医療の質・安全学会誌
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2 巻, 2 号
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論説
報告
  • 遠山 信幸, 百瀬 ひろこ, 水上 由美子, 井野 隆史
    2007 年 2 巻 2 号 p. 146-151
    発行日: 2007/07/31
    公開日: 2011/06/03
    ジャーナル 認証あり
    当センターでは医療安全管理室を中心に職員からのインシデント・アクシデントレポートの提出と解析に力を入れ,医療行為に関わる全ての有害事象や経過中生じた重大合併症(26 項目)もその報告を義務付けている.報告総数は平成15 年度: 6,607 件,16 年度: 9,515 件,17 年度: 13,288 件で,医師からの報告は各々232 件,245 件,340 件だった.報告を元に重要事例に対しては,後日原因究明と再発防止を目的とした事例検討会を開催し,ピアレビューを行っている.事例検討会は副センター長と医療安全管理室長が主催し,当事者(担当医),関係医師,コメディカルスタッフを含む第三者的医療従事者等約十数名が参加するもので,再発防止策として種々の指針やマニュアルが作成実行された(平成18 年12 月まで計86 回開催).検討内容は毎月の診療連絡会議で各部門長(科長,医長,看護師長,技師長,薬局長など)に報告,全医師に対しても事例検討報告会(年2 回)や書面で周知徹底している.
  • 齊藤 真一郎, 高橋 真菜美, 澤井 孝夫, 福泉 祐介, 此崎 寿美, 堀井 久美, 國方 徹也, 岡本 幸一郎, 川名 明彦, 照屋 勝 ...
    2007 年 2 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 2007/07/31
    公開日: 2011/06/03
    ジャーナル 認証あり
    MRSA が多数報告された2 病棟において医師,看護師を対象に,グリッターバグ®による手指消毒トレーニングを週1 回実施し,その効果について検討した。A 病棟においては,定期的なトレーニングにより,手指消毒回数の増加がみられ,MRSA 患者検出率および新規MRSA 患者検出率が低下し,それに伴い抗MRSA 抗菌薬の使用量が減少した。一方,B 病棟においては,手指消毒の実施回数が少なく,新規MRSA 患者検出率は減少したが,MRSA 患者検出率に改善傾向は認められず,抗MRSA 抗菌薬の使用量も変化がみられなかった。有効な感染対策を実施するためには,手洗いの適正な手技の習得のトレーニングに加え,院内感染の意識を高め,手洗いおよび手指消毒の実施回数を向上させる工夫が必要であると考えられた。
  • 宇野 真由美, 小笠原 知枝
    2007 年 2 巻 2 号 p. 157-165
    発行日: 2007/07/31
    公開日: 2011/06/03
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は,看護師の静脈注射行動のエラーに対する「指差呼称」の効果とその関連要因を明らかにすることである.
    看護師520 名(指差呼称導入群,指差呼称定着群,ダブルチェック群)を対象に,静脈注射実施過程の行動の認知レベルと不安全行動の2つの尺度から構成する質問紙によって調査した.導入群には,指差呼称の導入前後に,定着群とダブルチェック群にも同様の調査を実施した.
    導入群の前後比較では,「やり損ない」と「危険敢行性」にエラー回避の効果を認めた.導入群を看護経験年数別(新人群,中堅群,ベテラン群)に分けてみると,新人群に最も効果が高かった.3群間の比較では,指差呼称定着群,指差呼称導入群,ダブルチェック群の順にエラー回避に有効であることを認めた.
    以上のことから,指差呼称には一定の効果があることが明らかになり,その影響要因として実施期間,看護経験年数などが示唆された.
短報
視点
  • 野村 英樹
    2007 年 2 巻 2 号 p. 176-179
    発行日: 2007/07/31
    公開日: 2011/06/03
    ジャーナル 認証あり
    1990年代より先進諸国では,医療専門職(プロフェッショナル)規制システムの改革と,医のプロフェッショナリズムの推進という大きな潮流が見られている.サービスを提供する側と受ける側との間に大きな情報の非対称性が存在する市場では,逆選抜(質の低いサービスが市場を占拠する現象)を防ぐためにシグナリング(情報優位者から質を保証するシグナルを送ること)が必要であるが,医療専門職規制はこのシグナリングの制度化に相当する.しかし,命や健康,プライバシーまでをも預けなければならない医療において,シグナリングのみによって患者や社会の信頼を得ることは困難であり,医療者は個人の人格や行動(プロフェッショナリズム)を高めて,信頼を得るあらゆる努力を払うことが求められる.このように医療専門職規制の改革とプロフェッショナリズムの促進は,医療の質と安全を保証し,患者や社会から信頼を獲得する上での車の両輪と考えられる.
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