本研究では,不均一透水係数分布をもつ地下水流動に対して,事前情報を使って区域単位で行った非適切な逆解析条件下での同定結果と,本提案の地盤統計分布モデルを使って条件を適切化した同定結果とを,数値実験により比較検討した.前者はその非適切さから来る同定解の一意性のなさによって同定精度は高くなかった.一方,後者は未知数が観測数よりも少ないため同定解は高精度であって,同時にパラメータ更新に対する全域水位への影響感度があることも確認した.以上から,本手法はパラメータ更新に関する感度を広範囲にし,未知数も少なく済ませたことで逆問題の適切化が図れて,結果的に高精度の分布同定ができると確認できた.
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