右半球損傷で生じた眼鏡着用障害の要因を検討した.症例は40歳前半右利き男性で,右視床出血後に右頭頂葉梗塞を併発し,左片麻痺と感覚障害に加え,左USN,消去現象などを認めた.本障害は,左のテンプルと耳を合わせられない誤りであった.眼鏡着用の関連評価で顔・眼鏡の各部同定,他者への着用,鏡を利用した場合や一側ずつテンプルを耳に合わせることは可能であった.一方,左のテンプルが顔に当たると,その位置の誤りに気付き,複数回の修正で着用できた.
以上より,本例の眼鏡着用障害は左右のテンプルと耳を合わせる両側同時処理が求められ,かつテンプルと耳の空間的位置関係を視覚的に確認できない時,左側特異に出現すると考えられた.
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