本研究では,摂食障害予防や支援の基礎的研究と位置付け,自己愛脆弱性と食行動異常との関連性
について検討することを目的とした.女子学生148名(平均18.95±1.35歳)を対象に調査を実施し,自
己愛脆弱性の得点により,低群および高群に分類し,それぞれ,食行動異常(非機能的ダイエット,
食物へのとらわれ,むちゃ食い)が摂食障害臨床症状にどのように影響するかを検討した.
検討の結果,非機能的ダイエット行動は,自己顕示抑制を除き,各種自己愛脆弱性の低・高によら
ず,摂食障害臨床症状に影響することが示された.また,自己緩和不全ならびに潜在的特権意識では,
低群と比較して,高群において食事へのとらわれが摂食障害臨床症状へ強く影響する可能性が示唆さ
れた.
以上から,行動面の問題を持続する場合,自己愛脆弱性の程度によらず,摂食障害の臨床症状へ移
行する可能性が推測される.一方,自己愛脆弱性が強い場合,食事へのとらわれが摂食障害臨床症状
を重篤化させる可能性が推測される.
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