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33 巻, 2-3 号
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  • 伊藤 信義
    1984 年 33 巻 2-3 号 p. 51-65
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1982年12月から1983年5月にかけて,奈良市•垂仁天皇陵のコサギの冬塒において就•離塒行動と気象要因の関連を調査して,次の結果を得た.
    (1)冬塒におけるコサギの就•離塒行動は,照度がひきがね的要因となり,それに気温と採食度ないし空腹度がさらに微調整し,後2者のうちで気温の方が大きく影響するものと考えた.
    (2)離塒開始時(日の出前平均16.1分)の照度(平均14.3lux)は,就塒開始時(平均して日没後3.3分)の照度(平均355.2lux)よりも低かった.
    (3)離塒終了時(平均して日の出前2.1分)の照度(平均393.4lux)は,就塒終了時(日没後平均19.6分)の照度(平均4.7lux)よりも高かった.
    (4)就塒と離塒はともに短時間に一斉に行われたが,就塒に要する時間(24.4分)は,離塒に要する時間(18.2分)よりも長い.就塒前集合(128.0分)に始まる一連の就塒行動には,離塒前活動(35.2分)に始まる一連の離塒行動よりもはるかに長い時間がかかった.
    (5)気温が低いほど採食地で分散傾向のあることが示唆された.
    (6)就塒行動と気象要因の関連につき分析して,次の結果を得た.
    (i)就塒前集合の開始時刻は平均し七日没前125.3分で,照度は80%が14,000lux以下であった.(ii)就塒前集合数の70%が集合したときめ照度は,75.0%の調査日で700lux以下であった.(iii)気温が高いほど,より多くの個体が,より短い時間に,より少ない飛来回数で就塒前集合し,就塒時刻は遅くなった.(iv)林での集合部位には,気温の低いあいだ季節風の死角部が選ばれた.(V)就塒前集合に対する雨•霧•雪の直接的影響は,とくに認められなかった.
    (7)離塒行動と気象要因の関連につき分析して,次の結果を得た.
    (i)コサギには離塒前活動期(平均35.2分)があり,早朝に塒位置から聞えてくる「ゴアー」という鳴き声が離塒前活動開始の有効な指標である.(ii)離塒前活動は平均して日の出前40.2分(照度はOluxよりも低い)に始まった.(iii)気温が低ければ離塒の開始が早くなった.(iv)気温が低ければ離塒前活動期が短い傾向があった.(v)結氷の強い朝,いったん離塒してから塒の所在する林に引返して何時間もかけて採食地へ飛び立つという,結氷に対する適応と思われる行動が認められた.(vi)離塒の開始は単独飛び立ちであり,大きな群れで飛び立っても早い時期に分散する.(vii)雨のために照度が低下すれば,離塒終了が遅れた.
  • 樋口 広芳, 中根 正敏, 鈴木 綾子
    1984 年 33 巻 2-3 号 p. 67-73
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)小笠原諸島の固有種メグロの生態や行動を,1977年8月から1982年8月まで母島で調査した.
    (2)囀りは主に3月から7月の繁殖期に聞かれた.ただし,囀りの記録頻度はきわめて低く,1日当りの平均囀り雄数は,どの時期でも1にならなかった.
    (3)求愛給餌は繁殖期のどの段階でも観察されなかった.これまでに求愛給餌として報告された例は,成鳥と変わらない外観をもつ巣だちびなに対する親鳥の給餌例であろうと考えられる.
    (4)つがいと思われる2羽の間で相互羽つくろいが観察された.ただし,7例中1例では,親鳥が巣だちびなの羽つくういをした.この行動は主に午後行なわれた.
    (5)つがいと思われる2羽は,夜,枝上で互いにくっついて寝た.この塒場所は,日によってしばしば変更された.
    (6)頭かきは間接法,すなわち翼と脇の間からあしを出す方法を使って行なわれた.
  • 遠藤 孝一, 樋口 広芳, 平野 敏明, 石下 岩男, 蔵原 惟光
    1984 年 33 巻 2-3 号 p. 75-77
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    Water Rails Rallus aquaticus breed in Hokkaido and northern Honshu, though there are few authenticated breeding records from Honshu. We obtained the following breeding data in Tochigi Prefecture, central Honshu. (1) An adult and a chick were seen in farmland at Senbonmatsu, Nishinasuno (alt. 320m) on 10 August 1982. Several chick calls were also heard. (2) Adults were heard calling on several occasions in marshes at Senjogahara, Nikko (alt. 1, 400m) from April to July in 1982, 1983 and 1984. An immature was observed on 27 September 1983. (3) A pair bred in marshes at Watarase-yusuichi, Fyjioka (alt. 10m) in 1984. The pair accompanied two chicks and two immatures in the summer. Also, an adult and an immature were seen separately at different points from the above in thee same marshes in the same year. The summer occurrence of the rail in this area was first noted on 16 July 1977.
  • 風間 辰夫
    1984 年 33 巻 2-3 号 p. 77-78
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    An adult male Vinous-throated Parrotbill was captured by a mist-net on 5 May 1984 on Awashima
    Is., Niigata Pref. This species is a common resident in Korea and a partial migrant on the Chinese
    coast. My specimen is the first record of the species for Japan.
  • 呉地 正行, 山田 和彦
    1984 年 33 巻 2-3 号 p. 78-80
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    We examined the food contents of the gizzard of an adult male Harlequin Duck Histrionicus histrionicus collected on 8 March 1979 at Enoshima Is., Miyagi Pref., where up to 100 birds winter every year. A decapod Oedignathus inermis (Crustacea, Anomura) formed the bulk of the food, although Polyplacophora, Gastropoda and someothers were also identified (Table 1). Most of the prey inhabit the rocks of the intertidal or undertidal zones, where Harlequin Ducks spend most of their time for feeding.
  • 飯嶋 良朗
    1984 年 33 巻 2-3 号 p. 80
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    オオハクチョウは水生植物を主食としており,わずかに貝類や小魚類も捕食するといわれている.筆者は,1984年3月20日,北海道広尾郡大樹町の歴舟川河口近くにあるサケ捕獲場の小池において,オオハクチョウの若鳥が設置された魚網に絡まって死んでいる2羽のマガモを嘴でつっつき,肉を食べているのを目撃した.池には2羽の成鳥と4羽の若鳥が観察され,主に若鳥がマガモの死肉を食べていたようである.オオハクチョウが網に絡まったマガモを殺してから食べたのか,死んでから食べたのかは確認できなかった.オオハクチョウの食習性としては,きわめて奇妙なものといえる.
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