日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
48 巻
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  • 佐原 秋生
    2007 年48 巻 p. 1-8
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    食のガイドブックは、観光インフラの重要な一部である。 それは書かれる対象・読み手書き手が揃った19世 紀初めのフランスで、グリモ・ド・ラ・レニエールの『食通年鑑』によって誕生し、 プリヤ・サヴァランの『味 「覚の生理学」、 キュルノンスキーの『フランスの美食の宝』、 ミシュランやゴーミヨのガイドなど、社会の大衆 化と共に発展し、各国に広がった。 大衆化・情報化がますます進む中で、食のガイドブックは量的に増大するであろう一方、質的向上が問題とな る。正確な情報妥当なランクづけ親しみ易い仕立ての他、 読みものとしての魅力が望まれる。 大人が味わい 読むに足る文章が加わる時、 食のガイドブックは観光インフラの一部という域を超えて、独立した楽しみの分野 になるであろう。
  • 田平 厚子, 麻生 憲一
    2007 年48 巻 p. 9-20
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、全国各地で展開されつつあるグリーン・ツーリズムの現状を把握した上で、安心院町の農村民泊を 事例として、グリーン・ツーリズム推進の課題と持続性について農業者の視点から考察する。グリーン・ツーリ ズムが地域づくりの柱として機能していくためには、農業者との関わりにおいて持続可能なものでなければならない。 農業者にとってグリーン・ツーリズムの持続性とは、身体空間に愛着を覚え空間の履歴に自己を形成して いく活動によってもたらされるものである。つまり、農業者は農産物の生産、地域づくり、来訪者の受け入れなどを包括 した「グリーン・ツーリズム農業」を営んでいくことである。そのためには、農業経営を導入し、 コーディネート機能を積極的に活用していくことである。
  • 天野 景太
    2007 年48 巻 p. 21-29
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル フリー
    本論は、日本の大都市におけるタワーツーリズム(タワーから景観を俯瞰的に展望する観光形態)の歴史的展開を概観したものである。1880年代に都市住民の娯楽として始まったタワーツーリズムは、1950年代の電波塔の登場により、都市観光を代表する観光形態となった。しかし、1980年代以降超高層ビルの一般化により、人々にとって高所からの景観の展望という経験自体が珍しいものではなくなってきたことを説明する。
  • 原田 房信
    2007 年48 巻 p. 30-43
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文の目的は北海道におけるオートキャンプ場の現状と仮説に基づいたオートキャンプ場の活性化の方策を明らかにするために、観光客と利用者における関連性を分析することである。最初に観光客数と利用者数、観光客数と利用者の稼働率等を分析する。第二に利用者数と利用者の稼働率、利用者とキャンピングカーサイト利用者の稼働率等を分析する。第三に現状と仮説に基づいた潜在重要を分析する。テントサイト利用者の稼働率は観光客数に左右されるが、一方、コテージ・キャビン利用者の稼働率は観光客数に左右されない。キャンピングカーサイト利用者数の平均値とキャンピングカーサイト利用者の稼働率の平均値の相関を表す相関関係は強い正の相関である。現状に基づいたキャンピングカーサイト利用者の稼働率の平均値と仮説に基づいたキャンピングカーサイト利用者の稼働率の平均値を表す相関は強い正の相関である。仮説に基づいた稼働率は20%以上である。
  • 水野 紀男
    2007 年48 巻 p. 44-59
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国の総人口は2005年より減少に転じてきている。人口減少に適応した社会システムを創るための戦略として「観光戦略」の位置づけが不可欠である。人口減少社会における国力の維持という観点から考察すると観光産業が注目される。観光を主体とした”交流人口”の拡大は、地域に新たな需要を顕在化し、その経済波及効果による相乗効果と相まって経済力並びに国力の低下が回避されることになるであろう。まさに今世紀は世界大交流時代といわれる。モノの移動からヒトと資本の移動、これに伴う文化の交流が基盤となる”交流社会”の形成である。総合国力を構成する8分野(人的資源、自然環境、技術、経済・産業、政府、防衛、文化、社会)について、観光戦略との関係性を挙げる。特に、観光産業の労働生産性の向上がその戦略の遂行に必要な要因の一つであることを提起したい。
