日本鳥学会誌
Online ISSN : 1881-9710
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64 巻 , 1 号
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特集1:鳥類がもたらす生態系サービス
序文
総説
  • 風間 健太郎
    64 巻 (2015) 1 号 p. 3-23
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
     鳥類が担う多様な生態系機能の大部分は,生態系サービスとして人間に利益をもたらす.そのうち供給サービスや文化サービスは古くから人間に認知されてきたが,基盤サービスや調整サービスの認知度は低く,その価値評価も不十分である.鳥類は捕食,移動,および排泄を通じて,種子散布・花粉媒介,餌生物の個体数抑制,死体の分解・除去,および栄養塩類の循環などの多様な生態系機能を担う.これらは,有用植物の生産性向上,有害生物の防除,生息環境の創成・維持などの利益を人間にもたらす.近年ではこれら生態系サービスの価値を経済的に評価する試みがなされているが,その実例は少ない.主に農耕地生態系において古くから鳥類の生態系サービスを享受してきた日本においては,その理解と価値評価がとくに必要とされる.
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  • 北村 俊平
    64 巻 (2015) 1 号 p. 25-37
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
     鳥類は地球上のさまざまな生態系において,多様な生態系サービスを担っている.本総説では,鳥類による花粉媒介と種子散布についての知見をまとめた.動くことのできない植物にとって,花粉媒介と種子散布は自らの遺伝子を広げる数少ない機会の一つであり,多くの鳥類が花蜜や果実を餌資源として利用している.自然実験を利用した研究から,花粉媒介者や種子散布者である鳥類を喪失することで,実際に植物に花粉制限が生じ,更新過程が阻害されている事例や群集レベルでも種子散布が機能していない事例が明らかになってきた.現段階では例数は少ないものの,鳥類による種子散布の経済的価値を評価した研究も行われている.スウェーデンの都市公園では,公園内の優占樹種であるコナラ属の種子散布者であるカケス1ペアの経済的価値は,人間が種子の播種や稚樹の植樹作業を行った場合にかかる費用に換算すると58万円から252万円に相当する.一方,鳥類は優秀な種子散布者であるがゆえに外来植物の分布拡大を促進する負の側面も知られている.これまで見過ごされてきた鳥類による花粉媒介や種子散布の情報を蓄積していくことで,それらの生態系サービスをうまく活用する方策,ひいては鳥類を含む生物多様性の保全に結びつけていくことができるのではないかと期待される.
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原著論文
  • 出口 智広, 吉安 京子, 尾崎 清明, 佐藤 文男, 茂田 良光, 米田 重玄, 仲村 昇, 富田 直樹, 千田 万里子, 広居 忠量
    64 巻 (2015) 1 号 p. 39-51
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
     生態系サービスの持続的利用を考える上で,生物がどのようなサービスを人間に提供するかだけでなく,このサービスを提供する生物が環境変化によってどのような影響を受けているかの双方の理解が不可欠である.本研究では,東南アジアから繁殖のために日本に渡ってくる夏鳥の中から,気象庁生物季節観測(1953~2008年)および標識調査(1961~1971年,1982~2011年)で情報が多く得られているツバメ,カッコウ,オオヨシキリ,コムクドリを選び,成鳥および巣内雛の出現時期の長期変化,両時期と前冬および当春の気温との関係,および植物,昆虫の春期初認日との関係について調べた.その結果,ツバメ,オオヨシキリ,コムクドリの成鳥および巣内雛は,出現時期が早期化する傾向が見られたが,カッコウだけは出現時期が近年晩期化する傾向が見られた.ツバメ,オオヨシキリの成鳥および巣内雛の出現時期は,気温が高い年ほど早期化する傾向が見られたが,カッコウの出現時期は気温が高い年ほど晩期化する傾向が見られた.これらの長期変化の速度は,一部を除いて,欧米の先行研究の結果からの大きな逸脱は見られなかった.また,これら鳥類と植物および昆虫の出現時期とのずれは一定で推移しているとは言えなかったが,早期化あるいは晩期化する鳥類を隔てる要因や,フェノロジカルミスマッチをもたらす要因について明らかにすることはできなかった.今後フェノロジカルミスマッチに注目した研究を進める際には地域差を考慮した解析が必要である.
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特集2:福島第一原子力発電所事故の放射能汚染が鳥類に与える影響を考えるⅠ
序文
原著論文
  • 村上 正志, 鈴木 隆央, 大手 信人, 石井 伸昌
    64 巻 (2015) 1 号 p. 55-61
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
     福島県北部の森林における,放射性セシウム(137Cs)の鳥類への生物的な移行を検討した.福島第一原発の事故により放出された放射性セシウム(137Cs)は,東北地方を中心に広く拡散した.森林生態系において,林床のリターに蓄積された放射性セシウムが,鳥類にどの程度取り込まれたかを明らかにするために,5種の鳥類,カビチョウGarrulax canorus,ヒヨドリHypsipetes amaurotis,ヤブサメUrosphena squameiceps,コサメビタキMuscicapa dauurica,ウグイスCettia diphoneの筋肉および肝臓について,137Cs濃度を計測し,森林土壌からの移行係数(Transfer Factor)を算出した.解析した5種の鳥類のうち,ヤブサメにおいて,他種の10倍程度の高い137Cs濃度が観測された.このように,高い値が得られた理由は不明であるが,調査地ではリター層が高濃度に汚染されており,ヤブサメが腐植連鎖に連なり,より高い放射性物質を含んだ餌を利用したことが考えられる.しかし,同様に林床で採餌することが知られている,ガビチョウの137Cs濃度は他種と同程度の値であり,今回の結果から,採餌場所や食性と,放射性セシウムの鳥類への移動の多寡を関連づけることはできないが,生息場所や食性の違いは,少なからず,放射性セシウムの生物的移行の程度に影響していると予想される.
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  • 岩見 恭子, 小林 さやか, 柴田 康行, 山崎 剛史, 尾崎 清明
    64 巻 (2015) 1 号 p. 63-69
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
     福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質による鳥類の巣の汚染状況を把握するため,2011年に繁殖したツバメの巣を日本全国から採集し,巣材に含まれる放射性セシウム(Cs-134およびCs137)を測定した.全国21都道府県から集められた197巣のうち182巣について測定した結果,1都12県の巣から福島第一原子力発電所由来の放射性セシウムが検出された.福島県内のすべての巣から放射性セシウムが検出され,Cs-134とCs-137の合計の濃度が最も高いものでは90,000 Bq/kgで低いものでは33 Bq/kgであった.巣の放射性セシウム濃度は土壌中の放射性セシウム濃度が高い地域ほど高かったが,地域内で巣のセシウム濃度にはばらつきがみられた.
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