神経心理学
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33 巻, 4 号
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特集 大脳内側面・底面(眼窩面)の構造・機能と臨床的役割
  • 中川 賀嗣
    2017 年 33 巻 4 号 p. 220-221
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/11
    ジャーナル フリー
  • 前島 伸一郎, 大沢 愛子
    2017 年 33 巻 4 号 p. 222-228
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/11
    ジャーナル フリー

    大脳内側面や底部(眼窩部)の障害を理解するために,その構造・機能とネットワークについて,臨床医の立場から概説した.その中でも,特に臨床的に重要と思われる,上前頭回や帯状回,楔前部,眼窩面などに関して解説を加えた.これらの部位は,その領域内で局在的に重要な役割を担っていること多いが,線維連絡による他の部位とのネットワークの形成によって,より多くの行動や情動,認知機能とも関連している.これらの解剖的関連を知っておくことは,臨床においても研究においても極めて重要なことである.

  • 大槻 美佳
    2017 年 33 巻 4 号 p. 229-237
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/11
    ジャーナル フリー

    補足運動野は,従来の補足運動野(SMA proper)と,その前方部の前補足運動野(preSMA)に区分され,tractographyを用いた線維連絡,fMRIを用いた機能的役割,脳損傷患者における臨床症状など,様々な視点から検討されている.左preSMA/SMAproperはいずれも,言語機能との関連が示唆されているが,特にpreSMAは前頭前野と豊富な線維連絡を持つことが知られ,言語機能に関しても重要な役割が指摘されている.臨床症状としては,左前頭葉内側面損傷で,補足運動野失語,純粋失書などが出現する.補足運動野失語は,自発話の低下と,「良好な視覚性呼称と顕著な語列挙低下」というコントラストが中核症状である.右前頭葉内側面損傷では,感情プロソディ障害が報告されている.左頭頂葉内側面に関しては,言語理解との関連が示唆されているが,詳細は明らかではない.前頭葉眼窩面は,言語機能自体には関連していないが,口述内容の方向性など,言語の運用に関係していることが示唆されている.

  • 平山 和美
    2017 年 33 巻 4 号 p. 238-250
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/11
    ジャーナル フリー

    大脳の底面と内側面で認知的処理と関連する領域の多くは,脳の後方,すなわち後頭葉や側頭葉,頭頂葉にある.その下方の内側底面では,おもに視覚に関する認知的処理が行われる.損傷によって大脳性色覚障害,統合型視覚性物体失認,失認性失読,相貌失認,街並失認,物品の形イメージ喚起障害,物品の色のイメージ喚起障害が起こる.最前部の損傷では健忘が起こる.上方の内側面では,左の脳梁膨大後域損傷で健忘,右の脳梁膨大後域損傷で道順障害が起こる.両側あるいは左側の楔前部の損傷では,ゴールに向けて自分が行っていることやその時の状況を把持することの障害が起こる.これらの事実から,認知的処理における大脳底面・内側面の役割を推測した.

  • 中川 賀嗣
    2017 年 33 巻 4 号 p. 251-262
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/11
    ジャーナル フリー

    最初に,一側上肢が意思から離れて勝手な動きを呈した2例(道具の強迫的使用例と拮抗失行例)を通じて,前頭葉内側面・脳梁領域損傷によって出現するとされている様々な症候の独立性,近似性,連続性に関する問題点を指摘した.すなわち道具の強迫的使用では,動作を想像したり,言語や動作で呈示されても動作が駆動されうる可能性を既報告例も交えて指摘した.またこうした症例ごとのばらつきを説明するには,症例ごとの病巣の広がりのわずかな差異が,症状のばらつきを生み出している可能性に触れた.次に頭頂・後頭葉内側領域損傷に伴い,道具把持後の使用動作が保たれているのに,それ以外の動作が全般的に障害されたと考えられた例を紹介し,最後に前頭葉損傷例との違いについても言及した.

  • 船山 道隆
    2017 年 33 巻 4 号 p. 263-272
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/11
    ジャーナル フリー

    「人となり」は広範な神経基盤に支えられているが,その中でも前頭葉眼窩面の役割は大きい.前頭葉眼窩面損傷後は一般的な神経心理検査では異常が認められなくとも,程度の差はあれ病前の「人となり」から変化することが多い.前頭葉眼窩面損傷後には,浪費,余計な口出し,衛生観念の喪失,病的収集行動など行動における脱抑制や衝動的な行動が出現する.作話が出現することもある.しかし一方で,社会不安障害や治療抵抗性うつ病が改善する場合もあり得る.前頭葉眼窩面の機能の仮説には,現実世界と内的世界の照合が困難であることや,イメージした行動に対する情動が惹起されないことなどが挙げられる.

第41回日本神経心理学会学術集会一般演題
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