  • 三橋 勇
    2007 年48 巻 p. 60-67
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    訪日外国人観光客の周遊する都市及び地域は、国籍の違いにより多少のパターンがあるものの、一般的には共 通したものとなっている。また、トランジット旅行者でないリピーター観光客になると、本人の興味や思いなどの志向性を優先して、交通アクセスの不都合をものともせず観光行動をとる旅行者も顕著になってきている。 温泉を地元経済の基盤産業としている地域では、将来を見据えて日本人だけでなく外国人観光客を視野に入れ ている。当該地域では、台湾・香港・韓国・他アジア諸国からの温泉利用客を徐々にではあるが伸ばしつつある。今回、米国における日本独特の温泉への興味及び理解と市場としての温泉の可能性を確認するための研究を行い、温泉観光を外国人観光客へのインバウンドの目玉商品の一つにする方向について考察する次第である。
  • 佐竹 真一
    2007 年48 巻 p. 68-80
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    ある観光地の観光開発や観光振興の計画策定を行う際に、その前提となる作業として、適切な観光資源評価は 欠かせない。観光資源評価は、その観光地の想定する市場からと、その観光地の利害関係者からの大きく二つの角度からなされるべきである。評価作業を通して描き出される将来像には、観光地の利害関係者の歴史的な自画像が反映される。この自画像は、市場に訴求すべき個性を設定し、競争力を強化し、観光地の利害関係者の価値観を実現する上で重要である。この為には、観光地の利害関係者の適切な設定と観光資源評価の方法論の確立が必要である。
  • 石川 修一
    2007 年48 巻 p. 81-87
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    観光消費それ自体は私たちが生きてゆく上で必ずしも必要なものではない。どちらかといえば日常的な時間と 空間を離れて行う消費行為であり、これがあることにより、私たちの生活や人生がより豊かで充実したものになる。すなわち、豊かな社会においてより一層行われる消費行為である。このような認識の上にマーケティング戦略をもちいた分析手法の有効性を経済学的マクロ分析手法との対比で示した。経済分析結果を有効なものとするには、豊かな社会における消費者の多様な選択を説明することが必要であり、入手が困難と言われているミクロデータに基づく分析が必要であるとの結論を得た。
  • 井上 泰日子
    2007 年48 巻 p. 88-100
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国は、戦後飛躍的な経済成長を遂げたが、この経済成長をもたらした日本型システムは、高度に統制され た体制で、その成功ゆえに社会の硬直化が進み変革を迫られている。この変革期に経済成長を促進するための新 たな国家目標として浮上したのが観光立国であるが、その先行きは楽観できるものではない。戦後、我が国は真に豊かな社会とは何かを深く検証する余裕もなく経済の領域のみの豊かさを追求し今日に至っている。観光立国とは本来先進国型モデルで、その本質は国や地域、また、そこで生活する人々の魅力であり、経済の領域でも、また非経済の領域でも豊かな社会であることが不可欠である。観光立国は、硬直化した統制社会での実現は困難で、柔軟性、創造性に富む社会である必要がある。
  • 白石 太良, 宋 禧禎
    2007 年48 巻 p. 101-108
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
  • 白土 健, 太田 実
    2007 年48 巻 p. 109-115
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
  • 井上 寛
    2007 年48 巻 p. 116-124
