電子写真学会誌
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30 巻, 4 号
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  • 木村 茂雄, 草加 健作, 細井 敦, 山本 明
    1991 年 30 巻 4 号 p. 398-402
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    A new fixing system has been developed. This system is employed in Canon's portable copying machine, the FC-2. Using this system, zero warm-up time and reduced power consumption have been realized. This system consists of a fusing film in the shape of a seamless tube and a heater with a low heat capacity. We named this system “SURF.”
    In this paper, we will describe the construction of this system, the effect of film thickness on power consumption, and the temperature control system. By reducing the thickness of the film from 50 to 30 micrometers, we were able to reduce power consumption by 15%. Through the use of a multiple level temperature regulation system, the degree of fluctuation in heater temperature was reduced, resulting in improved nxability. We will also describe the features of the SURF system in comparison with a heated roller type fusing system.
  • 中谷 要, 加藤 義明
    1991 年 30 巻 4 号 p. 403-410
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    β形無金属フタロシアニン(H2&mdot;Pc)に関して,マイクロ波光電導測定を行い,H2&mdot;Pc微結晶内のキャリア寿命として10.5 msという値を得た.測定範囲の電界強度(1.3 × 102~103 V/cm)においては光電導度が電界強度に依存せず一定であった.また, H2&mdot;Pc微結晶表面に2, 4, 5, 7-テトラニトロフルオレノン(TeNF)を添加することにより,両分子の相互作用による大きなマイクロ波光電導信号が観測された.
    マイクロ波(x-バンド)領域におけるβ-H2&mdot;Pcの交流暗電導度を測定し,1.1 × 10-5 S&mdot;cm-1という値を得た.
    ペリレン誘導体顔料(N, N’-3, 5-xylyl-3, 4, 9, 10-perylenetetracarboxylic diimide)群についてマイクロ波光電導性と電子写真感度を比較したところ,積層型感光体では両者に良好な相関がみられた.
  • — フェロセン化合物の分子分散系表面層 —
    八木 茂
    1991 年 30 巻 4 号 p. 411-417
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    カールソンプロセスにて使用できるFerrocene化合物(Ferrocene, 1,1'-Dimethylferrocene, Decamethylferrocene)をPolyarylate樹脂(テイジン社製U-polymer)に分散した半導電性の表面保護層をSe-SeTe感光体(Te濃度0-30%), As2Se3, 感光体に設けた時のXerographic特性を研究した.表面層からの正電荷注入による暗減衰の増加が全ての感光体で見られた.その程度は感光体により異なりSeTe感光体ではTe濃度が増加すると電荷注入は増加する.As2Se3感光体の場合には最も電荷注入が大きくほとんど帯電しない.この電荷注入はドーパントの種類によって異なり,Ferrocene, 1,1'-Dimethylferrocene,Decamethylferroceneの順に減少する.これらの原因を明らかにするため感光体とFerrocene誘導体のイオン化ポテンシャルの測定を行い,表面層から光導電層への電荷注入の感光体およびドーパントによる差は表面層と感光体の相対的なイオン化ポテンシャルの関係によって説明できることを明らかにした.
  • 中谷 要, 半那 純一, 小門 宏
    1991 年 30 巻 4 号 p. 418-425
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    負帯電積層型感光体の電子写真特性,とくにコロナ受容電位について,キャリア発生層(CGL)中に蓄積する空間電荷の効果を考えて調査した.基板電極と接触するCGLの膜厚などがコロナ受容電位に大きな影響を及ぼした.また,基板電極とCGLの問に下引き層(UCL)を設けることによりコロナ受容電位や感度が複雑に変化することを示した.CGLの膜厚の増加にともなってコロナ受容電位は直線的に低下することがわかった.これらの実験結果から,CGL内の負の空問電荷がつくる基板電極近傍の局所的電界で支配される基板電極からの正孔注入によって,積層型感光体のコロナ受容電位が決まるということが示唆された.この考え方に基づいて,CGL(H&mdot;Pc)中の負の空間電荷密度として,約6×1016 cm-3という値を得た.
    積層感光体の静電的ストレスによる疲労(繰り返し使用によるコロナ受容電位や感度の変化)は,CGLに電子輸送能力をもたせることにより改善された.この事実は,CGL中における電子の可動性の向上によって負の空間電荷密度やその分布の変動を抑制したことに基づいて説明できる.
