電子写真学会誌
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31 巻, 3 号
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  • — 感光体上でのトナー像重ね合わせ —
    羽根田 哲, 板谷 正彦
    1992 年31 巻3 号 p. 367-379
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    感光体上にトナー像を重ね合わせてカラー像を形成する新規なカラー電子写真プロセスについて報告する.この方式の特徴的な技術は,静電潜像形成プロセスおよび非接触現像法である.
     このプロセスにおいて,高品質カラープリントを得るために次の点に着目して検討した.
    (1)スコロトロンによるトナーおよび感光体の帯電現象および露光による電荷減衰現象について調べた.その結果,トナー層上に画像形成する場合には,露光量による制御が必要であることがわかった.(2)先行して現像されたトナー像を乱さない2成分非接触現像法を開発した,その結果,カブリ,キャリア付着,混色などの生じないプロセス条件を見いだした.(3)トナーの小粒径化および現像の順番が,トナー重ね合わせに起因する影響の軽減と印字品質の向上に効果的であることがわかった.
  • S. SASABE, M.K. MAZUMDER, R.E. WARE, K.H. KALB, N. KUTUWADA, Y. NAKAMU ...
    1992 年31 巻3 号 p. 380-385
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    Aerodynamic size (da) and electrostatic charge (q) distributions of black and color toners are influenced particularly by agitation time, toner-to-carrier mass ratio and relative humidity. An electrical single particle aerodynamic relaxation time (E-SPART) analyzer was used to measure the da and q/m distributions providing non-contact, real-time, single-particle measurements.
    Experimental data show most toners acquire bipolar charge distribution, but reverse polarity charging is more significant in color toners.
  • 細矢 雅弘, 斉藤 三長, 上原 勤
    1992 年31 巻3 号 p. 386-391
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    「現像同時クリーニングプロセス」によるクリーナレスプリンタにおいては,転写残りトナーが後続の画像に与える影響を除去できる条件を見出すことが最も重要な課題となる.本報告では,既報の「一成分非磁性現像方式を用いたクリーナレスレーザプリンタ」で詳述した現像同時クリーニングモデルを用いて,トナー帯電量を始めとする主要パラメータとメモリ発生の関係を理論的に予測し,それらの最適化の手法を導出した。その結果,(1)現像トナー帯電量には最適範囲が存在し,その絶対値が小さい領域ではネガメモリが,大きい領域ではポジメモリが発生しやすいこと,(2)転写残りトナー帯電量は小さいほど好ましいこと,(3)接触型一成分非磁性現像がクリーナレスプロセスに適していること,を明らかにした.
  • 田中 敦, 佐藤 誠一, 高田 達雄, 酒井 捷夫
    1992 年31 巻3 号 p. 400-406
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    固体絶縁材料中の電荷分布測定に用いられている圧力波法を,OPC中の電荷分布を直接観測する方法として適用した.そして1この圧力波法がOPCの電気的特性評価法として有効であるか考察するため,以下の測定を行った.
    (1)微結晶分散形OPC,および積層形OPCに電界を印加し,さらに白色光を照射したときのOPC中の電荷分布を観測した.
    (2)積層形OPCに電界を印加したまま断続的に光照射を行い,生成されるキャリヤの量が増加する様子を観測した.
     測定の結果,圧力波法はOPC中の電荷分布を外部電界,光照射下で直接かつ明確に観測できる.従って,今後OPCの電気的特性評価法として期待できる.
  • 矢島 孝博, 秋田 成司, 中山 喜萬, 河村 孝夫
    1992 年31 巻3 号 p. 407-412
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    水素化非晶質シリコンカーバイド薄膜(a-Si1-XCX:H)をキャリア生成層(CGL)とし,2,4,7トリニトロ-9-フルオレノン(TNF)をキャリア輸送層(CTL)とした積層感光体の光電流の制限機構について考察した.光減衰曲線から光電流を求め,その電界強度依存性について調べた.光電流はTNF分散膜の膜厚とTNF分散比に大きく依存することから,TNF分散膜中におけるキャリア飛程制限であると考えられる.実験結果と計算結果との比較から,TNF分散膜中のキャリア飛程およびキャリア寿命を求めた.また,TNF/a-Si1-XCX:H積層感光体はCGLのキャリア生成効率およびCGL/CTL界面のキャリア注入効率が高いことがわかった.
  • 田中 勝彦
    1992 年31 巻3 号 p. 392-399
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    計算化学による正電荷制御剤開発の可能性を検討した.グアニジン誘導体を例にとり検討した結果,分子軌道法により得られたグアニジン誘導体のイオン化ポテンシャルとそれらを含有したモデルトナーの摩擦帯電量は直線関係にあることがわかった.また,グアニジン誘導体の正摩擦帯電量は,SP2の窒素上の電荷密度に影響されていることが指摘された.さらに,ポリマーマトリックス中に有機化合物を分散させると,孤立有機分子の最高被占軌道と最低空軌道の中間レベル付近までシフトした分散有機分子の最高被占軌道が摩擦帯電準位を提供すると考えると一連のモデルトナーの摩擦帯電能が説明される.
     これらの結果は,分子軌道法が電荷制御剤開発のための分子設計ならびに摩擦帯電量の予測に有用な手段となりうることを示している.
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