日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
最新号
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巻頭言
原著論文
  • 吉岡 詠美, 金子 さゆり
    2024 年 16 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/15
    [早期公開] 公開日: 2023/03/24
    ジャーナル フリー

    本研究は、看護師の倫理的実践の向上を目指し、より効果的な組織的支援を検討するために、看護ケアの倫理コンピテンシーの構成要素と構成要素間の関係性を明らかにすることを目的とする。関東甲信越地方にある地域医療支援病院3病院に勤務している看護師189名を対象に、アンケート調査を行った。看護ケアの倫理コンピテンシーの構成要素は7つで構成されていた。構成要素間の関係性は、【倫理的課題の特定】から【倫理的課題の共有】を経由し〈看護実践〉へ、もしくは【倫理的課題の特定】から〈看護実践〉への2つのルートを経て、【倫理的実践からの教訓】と関連を示した。潜在変数〈看護実践〉は4つの行動に関するコンピテンシーと関連した。今後、看護ケアの倫理コンピテンシーの構成要素間の関係性を踏まえ、7つのコンピテンシーの獲得に焦点を当てた研修と周囲のサポートが必要だと考える。

  • 工藤 千賀子
    2024 年 16 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/15
    [早期公開] 公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー

    近年、看護師に対する患者・家族からのセクシュアル・ハラスメント等が深刻化している。管理者が、組織的問題として解決する方策を立案する手がかりを得ることを目的とし、無記名自記式質問紙調査を実施した。セクハラ体験者中、自由記述があった242名を分析対象とした。分析の結果、Hibinoらによる11type以上の内容が抽出された。また、「感情」や「行動」の記述があった77名分を分析した結果、「感情」に関して、【仕方ないという思い】、【恐怖・不快感】、【感情労働への思い】の3カテゴリーが、「行動」に関して、【ことばや態度による拒絶】、【受け流す・かわす】、【組織やスタッフ等の対応】、【対応の困難さ】の4カテゴリーが抽出された。さらに計量テキスト分析の結果、ことばによるセクハラや、身体を「触る」セクハラが多かった。その背景として感情労働という職業上の特徴があることや、組織的対策が急がれることが示唆された。

  • 梅田 節子, 花房 由美子, 森田 幸子, 丸山 浩枝, 稲垣 聡, 石原 逸子
    2024 年 16 巻 1 号 p. 20-29
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/15
    [早期公開] 公開日: 2023/08/18
    ジャーナル フリー

    本研究は、看護師の道徳的効力感に関連する倫理教育プログラムにおけるCNSの具体的な支援内容を明らかにし、CNSのコンサルテーションおよび倫理調整の役割を考察することを目的とした。研究方法にはアクションリサーチを導入し、参加看護師とCNSとの看護実践の会話内容による逐語録を質的記述的に分析した。その結果【参加者の気がかりから問題の本質に導く】【参加者の能力を見極め実現可能な教育方法を選択する】【倫理課題解決の方略を提案する】【リソースを活用し調整する】【参加者のエネルギーに配慮しながら支援し、実現に導く】【参加者の強みを引き出し自信につながる実践を実現させる】の6カテゴリーが見出された。CNSの支援は、参加看護師の自己効力の形成を促し、倫理的意思決定および倫理的実践に影響を与えたことが考えられ、本プログラムにおけるCNSの倫理調整とコンサルテーション役割の重要性が示唆された。

  • 原口 梨那
    2024 年 16 巻 1 号 p. 30-39
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/15
    [早期公開] 公開日: 2023/08/18
    ジャーナル フリー

    本研究では、NICUに入院する重篤な疾患を持つ児に対する生命維持治療の差し控えや中止の際に、新生児集中ケア認定看護師が協働意思決定の場面で実施した看護支援について明らかにすることを目的とした。新生児集中ケア認定看護師14名を対象に、半構造化面接によりデータを収集し、質的記述的に分析した。分析の結果、57のコード、15のサブカテゴリ、5カテゴリ【プライマリーナースを中心とした親との関わり】、【児と親へのケア・環境の調整】、【多職種との連携・協働】、【親の思いや価値観の理解・確認】、【治療方針決定のための話し合い】に類型化された。看護支援としては、プライマリーナースを中心に児と親がすごしやすいように環境調整し、親がわが子の誕生を実感し病状を理解できるように関わっていた。また、多職種との連携・協働により情報共有し、親の思いや価値観を理解しながら段階的に話し合いを進め、親の意思決定を支援していた。

短報
  • 林 亜矢子, 山本 八千代
    2024 年 16 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/15
    [早期公開] 公開日: 2023/04/29
    ジャーナル フリー

    本研究は、入院中突然病院閉鎖になり、隔離状態に陥った患者がどのような心理状態を呈したか、どのような現象が起こったかを明らかにすることを目的とし、インタビューガイドを用いて半構成的面接を行った。患者は家族に会えない寂しさや不便さ、経済的な不自由さを感じていた。未知のウイルスの感染拡大初期に、テレビ報道による過酷な現状に怯え、退院後は風評被害にさらされていた。一方数少ない患者同士の連帯感も生まれ、互いに励まし合う様子や隔離状態を電子媒体利用のきっかけとする患者もみられた。感染対策を徹底し、隔離状態に陥った患者の孤独感に配慮しながら生活上の不自由さ孤独感や孤立感に配慮するよう看護師は働きかけなければならない。

  • 中釜 英里佳, 宿利 優子, 小野 美喜
    2024 年 16 巻 1 号 p. 48-55
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/15
    [早期公開] 公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー

    特定行為研修における倫理教育の実態を明らかにすることを目的とした。研修実施者442名を対象に無記名自記式質問紙調査を行った。研究対象者51名の所属研修機関は、病院が多く、大学院はなかった。倫理教育実施者は、看護実践者の次に医師が多かった。研修機関において、「看護倫理」科目名はほとんど立てられず、厚生労働省が提示する「医療安全」や「特定行為実践」科目とし倫理教育が行われていた。倫理教育内容に関して、研修実施者は指定外の内容も「教えている」という認識をもち、倫理教育の必要性を感じていた。倫理教育方法はEラーニングが多かったが、「多職種協働とコミュニケーション」など、事例検討やテーマディスカッションで実施している内容もみられた。研修実施者は、受講者の倫理教育のレディネスの差を感じていた。教育内容ごとに様々な教育方法を検討し、限りある人的資源を活用して倫理教育を行っていることが示唆された。

  • 木下 天翔, 八代 利香
    2024 年 16 巻 1 号 p. 56-62
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/15
    [早期公開] 公開日: 2023/10/31
    ジャーナル フリー

    目的:新型コロナウィルス感染症(以下、COVID-19)に関する手術室看護師が経験した倫理的問題の実態を明らかにすることである。

    方法:手術室看護師(看護師長・看護師経験年数1年未満・非常勤職員を除く)746名を対象に無記名自記式質問紙調査を行い、自由記述を質的帰納的に分析した。

    結果:コロナ禍で手術室看護師が経験する倫理的問題は、【手術を受ける患者へのケア】、【院内システムや方針】、【面会・訪問の制限】、【自身や家族への差別・偏見や制限】の4カテゴリーに整理された。

    結論:手術室看護師は、COVID-19の感染防止対策に取り組みながら患者をケアすることの難しさや、自分自身や家族が社会からの差別・偏見に加え、プライベートも制限されていることに倫理的問題を経験していることが明らかになった。

レター
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