着衣障害は,着衣失行をはじめ様々な神経心理学的症状によって生じる着衣の障害である.本稿では自験例と文献例を対象に,「行為・動作機構」と「空間認知機構」から着衣障害をまとめた.
「行為・動作機構」は実際の衣服操作や操作時の確認・修正に関する誤り,「空間認知機構」は衣服や身体の各部認知や両者の関係理解に関する誤りとしてまとめられた.加えて2つの機構を要因とする自験例を紹介した.また合併する神経心理学的症状はUSN,構成障害が多く,右側頭頂葉を中心とした病巣が多かった.着衣障害の要因は様々で一定の結論を見出すには至らないものの,「症候群」として理解すべき障害であることはたしかである.
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