本研究の目的は,看護師の静脈注射行動のエラーに対する「指差呼称」の効果とその関連要因を明らかにすることである.
看護師520 名(指差呼称導入群,指差呼称定着群,ダブルチェック群)を対象に,静脈注射実施過程の行動の認知レベルと不安全行動の2つの尺度から構成する質問紙によって調査した.導入群には,指差呼称の導入前後に,定着群とダブルチェック群にも同様の調査を実施した.
導入群の前後比較では,「やり損ない」と「危険敢行性」にエラー回避の効果を認めた.導入群を看護経験年数別(新人群,中堅群,ベテラン群)に分けてみると,新人群に最も効果が高かった.3群間の比較では,指差呼称定着群,指差呼称導入群,ダブルチェック群の順にエラー回避に有効であることを認めた.
以上のことから,指差呼称には一定の効果があることが明らかになり,その影響要因として実施期間,看護経験年数などが示唆された.
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