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    2005年と2006年の2度にわたり、筆者は中国南部にある江南古鎮とよばれる水郷観光地、周荘鎮を訪問した。周荘鎮は日本の水郷観光地とは少々違った印象をうけた。それは、努めて電柱を地中に埋めるなど、街の元来の姿への景観保存にこだわっている点は日中ともに共通であるが、この周荘鎮は古民家を保存しているものの、従来店舗でなかったと思われる建物も、軒並み商店や飲食店に作り変えられてしまっている点が日本とは相違している。本研究では、観光ゲスト側からみた観光地への視点、いわゆる「まなざし」に注目する。この視点から、観光ゲストがどのような「まなざし」で周荘鎮を訪れ、それに対し、観光地や土産店がどのような観光地を形成しているのかについて本稿では論じた。このまなざしに対して、本稿では上海市民におこなったアンケート調査からの分析をおこなった。それによれば、周荘鎮を訪れる観光ゲストになりうる人々は、中高年層であり、低学歴・低収入者であること、そして古く素朴なものに対するノスタルジーを求めていることがわかる。つまりそれが、周荘鎮に対する観光ゲストのまなざしなのである。
  • 中尾 勝典
    2007 年48 巻 p. 125-133
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    海外に出国した韓国人は2005年に史上最高を記録した。そのうち半分以上が観光目的で出国しており、海外観 光客の比率も高くなっている。渡航先は、近年旅行熱が高まっている中国が最多で、日本がそれに次ぐが、その差は広がる傾向が認められる。現在、日本においては韓国からのインバウンド旅行者が最も多いが、これが将来も続く保証はなく、今後も持続的かつ効果的な宣伝活動が求められることは言うまでもない。そこで韓国のアウトバウンド旅行者の動向を検証するため、現地の旅行業者等をヒアリング調査した。その結果、韓国アウトバウンド・ツーリズムの鍵を握る”ランド”社が同国旅行業界において重要な役割を担っていることが判明した。そこで本稿では”ランド社”を中心に分析・考察した。それが今後日本のインバウンド観光振興策の手がかりになると考えられるからである。
  • 沈 進成, 紙矢 健治
    2007 年48 巻 p. 134-142
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
    台湾の著名な仏教聖地である仏光山を訪れる観光客の訪問動機は、生活における気分転換を求めることであり、また宗教的な信心でもある。宗教観光はレジャーと宗教の2つの目的を同時に有するものであるので、観光客は、そのレジャー的環境と信仰体験を非常に重視する。仏光山が提供する宗教的かつレジャー的機能は、いずれも満足できる水準に達しており、訪れる人の訪れたいと思う意欲が高くなればなるほど、家族や親戚、友人に対し仏光山に訪れ、宗教的体験をともなう観光を勧める動機も強くなる。本研究では、観光動機の満足度と忠誠度に対する影響を理解するために、宗教観光動機のグループ分析の基礎変数を「高レベルの宗教的願掛けを動機とするグループ」「高レベルの気分転換のためのレジャーを動機とするグループ」「中レベル観光動機グループ」「低レベル観光動機グループ」の4グループに分けた。その結果、宗教観光の動機が強ければ強いほど、その満足度と忠誠度は高くなることがわかった。
  • 劉 明
    2007 年48 巻 p. 143-152
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル フリー
    「上海・九州観光交流の新展開」では、九州観光推進機構の設立により「九州は1つ」という理念のもとで、「九州」の認知度を向上させ、東アジアから誘客を図っていく体制もスタートされた背景を踏まえて、上海・九州観光交流の現状と課題を明らかにすると同時に、その問題点解決のために如何なるマーケティング戦略の策定と実施が考えられるのか検討を試みるものである。
  • 李 承吉, 蘇 國燮
    2007 年48 巻 p. 153-161
    発行日: 2007/06/01
    公開日: 2022/09/26
    ジャーナル フリー
    本論文では、韓国で好まれる週末余暇類型因子を把握することである。研究目的を達成するために、文献調査 と全国広域市を中心にアンケート調査を行い、回収されたアンケート資料に基づいて因子分析、群集分析、一元配置分散分析などを実施した。分析結果は、レジャー活動に関心がない集団、自然観光を好む集団、スポーツ活動を好む集団、都市での余暇を好む集団に分類された。カイ二乗検定を通じて各変数別影響程度を調べた。
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