日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
39 巻, 2 号
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原著
  • 杉本 恭子, 西 恭宏, 南 弘之
    2023 年 39 巻 2 号 p. 63-69
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    抄録 超高齢社会を迎え,高齢者への身体的理解を深める機会とするために,鹿児島大学歯学部では令和2年度より高齢者疑似体験教材を用いた高齢者疑似体験実習を臨床実習開始直後に取り入れた.本実習は,本学独自の訪問歯科診療シミュレーション実習の一部として行っているものであり,訪問歯科診療シミュレーション実習は訪問先での歯科診療を想定したシナリオに基づき,マネキンおよびポータブルの治療器具を用いて実施してきた.高齢者疑似体験実習で使用した装具は,イヤーマフ(耳栓),視覚障害ゴーグル,肘・膝サポーター,手首・足首用重りバンド,前かがみ姿勢体験ベルトの7種であり,すべてを装着して歩行や階段の昇降,ドアテンキーの解除を体験させた.実習中は前かがみ姿勢および視野狭窄の状態での階段昇降に苦労する学生が多く,介助者に支えを求めたり,介助者が自然と手を差し伸べたりする場面がしばしばみられた.実習後の質問紙調査では,高齢者に抱いていた印象が実習前後で変化したという回答が半数以上を占め,高齢者が日常生活で感じている身体的な負担を実際に体験した意義は大きかったと考えられる.本実習を通して,高齢者の身体的特性に対する理解が進んだと示唆され,今後は実習内容を充実させて,より一層理解が進むよう改善を検討している.

  • 田谷 雄二, 田中 とも子, 田代 有美子, 永浦 まどか, 栃木 啓佑, 島村 直宏, 井出 良治, 堀江 哲郎
    2023 年 39 巻 2 号 p. 70-79
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    抄録 LTD based PBL(LBP)は協同学習の技法である話し合い学習法(LTD)を基盤とした問題基盤型学習テュートリアル(PBL)である.LBPの技法は日本歯科大学生命歯学部1年生を対象とした「話し合い基盤型問題解決演習(LBP)」という単科目で活用した.LBPの授業は,2020年度はすべてオンライン,2021年度はオンラインと対面の両方,2022年度はすべて対面の授業形態で実施した.本研究では,LBPにおけるオンラインと対面での小グループ活動に関する学生意識調査について比較解析した.その結果,全面または一部でオンラインを経験した2020・2021年度ともにZoomのブレイクアウトルームで十分に対話が可能という回答が60%程度であり,小グループ活動はオンラインでも実施可能であることを示した.一方,授業形態については対面を支持した学生が格段に高い割合を示し,発表・傾聴・発言・話し合いのいずれも,多くの学生にとってオンラインに比べて対面のほうが実施しやすいという結果を得た.対面では周囲の人の表情や態度がわかりやすくメンバーの把握が容易なため,話し合いのなかで安心と安全が担保されやすく,学生たちの高い支持率が得られたものと推察された.ただし,オンラインでもネット環境の改善を図ったうえで,ブレイクアウトルームを使用することで,ある程度のレベルまでのグループ活動が可能であるが,ビデオがオンの状態であることやホワイトボード機能アプリの使用などの工夫が必要であることも示された.

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