ワーキングメモリ(WM)は注意制御のもと,必要な情報を活性化状態で保持し,目標達成に向けて情報を統合する役割を担い,中央実行系を中心として,音韻ループ,視覚・空間的スケッチパッド,エピソード・バッファというサブシステムから成る.
アルツハイマー型認知症(AD)では,WMを測定するリーディングスパンテストや逆唱で成績が低下する.WMをターゲットとするトレーニングの有効性を示す報告も多いが,現状においてはWMトレーニングの理論については多面的な検証が待たれる.
本稿では高齢者に対するWM低下への予防的介入の可能性や,AD等の認知症高齢者にWMに焦点をあてた介入を行う際の留意点を考察した.
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