  • 膜寿命とトナーフィルミングに関する検討
    佐藤 徹哉, 小林 つむぎ, 久田 均
    1991 年 30 巻 4 号 p. 426-431
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    ウレタン/シリコーン系材料を用いて正帯電有機感光体用保護層を形成し,種々の組成でその機械的特性を膜寿命とトナーフィルミングの観点から検討した.保護層の膜寿命は摩耗でなく,割れ・はがれによって律速され,その膜寿命は膜厚とともに指数関数的に向上する.膜寿命の膜厚およびウレタン/シリコーン組成比依存性と,硬度,摩擦係数などの測定から,主として膜寿命は繰り返し摩擦による内部応力に対する樹脂強度が決めているものと考えられる.また,トナーフィルミングと関係の深い保護層の摩耗形態は,摩耗量や膜の耐溶剤性とともにウレタン/シリコーン組成比に大きく依存する.トナーフィルミングを起こさないためには,凝着切断の摩擦摩耗プロセスにおいて,表面にしわが寄るという形のエネルギー緩和が起こらないだけの十分な硬化と摩擦係数が小さいことが必要と考えられる.
  • 宮坂 徹, 梅田 高雄, 永田 徹也, 伊川 辰夫, 堀 康郎
    1991 年 30 巻 4 号 p. 432-438
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    感光体の解像度は,温・湿度などの環境条件の変化や繰り返し印写による疲労劣化などによって低下することが知られている.環境条件の変化や感光体の疲労劣化などによる解像度の低下は,静電潜像を形作・っている電荷が感光体表面方向に拡散することにより発生すると考えられる.そこで,先に開発した高精細静電潜像測定装置を用いて電荷の拡散現象による静電潜像の時間変化を測定した.そして,測定結果から感光体の表面抵抗や静電容量などによる等価回路モデルをたて,静電潜像の時間変化のシミュレーションを行った.その結果,静電潜像の時問変化の測定結果と等価回路モデルによるシミュレーション結果はよく一致し,モデルが正しいことを立証した.本報告では,これらの結果をもとに,静電潜像の時間変化の測定から感光体の表面抵抗を推定する手法を提案するとともに,電荷の拡散による静電潜像の時間変化という観点から感光体の解像度について検討した結果を報告する.
  • 渡辺 好夫, 岡田 健二, 佐藤 眞澄, 行方 伸一
    1991 年 30 巻 4 号 p. 439-444
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    電子写真において用いられる様々なコロナデバイスの放電過程を解析する新しい数値計算手法を提案した.本提案手法は,正負のイオンの空問的分布や時問変化,および感光体の帯電過程を,感光体の回転・導電性を考慮して予測することができる.加えて,ACコロナ除電過程の解析における計算時間短縮のための,手法の改良についても示す.
    提案スキームを用いて,感光体の回転を考慮して,典型的なスコロトロン帯電器による帯電過程の解析と,ACコロナ除電器を用いた除電過程の解析を行った.計算結果は,実験結果と非常に良い一致を示す.
  • 岡田 興昌, 岡 孝造
    1991 年 30 巻 4 号 p. 445-451
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    これまでに,現像剤の帯電に関する研究が多くなされ,いくつかの帯電メカニズムのモデルが考え出されている.それらは,電子モデル,帯電制御剤イオンモデル,水イオンモデルなどである.しかし,これらのモデルの一つが普遍的に成り立つのではなく,材料や系によって支配的になるモデルが異なることも十分に考えられる.
    我々は,帯電制御剤イオンモデルに関して,モンテカルロ法を用いたシミュレーションを行った.このモデルは,塩構造をしている帯電制御剤のイオンがキャリアに移行してトナーが帯電するモデルである.今回のシミュレーションでは,帯電制御剤イオンとキャリアコート材との間に働くクーロンカを計算し,さらに帯電制御剤イオンがキャリアコート材に移行する確率を計算した.
    シミュレーションの検証として,計算した移行確率と実際に材料を用いた実験結果とを比較した.その結果,かなり大胆にモデル化をしたにもかかわらず,キャリアコート材が親水性のときには帯電制御剤イオンモデルを支持する結果が得られた.
