電子写真学会誌
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34 巻, 1 号
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総合論文
  • 山崎 敏規, 高橋 智, 野守 弘之
    1995 年 34 巻 1 号 p. 3-22
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/04/06
    ジャーナル フリー
    二成分現像系における摩擦帯電および電子写真画像の画質に与えるトナー表面電荷密度とトナー粒子径の効果について,次の諸因子を変化させて調べた.すなわち,(1)平均トナー粒子径dを6.8μmから13.5μm,平均キャリア粒子径Dを43μmから106μmに変化させ,(2)キャリア・コアの種類を変えることによりキャリア比重ρcを変え,(3)キャリア表面を被覆するメチルメタクリレート/スチレン共重合樹脂の組成比MMA/Stを変え,および(4)トナー・バインダーであるポリエステル中のカーボンブラック濃度[C B]を変化させて調べた.
    その結果,二成分現像系の摩擦帯電は,1個のキャリア表面上で%個のトナーの摩擦によって生じた1個のトナー表面上の電荷密度(q/st)を,トナーとキャリアの間での平衡接触電場(Ek)およびトナーとキャリアの構造因子(あるいは,形状因子)(ft, fc)の考えに拠って,n個のトナーと1個のキャリアの表面積比(nst/sc)の関数で表すことによって記述できることが分かった.これは,従来の,トナーの重量比電荷(q/m)をトナーとキャリアの重量混合比X(あるいは,トナー濃度筑)の関数で表すことにとって記述する方法よりもずっと一般的と思われる.
    そして,電子写真画像の画質項目の一つであるベタ画像の現像効率は,上記のトナー表面電荷密度q/stによって決められることが分かった.これは,従来,Scheinおよび多くの研究者によって,ベタ画像の現像効率がトナー重量比電荷q/mを使って数式化されてきたことと異なる.
    さらに,電子写真画像の画質に関して,線幅Γ0=100μmの線原稿を二成分接触現像法で感光体ドラムの回転方向に作像した線画像の線幅Γはトナー粒子4個分拡がり(ΔΓ= +4·d),その時の解像度Reは拡がり幅ΔΓに反比例して決められる( Re ∝ 1/4d)ことが分かった.一方,感光体ドラムの水平方向に作像した線画像の線幅rは現像剤の穂による掻き取り効果により減少した.
    また,一成分ジャンピング現像法で作像した線画像の拡がりΔΓは感光体ドラムの回転方向や水平方向に選らず等方的であったので,一成分ジャンピング現像法で網点再現性について検討した.その結果,150 dots/inchの網点で,網点面積率が5%以下の小網点原稿の場合には,原稿画像が再現されず網点画像そのものが消失した.網点面積率が12%の原稿の場合には,網点画像の直径Ddはトナー粒子2個分縮小した(ΔDd = -2·d).網点面積率が増加して28~60%の原稿の場合には,その再現画像の直径Ddはトナー粒子6個分拡大した(ΔDd = +6·d).
    これらの結果から,線画像の解像度・網点再現性を一層向上させる為に,小粒径トナー採用の必要性が指摘できた.
論文
Imaging Today
『創造の原点を探る —そのII—』
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