日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
34 巻
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 長橋 透, 麻生 憲一
    1999 年 34 巻 p. 1-10
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
    これまでの旅行市場に関する実証分析の多くは旅行者数などの需要サイドを中心とするもので, 旅行会社などの供給サイドからの分析は比較的少ない。そこで本稿では, 供給サイドから得られた旅行取扱額を基礎データとした上で, 国内および海外旅行市場を各旅行会社の市場占有率の違いから捉え直し, その市場タイプを識別するとともに, 季節変動を反映した競争の程度や旅行会社の行動様式について推論する。併せて, この旅行取扱額を旅行需要額の代理変数とおき, 金額ベースによる旅行需要の所得弾力性や習慣形成効果などを推計する。 まず市場タイプについては, 各市場における旅行会社毎の市場占有率から導出される集中度の数値から判断して, その程度は低いものの両市場とも寡占的な市場構造である。また市場規模の短期的な変動と集中度の変化とを比較すると, 大手旅行会社の側からみた他の中小旅行会社との競争の程度には月毎に特徴のあることが確認できる。さらに旅行需要についてみると, 比較的有意性の高かった推定結果において, 所得弾力性は海外旅行が国内旅行に比べて大きく, また習慣形成効果が海外旅行についてみられる。
  • 水野 紀男
    1999 年 34 巻 p. 11-21
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
    国民生活センターによれば, 最近の傾向として苦情は商品の品質・機能より, 契約や販売方法等に移行してきている。旅行業においても契約・販売方法・接客対応等に関する苦情が増えている。特に旅行商品は無形であるゆえに, 苦情も主観的な要因に左右されやすい。大手旅行各社は苦情・相談の窓口としてお客様相談室等を設置して対応している。ある海外パッケージ旅行の苦情類型から見ると, 旅行商品に係わる苦情と旅行サービスに係わる苦情の割合がほぼ半々で拮抗している。この中で, 現地係員の対応に関する苦情が全体の20.6%を占めている。これらの苦情は, 接遇案内及び接遇態度が不親切であり, 誠意がない等による精神的サービスの欠如に起因している。苦情処理部門には, 一番早くその商品・サービスの不具合な事象が持ち込まれる。したがって, 緻密なセンサー機能を備えた人材の適正な配置と組織的な社内支援体制が必要である。換言すれば, 苦情処理は顧客創造のためのマーケティング・ツールそのものである。
  • 竹嶋 寬
    1999 年 34 巻 p. 22-30
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
    1997年度に海外修学旅行を実施した学校は全国で中学68校, 高校752校の計820校で, 参加人数は中学7,092人, 高校134,700人の合計141,792人だった。わが国の修学旅行の年間実施規模は, 小中高の実施校が39,000校, 参加人数は約470万人, 旅費総額は約2800億円である。国内の修学旅行では, 広島・長崎・沖縄を訪問することによる「平和学習」の効果を見逃すことができない。一方, 学年全員が同一行動という形態の修学旅行はいまや見直しを迫られている。 筆者は, 海外への修学旅行が盛んになるにつれ, それが国内旅行の延長線上で実施されることに深い危惧の念を抱かざるを得ない。海外へ出かける前にしなければならないこと, それは「旅行とは何か」を考え「自分自身を見つめ直すこと」である。日本がいま国際的にどのような立場にあり, 訪問国とどのような歴史的関係にあるのかをはっきり認識することが肝要である。海外修学旅行を通じて, 日本国民としての自覚, 豊かな国際感覚の函養, 正しい愛国心への目覚めを期待したい。
  • 橋本 佳恵
    1999 年 34 巻 p. 31-42
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国の余暇活動の多くは長らく男性主導で推移し, 関連するサービスもまた男性指向で形作られてきた。対して, 女性は専らサービスを提供する側に位置付けられることが多かったが, 社会進出の進展やそれに伴う経済力の獲得などにより, 近年ではその主体となりつつある。ハード・ソフト両面での多様で利便性の高い商品やサービスの日常化は, 女性の余暇行動の可能性をさらに拡大しており, 今日ではむしろ, 余暇活動の決定者・サービス受給者として, 広く余暇活動全般をリードするようになってきている。しかしその一方で, 旧態然とした固定的な性役割意識が存在することも否定することができない。余暇をめぐる様々な側面でみられる問題にたいして, 社会的・文化的性差を意味する’ジェンダー’の視点を用いたアプローチには有効性があると考えられる。本稿は, 主としてわが国の観光事象におけるいくつかの特徴的事例について, ジェンダーの視点から考察したものである。
  • 下島 康史
    1999 年 34 巻 p. 43-54
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では, 野沢温泉村の湯沢神社例祭を事例として, 観光地における地域の伝統行事は, どのような組織によって, どのように継承されているのかを明らかにした。 例祭を代表する催しである「燈電行列」における中心担い手の変遷をもとに, 例祭を時代区分すると, 若者組と称するグループによる「隆盛期」, 24人の有志による「変革期」, 舞楽保存会による「復活期」の三つの時代に区分できる。各時代ごと, 例祭に関わる諸業務の担い手, 例祭に関する経済的な側面等を検討した結果, 例祭の継承過程において, 村落共同体「野沢組」が, 舞楽保存会の設立等, 燈童行列における舞楽の保存・継承の基盤を形成し, また例祭における野沢組主導の三夜講(さんやこう)や村人足による活動等に鑑みても, 野沢組は例祭全体の運営・継承にも大きな役割を果たしていることが明らかとなった。また村落共同体的な地域組織の存在が, 観光地における文化の持続可能性にとって重要な要素であると指摘している。
  • 志賀 善一良
    1999 年 34 巻 p. 55-63
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
    近年, 日本において歴史的建造物の保存が盛んになりつつある。本研究は, その中でも特に市民運動の一形態と考えられるナショナル・トラスト運動による歴史的建造物の保存およびその観光資源としての活用に焦点を当てている。歴史的建造物の保存および活用に際して, 市民団体はどのような役割を果たすことができるのかまたその観光資源としての活用の可能性を探ることが本研究の目的である。わが国では未だ曖昧な「ナショナル・トラスト運動」という言葉の定義を研究の最初に試みる。次に, 市民団体による歴史的建造物の保存の必要性について触れるとともに, それが国または自治体による保存よりも有用性が あるという仮説を導く。さらに財団法人日本ナショナルトラストが2軒の合掌家屋を保存し活用を行っている岐阜県白川村の荻町集落を事例に取り上げて, 市民による歴史的建造物の保存の意義およびその観光資源としての活用における市民の役割を明らかにしている。
  • 中尾 清
    1999 年 34 巻 p. 64-68
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
  • 岩井 純
    1999 年 34 巻 p. 69-70
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2023/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
feedback
Top