本研究の目的は、小規模多機能型居宅介護施設の利用者に対するアンケート調査を分析し、高齢期の地域居住の支援を検討することにある。その結果は、次のように要約できる。1)施設の利用者は、高齢の単身や夫婦のみ世帯が多く、要介護度は低い。2)施設利用のあり方は、家族構成や要介護度により異なる。施設利用の動機は、子供の判断の影響が大きい。施設選択の第一要因は、現居住地に近いことにある。3)施設の利用圏域は、広域化している。4)利用者が子供と近接居住する傾向は強いが、近隣施設の利用は約4割に留まる。5)小規模多機能サービスは、高齢期の地域居住を支える重要な役割と意義があるが、地域事情により異なる地域性がある。
頸髄損傷者(以下頸損者)は、極めて重篤な体温調節障害(ほぼ全身に及ぶ発汗障害、血管運動障害、熱産生障害、温冷感麻痺)を有するために、日常生活で多くの困難に直面している。筆者は、これまでの人工気候室実験、アンケート及びフィールド調査から、頸損者には一般健常者とは異なる特別な温熱環境的配慮・支援の必要性が示されたため、頸損者の体温調節障害を支援する具体的な方法を確立することが重要であることを指摘してきた。そこで、本研究では、温熱環境に対する頸損者の要望を把握することを目的としたWeb アンケート調査を実施した。その結果、冷暖房設備、衣服、寝具、医療機器、福祉用具への要望が示された。これにより、当事者である頸損者の望む温熱環境的支援の内容が把握でき、本人の要望に沿った支援の課題を明確にできた。
今、当たり前のように自転車やバイク、自動車を乗り日常生活を暮らしている私たちにも、いずれそれらの便利な道具を手放さなければならない日が来るかもしれない。便利な道具を手放すことは誰にとっても不安なことで、素直に受け入れられるものなのかはその立場になってみないとわからない。私たちにできることは、その時にどのような生活をしていたいのか、その未来を描き、新しい環境や新しい道具を作り準備をすることだと考える。本報では、歩行空間を作り上げる上で前提となる環境的配慮と製品的配慮の両観点から現状を整理し、そのうえで、歩行空間で利用する新たな機能を持つ移動支援機器を紹介する。
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