  • 江田 研一
    1991 年 30 巻 4 号 p. 452-458
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
  • 齋藤 博
    1991 年 30 巻 4 号 p. 460-466
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    現在のようにLBP方式の光プリンターが普及している理由は,カートリッジの発明により製品がメンテナンスフリーになったことの他に,レーザー走査装置において半導体レーザーが使えるようになり,倒れ補正光学系が発明され小型,低価格化に寄与したことが大きく影響している.レーザー走査装置に関し,開発当初より現在までの技術動向をレビューする.
  • 平根 英夫, 佐野 日隅
    1991 年 30 巻 4 号 p. 467-476
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
  • 大庭 有二
    1991 年 30 巻 4 号 p. 477-488
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
  • 斉藤 格
    1991 年 30 巻 4 号 p. 489-494
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    電子写真方式をはじめとする,銀塩方式,サイカラー方式等を用いた各種光プリンタのデジタル光書き込み装置として,色々な原理・素子を応用した固体走査アレイが開発・検討されている。このようなアレイには,解像度(印字品質・密度),応答性(印字速度),信頼性,耐久性さらには感光材料の分光感度特性とのマッチングが要求される。
    PLZTセラミックスの持つ電気光学効果を利用したシャッターアレィは,これらの様々な要求性能を満たすことのできるデバイスであり,1969年のPLZTセラミックスの発見以来,多くの研究開発がなされてきた。
    最近では,分解能400DPI・有効印字巾300mm・高速応答(~1μsec)等の性能を持つシャッターアレイも実現されており,今後の展開がおおいに期待されるところである。
  • 冨田 悟
    1991 年 30 巻 4 号 p. 495-501
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    光プリンタの書き込み光源として,新規な固体走査型発光素子“蛍光体ドットアレイ”(FLDA)を開発した.低消費電力・低電圧駆動が可能な蛍光表示管の技術を利用したものであり,基本的に1次元配列の高輝度・高精細の蛍光表示管である.等倍結像素子には筆者らが独自に開発した“ルーフミラーレンズアレイ”(RMLA),IC実装にも独自開発の“高密度・高速ワイヤボンディング技術”を用いて,小型化と低価格化を両立させ,有効印字幅:8.5インチ,印字密度:300dpiのプリントヘッドを実現した.
  • 遠山 広, 高橋 敦, 池端 昌夫, 沢井 秀夫, 古谷 博司
    1991 年 30 巻 4 号 p. 502-507
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    プラズマイメージバーは,気体放電発光を利用した光プリントヘッドであり,一般に知られるDC型プラズマディスプレイパネル(PDP)と同じ原理に基づいている.光プリントヘッドに要求される光学特性を満足させるには,ディスプレイに要求されるものとは異なる技術課題がある.本稿では,我々が採用した幾つかの技術開発事項と,これを適用した分解能300DPI,印字速度8PPMでレターサイズのプラズマイメージバーの性能を示し,その有効性と課題について述べる.
  • 伊賀 要, 梶村 元二
    1991 年 30 巻 4 号 p. 508-512
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    我々は,世界で初めて端面発光型EL素子を用いた電子写真用の光書き込みヘッドを開発した.EEH(Edge Emitter Head)は,薄膜プロセスにより簡単に製造することができるため光出力の均一性に優れており,高解像度化も容易である.また,本ヘッドは,温度安定性も大変良好である.
    以上のようなことから,固体発光素子を用いたアドレス型のヘッドであるEEHは,小型,軽量および高品質なプリンタシステムに適しており,我々は理想的な特性を備えた次世代の光書き込みヘッドであると考えている.
  • 馬場 信行
    1991 年 30 巻 4 号 p. 513-521
    発行日: 1991年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    ホログラムスキャナは多くの機能と利点を有している.例えば,レンズ機能を持たせて,レンズを省略できる.そのため,低コスト化やコンパクト化ができる.また,直線性よく走査もでき,小さく均一な集光スポットでの走査もできる.また,取付けは回転多面鏡ほどの精度を必要としない.しかし,光源の波長変化に非常に敏感であるという現象がある.そして,この現象は画質に影響する.レーザプリンタはより高精度な画質が要求されてきている.このより高い画質をいかにホログラムスキャナが実現していくかということに今後のこの分野におけるホログラムスキャナの発展がかかっている.
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