本考察は小地域の観光地域形成過程をより社会科学的に分析したものである。その際、用いた分析手法は地域科学(Regional Science)の手法である。ここで取り上げる分析対象はある特定の小地域であるため、その地域に関する時系列的に安定したデータを得ることは難しい。そのため分析対象となる地域に関しては,、歴史、環境等について丹念に調査を行い、その地域の背後にある事実を抽出することによって地域科学的分析方法の補完を行った。このような分析方法を本研究では「微視的地域科学の手法」と呼ぶ。本論文は,長野県白馬村を分析対象の地域とし、この微視的地域科学の手法を用いることによって、観光地としての白馬村の地域形成過程を実証的に分析することを目的とする。特に白馬村の観光地域形成に果たした農業資本の役割を検証する。
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