日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
38 巻, 2 号
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原著
  • 鵜飼 孝, 鎌田 幸治, 野上 朋幸, 杉本 浩司, 多田 浩晃, 角 忠輝
    2022 年38 巻2 号 p. 83-94
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/19
    ジャーナル フリー

    抄録 目標を達成するためには,明確な目標設定と達成度確認のための振り返りが重要である.しかし,すべての研修歯科医が目標設定の重要性を理解し,自分に合った目標を設定しているわけではない.そこで,2019年度に歯科医師臨床研修のプログラム(長崎大学病院群研修プログラムA)にて長崎大学病院で1年を通して歯科医師臨床研修を行った25名の研修歯科医が4月に行った目標設定と,目標達成度確認のために繰り返し行われた振り返りのためのルーブリック評価が,研修歯科医の目標設定に対する考え方やモチベーションに与える影響を検討した.

     目標設定研修のグループワーク(5人,5グループ)で抽出された内容をもとに指導歯科医が作成した共通ルーブリック表を用いて7月,11月と翌年3月に,研修歯科医が各自の目標評価のために作成した個人別ルーブリック表を用いて11月と翌年3月に目標達成に向けての研修の振り返りを行った.また歯科医師臨床研修開始時ならびに修了時に目標設定や振り返り評価などに関するアンケートが実施された.研修後大半の研修歯科医が目標設定と繰り返しの振り返りの重要性を理解し,目標設定へのモチベーションが向上したと回答した.

     今回の調査から,歯科医師臨床研修の初期に目標設定を行い,経時的に目標達成の振り返りを行うことは,研修歯科医がそれらの重要性を理解するばかりでなく,目標達成のためのモチベーション向上に寄与する可能性が示唆された.

調査報告
  • 五十嵐 千浪, 小林 馨
    2022 年38 巻2 号 p. 95-100
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/19
    ジャーナル フリー

    抄録 鶴見大学歯学部5年生の臨床実習中に行ったパノラマエックス線撮影実技試験の成績評価から得られた学生の弱点と評価項目の検討を行った.

     対象は本学歯学部5年生であった99名(男性60名,女性39名)とした.本学附属病院画像検査部にパノラマエックス線撮影依頼で来科した患者を実技試験の対象者として画像検査時に評価した.評価項目は35項目,評価基準は,たいへんよくできた:3点,できた:2点,途中までできた:1点,できなかった:0点の4段階評価を用いた.学生1名に対して1名の評価者(歯科医師3名,診療放射線技師4名)が実施した.

     99名中合格者は82名,不合格者は17名で,得られた評価点数に等分散性を認めたため,一元配置分散分析を行った.学生が苦手であった評価項目は,断層域の設定,頭部基準平面の設定,撮影条件の設定などの画質へ影響する項目であった.

     学生はパノラマエックス線撮影装置を操作することに問題はなかったが,パノラマエックス線撮影の原理を理解することは難しく,実技実習を通して経験を積むことで,撮影原理の理解を深めさせることの重要性が示された.

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