地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
61 巻, 3 号
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論文
  • -フィリピン・ビコール地方の漁村を事例として-
    池口 明子, アヴィアド, サラ M.P.
    2021 年 61 巻 3 号 p. 61-73
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    多様な生態系のうち、沿岸漁場の生産性を持続させるうえで重要なもののひとつに流域生態系がある。このスケールにおける漁場ガバナンスの基盤形成において漁業者の生態知識は重要な役割を果たすと考えられる。しかし従来の村落基盤型環境ガバナンスの研究では、村落内部の知識の多様性が看過されがちであった。本研究はフィリピン・ビコール地方の沿岸村落を事例として、漁業者の生態知識の多様性を、漁場利用、世帯労働力、生計およびグローバルな市場との関係から明らかにした。より専業的な漁業世帯はハタ類を対象とした一本釣りを選択する傾向が認められた。刺し網漁業は内湾を生息域とする多様な魚種へのアクセスを提供しており、河川流域生態系の知識を涵養する可能性がある。すべての漁場において違法な漁法は水質汚染や採掘活動とならび資源減少の主要な要因として認識されていた。流域生態系ガバナンスにおいては、陸域開発の影響の評価および参加型の知識形成における多様な漁業者の支援が今後さらに求められる。

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