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32 巻, 1 号
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  • 樋口 広芳, 平野 敏明
    1983 年 32 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)宇都宮市内を流れる田川で,1981年11月から1982年1月にかけての3か月間,セグロセキレイとハクセキレイの生態を調査した.
    (2)両者はそれぞれテリトリーをかまえて生活していたが,2種のテリトリーは種間テリトリーの様式をとらずに,完全に重複していた.しかも,いくつかのテリトリーでは,境界が2種でほぼ一致していた.ただし,そのような場合,2種がよく利用する空間は,テリトリー内で分離している傾向があった.
    (3)セグロセキレイは大部分がつがいで生活していたが,ハクセキレイは多くが1羽でくらしていた.テリトリーの境界は,セグロセキレイでははっきりしていたが,ハクセキレイでは必ずしもそうではなかった.
    (4)川原で過ごす時間はセグロセキレイの方が明らかに長く,ハクセキレイはしばしば川原から遠く離れたところに飛んでいった.セグロセキレイが河川に強く依存していることと,そこにかまえたテリトリーをしっかり守ることとの間には関連があるように思われた.
    (5)2種間の採食方法に見られる違いは,わずかなものであった.だが,両者が最もよく行なう地上採食のさいの利用場所には,はっきりとした違いが認められた.セグロセキレイはより水辺で,ハクセキレイはより乾燥したところで採食する傾向があった.
  • 斎藤 新一郎
    1983 年 32 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)知床横断道路の切取り斜面で,ハイマツの実生の束生が観察された.実生は植被の疎な斜面上部に限られ,ミネカエデとトドマツにも束生がみられた.
    (2)ハイマツの実生の束生は貯食型動物に由来するが,隠し場,隠し方,種子の運搬距離などから,ホシガラスによるものと推測される.
    (3)切取り斜面上部は,ホシガラスが種子を取戻すためにも,ハイマツが成育するためにも好ましい場所である.知床横断道路では,ホシガラスによるハイマツの造林がかなり期待できるかもしれない.
    (4)カエデ類やトドマツの有翼散布体も,形態的には風散布とみるが,ホシガラスなどによって鳥散布される可能性もある.したがって,鳥類が種子の隠匿貯蔵による森林の復元に果たす役割はかなり大きいと考えられる.
  • 林 哲
    1983 年 32 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)1981年および1982年における福井県内のオオミズナギドリの迷行落下個体数は,53件(羽)であった.このうち39件(羽)(73.6%)は若狭地区の記録である.
    (2)落下期日は,11月に多く認められ(48件,90.6%),このうち34件(羽)(64.2%)が11月5日から15日の10日間に集中していた.これは,近畿地方での調査結果(吉田,1973)と同じ傾向を示すものであった.
    (3)迷行落下の要因は,主として最大風速6m/s以上の季節風によるものと考えられた.風速 6m/s以上の季節風が吹いた日の数日後に迷行落下がみられる傾向があった.
  • 風間 辰夫
    1983 年 32 巻 1 号 p. 31
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    A specimen of Tristam's Fork-tailed Petrel Oceanodroma tristrami was captured at Muika-machi, Minami Uonuma-gun, Niigata Pref., on 19 January 1983. This is the first record of occurrence of the species in Niigata Prefecture; it is the second specimen on the Japan Sea coast of Honshu, the first specimen being taken in Shimane Prefecture in 1927.
  • 竹内 健悟
    1983 年 32 巻 1 号 p. 32
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    Little Tern Sterna albifrons is a common summer visitor north to the Kanto plain in Honshu. Akita Pref. has been regarded as the most northern breeding place in Japan. However, its breeding in Hachinohe City in Aomori Pref. was reported recently. The author discovered another colony of about 30 birds on the beach of Shiura, Tsugaru Peninsula in 1982. There were 10 nests, with 6 nests containing 2 eggs and 4 nests 3 eggs. Most eggs were laid on June 13-15 and hatching took place on July 5-10. Wingbeat of juveniles was first observed on July 20 and flapping on July 24.
  • 山岸 哲
    1983 年 32 巻 1 号 p. 33-34
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1979-82年の4繁殖期間に,大阪府堺市大泉緑地(約70ha)で,モズの435巣を発見した.1982年6月9日,その中の1巣にカッコウが托卵した.宿主の巣はウツギの茂みの地上1.2mにあった.そのカッコウ卵は斑紋がホオジロ型で,21.95×16.70mmの大きさだった.関東平野ではカッコウのヒナの発見が3例ほど知られているが,大阪平野ではおそらく本報告が初記録である.なお,このカッコウ卵は宿主であるモズの産卵以前に托卵されたため,モズは巣を放棄した.
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