本論文において、現象論的に、看護場面における、自律性尊重原則が軽視されるような場面についての分析、および看護師の倫理観形成についての分析を行い、さらに、独我論・独在論-言語ゲームの世界観に触れることの自律性尊重原則重視の価値観形成への影響を検討した.まず、看護場面において、患者の自律性尊重原則が軽視されたり、尊厳が冒されるような日常的な場面の考察を行うことにより、自律性尊重原則の軽視はケアを行う看護師においても、それが人間本来自然な姿であり、それを乗り越えるための論理が必要であることが明らかとなった。次に、看護師の倫理観の形成についての分析によって、自律性尊重原則を重視するような倫理観を形成することの困難さが示された。
最後に、これらの困難さを克服するために独我論・独在論-言語ゲームの世界観に触れることが、いかにして看護師の自律性尊重原則重視の価値観形成につながるのかについての議論を行った。
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