高める.第3は, 大陸棚以遠の深い海域で海洋深層水を揚水し, 暖かい貧栄養の表層水と混合して密度調整し, 真光層中に留まるように放水することにより海域を肥沃化する.
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