日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
4 巻, 1 号
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巻頭言
短報
  • 中嶋 尚子, 鈴木 真理子, 吉岡 恵, 田中 髙政, 宮﨑 紀枝, 宮原 香里, 雨宮 多喜子, 小西 恵美子
    2012 年 4 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2012/02/25
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    現代の看護学生がロールモデルをどのように捉えているか探索し、職業倫理教育におけるロールモデルの有効性を検討した。「GoodWork®Toolkit 」の中のロールモデルを考える事例を題材に、看護系大学3年生6名のグループ対話の内容を分析した。その結果、学生は生涯特定の人を師とすることには理解を示さず、教師や両親のような自分の可能性を信じる身近な支援者を尊敬の対象としていた。また学生は身近な人の行動を実感することによってその正しさを判断していた。結果から、今後の職業倫理教育の可能性として、学生が状況の現実の中に浸ることのできる状況倫理が示唆された。

  • 村田 尚恵
    2012 年 4 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2012/02/25
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    本研究は、日常の看護実践で遭遇する倫理的問題に対する看護師の行動の背景にある思いを明らかにすることを目的として、臨床経験5~10年目の看護師10名を対象に半構成的面接による質的帰納的研究を行った。その結果、行動の背景にある思いは、【自らの看護行為の省察】から【患者の置かれている状況がよりよくなることを希求】を抱き、その行動によって患者から得られる【援助へのよい反応に満足】し、さらに【自らこうあるべき・ありたいと考える看護】という、倫理的問題への行動を導く思いがあった。一方、【考えの違うものや現状にもつ否定的な感情】は、それにより【主体的な問題関与からの回避的志向】を招き、【患者の関わりへの自責の念】を抱くという、回避的行動を導く思いがあった。しかし、【患者の関わりへの自責の念】は、 そこに留まらず、【自らの看護行為の省察】へとつながり、倫理的問題への行動を導き出すことが示された。

  • 飛世 照枝, 坂井 桂子
    2012 年 4 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2012/02/25
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    看護師が倫理力ンファレンスをどのように意識しているのかを知ることを目的に、看護師5名に半構成的面接を行い、質的分析を行った。分析の結果、倫理力ンファレンスに対する肯定的な意識に関連する9力テゴリーと、懐疑的な意識に関連する4力テゴリーが抽出された。肯定的な意識においては、モヤモヤした気持ちを何とかしたいと倫理力ンファレンスに臨むことで、状況が整理されて大切なことが見えるようになり、患者の気持ちに踏み込んで関わろうと意識して行動し、患者との距離が縮まるという、倫理的行動の発展の様相を示していた。懐疑的な意識においては、倫理的視点で考えることの苦手意識や自信のなさに関する内容であった。肯定的な意識と懐疑的な意識は各対象者に常に同時に存在していた。

  • 増田 裕美, 濵 耕子
    2012 年 4 巻 1 号 p. 22-31
    発行日: 2012/02/25
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    妊娠中に入院を経験した女性が認識する看護者のケアリング行動を明らかにすることを目的に、妊娠中に入院を経験した産後の女性に対して調査を行い、70名から回答を得た。CBA-J(CBAケアリング行動アセスメント尺度日本語版)63項目のうち、「医療器具の扱いに習熟している」が最も高い得点であり、「私になんと呼んでほしいか聞いてくれる」が最も低い得点であった。今回の妊娠中の母体搬送経験の有無でCBAのWatsonのケア因子に基盤を置くサブスケール「助けること/信頼」、今回の妊娠以前の流・死産経験の有無で「ヒユーマ二ズム/信頼-希望/感受性」について有意差を認めた。妊娠期に入院を経験した女性は看護者のケアリング行動を非常に重要であると認識しており、Watsonのケア因子を統合したケアリングや妊婦の置かれた状況や背景を理解した上での看護の実践が重要であると示唆された。

  • 前田 樹海, 小西 恵美子
    2012 年 4 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2012/02/25
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、Lützénらが開発し2006年に改訂した道徳的感受性質問紙(rMSQ)をもとに日本語版(J-MSQ)を作成し、測定用具としての妥当性を検証することである。J-MSQの作成には、rMSQ開発者とのやりとりによる各質問項目の意昧の特定、有識者による質問文の検討、翻訳/逆翻訳の段階を経た。回答は6段階のリッカー卜尺度とし、一般病院の看護職を対象に計210の質問紙を配布し141件の回答を得た。因子分析の結果、rMSQの3つの因子、Moral Strength(MS)、Sense of Moral Burden(SMB)、Moral Responsi- bility (MR) と一致する因子が抽出された。信頼性係数はそれぞれ.798、.622、.144であった。LützénらによるrMSQの構成概念は日本の看護師に適用できる可能性とともに、MRを測定する質問項目に関しては今後見直す必要が示唆された。

  • 山下 早苗
    2012 年 4 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 2012/02/25
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    小児がんに用いられる治療は、子どもの正常な発育や発達を損なう可能性があり、時には深刻な晩期障害を合併する例も少なくない。長期生存に伴い、健康管理を継続していくことの重要性が指摘されており、子どもへの説明を十分に行いながら、親主導の療養から子ども自身のセルフケアへの移行をスムーズに行い、子どもの病気に対する対処能力を高めていく必要がある。本稿では、わが国における小児がんの子どもへの病名病状説明に関する文献的概観について報告する。

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