(1)宇都宮市内を流れる田川で,1981年11月から1982年1月にかけての3か月間,セグロセキレイとハクセキレイの生態を調査した.
(2)両者はそれぞれテリトリーをかまえて生活していたが,2種のテリトリーは種間テリトリーの様式をとらずに,完全に重複していた.しかも,いくつかのテリトリーでは,境界が2種でほぼ一致していた.ただし,そのような場合,2種がよく利用する空間は,テリトリー内で分離している傾向があった.
(3)セグロセキレイは大部分がつがいで生活していたが,ハクセキレイは多くが1羽でくらしていた.テリトリーの境界は,セグロセキレイでははっきりしていたが,ハクセキレイでは必ずしもそうではなかった.
(4)川原で過ごす時間はセグロセキレイの方が明らかに長く,ハクセキレイはしばしば川原から遠く離れたところに飛んでいった.セグロセキレイが河川に強く依存していることと,そこにかまえたテリトリーをしっかり守ることとの間には関連があるように思われた.
(5)2種間の採食方法に見られる違いは,わずかなものであった.だが,両者が最もよく行なう地上採食のさいの利用場所には,はっきりとした違いが認められた.セグロセキレイはより水辺で,ハクセキレイはより乾燥したところで採食する傾向があった.
抄録全体を表示