土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
73 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
和文論文
  • 平尾 隆行, 森脇 武夫, 菊池 喜昭
    2017 年73 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
     管理型海面廃棄物処分場跡地の高度利用にあたっては,廃棄物層と底面遮水層(粘性土層)を貫通して支持地盤まで基礎杭を打設することが必要となる場合がある.この杭打設に伴い廃棄物や保有水が遮水層内へ連れ込まれ,結果的に処分場の外部へ拡散,浸出することが懸念され,この懸念が処分場跡地の有効利用を阻害している一因となっている.本研究においては,このような杭打設中の連れ込み問題に対して,その影響を明らかにし,対策方法や適用範囲等について実験的に検討を行った.検討の結果,杭打設に伴う粘性土地盤の攪乱を防止することで連れ込みの影響を低減できることが判明し,杭内部の廃棄物を掘削しながら打設する中堀り工法や,既成杭の先端部を鋭角化する工法,或いは杭周面への膨潤性遮水材料を塗布する工法等の適用性が示唆された.
  • 比江島 慎二, 高松 宏彰, 大熊 広樹, 上田 剛慈
    2017 年73 巻1 号 p. 24-34
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
     振り子の流体励起振動を用いた革新的な水流発電機を開発してきた.本研究では,円柱振り子の渦励振を用いた従来の方式に代わり,半円柱や半楕円柱の振り子に生じるギャロッピングを採用した新方式を提案した.この新方式において,半円柱振り子は円柱振り子の5倍,半楕円柱振り子は半円柱振り子のさらに2倍のエネルギー取得性能を発揮した.半楕円柱振り子の無次元仕事率は,低流速域では,振り子長さに関係なく一本の回帰直線に沿って無次元流速とともに線形的に増加し,高流速域では,無次元流速に対してほぼ一定値を示すことが明らかとなった.
  • 昇 悟志, 久保田 真一, 松本 朗, 千々和 伸浩, 岩波 光保
    2017 年73 巻1 号 p. 43-55
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
     消波ブロックの構造性能の評価手法を確立するために,消波ブロック被覆堤を対象に消波ブロックに作用する荷重の中でも最下層に設置するブロックに作用する上載荷重に着目し,荷重の分布特性や波浪による変動荷重の特性を明らかにするとともに,荷重の定式化の可能性を探ることを目的に,上載荷重の測定実験を静穏下ならびに波作用下で実施した.その結果,静穏下における最下層ブロックに作用する上載荷重はガンマ分布で近似でき,波作用下における変動荷重は越波時と非越波時で傾向が変化する特性を有していることが明らかとなった.また,静穏下の上載荷重ならびに波作用下の変動荷重を定式化した.
  • 大平 幸一郎, 高畠 知行, 三上 貴仁, 柴山 知也
    2017 年73 巻1 号 p. 56-66
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/20
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震の直後,震源から遠く離れた山梨県の湖やノルウェーの湾など複数の場所で津波の様な異常な水位変動が目撃された.同様の水面変動はこれまでに稀に報告されてきた.しかしながら,具体的な波の発生機構や評価手法は確立されておらず,本現象そのものに対する認識や防災意識は低い.本研究では,定量的な影響評価手法の選定と本現象による水害リスクの把握を目的に,現地調査や目撃情報等の収集・整理により発生要因を実地形でのスロッシング現象と推定し,三次元解析での再現を試みた.実験結果との比較により解析手法の妥当性の検証を行った上で過去の事例の再現と将来予測を行った.その結果,本解析手法により異常な水面変動を再現できること,津波とは別の地震直後の内陸部の湖や湾奥部の運河における水害リスクを明らかにした.
  • 平尾 隆行, 森脇 武夫, 菊池 喜昭
    2017 年73 巻1 号 p. 67-82
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     管理型海面最終処分場において,廃棄物による埋立が終了した後の跡地に大規模構造物を建設して高度利用する際には,基礎杭を廃棄物層と底面遮水層(粘性土層)を貫通して支持層まで打設する必要がある.この基礎杭を設置する場合,杭と遮水層との界面部を処分場の保有水が通水し,保有水が処分場外部へ拡散,浸出することが懸念され,これが処分場跡地の有効利用を阻害する一因となっている.本研究においては,この杭と周辺地盤との界面透水の問題に対して実験的に検討を行い,杭の存在が遮水性能に与える影響を明らかにし,対策方法や適用範囲等について提案を行った.検討の結果,杭打設に伴い杭と周辺地盤との間に隙間が生じたとしても,正規圧密状態であれば隙間は短時間で閉塞し,遮水性能は事実上問題の無いレベルで維持できることが判明した.
和文報告
  • 高木 泰士, 富安 良一, 荒木 健人, 松原 恭博, 真野 泰人, 厳 峰, 鈴木 正道, 石原 一郎, 森 勇造, 永瀬 翔平, 中村 ...
    2017 年73 巻1 号 p. 35-42
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/20
    ジャーナル フリー
     津波到達の直前に港を閉鎖する技術として垂直浮上堤やフラップゲートが注目を集めている.開口部を複数ゲートで締め切る場合,ゲート間で隙間が生じるため,ある程度の港内流入が避けられないが,その幅は狭小であるため広域の津波解析に含めることは難しい.本研究ではモデル津波に対して2D-3Dハイブリッド流体解析を行い,隙間内とその周囲の水位・流速を分析し,流入流量変換式Q=α√(2gh)dWを導いた.ここで,Qは流量,gは重力加速度,hは港内外の水位差,dは水深,Wは隙間幅である.αは流量係数で数値解析に基づく回帰式より求まる.レベル1津波と潮汐の合成入力波及び高潮に対する試計算を行い,本変換式を用いることで,計算負荷の大きい数値解析に頼らず,表計算ソフトでも精度良く港内の水位変化を計算できることを示した.
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