農業経済研究
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85 巻, 4 号
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論文
  • ──土地株式合作制度による取引費用の節減──
    伊藤 順一, 包 宗順, 倪 鏡
    2014 年85 巻4 号 p. 205-219
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    中国における農地貸借市場の発展は,農業労働力の農外への流出によって,その端緒が開かれ,農地制度改革,とりわけ請負経営権の強化がそれを後押ししてきた.本稿ではこうした先行研究の主張を支持しながらも,農地の流動化を促す第3の要因として,貸借を仲介する組織の役割に注目した.実証分析の結果は,土地株式合作社が農地の流動化とその集積および農家以外の経営体の農業参入に,多大な貢献をなしていることを示唆している.合作社が貸借を仲介することで取引費用が節減され,流動化が急速に進行したのである.これは集団的土地所有という社会主義の遺制を実質的に無効にする制度の導入により,農民が躊躇なく利用権を譲渡する条件が整った結果にほかならない.
  • ──1910年代前半を中心として──
    立岩 寿一
    2014 年85 巻4 号 p. 220-233
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    1912年に始まるカリフォルニア州の稲作は,その当初から移民日本人が関与していた.しかし,初期稲作の中心地であるビュッテ郡では,コルサ郡と比べて1915年までの移民日本人稲作に関する公的記録がない.土地貸借関係資料の分析から,すでに1912年から移民日本人の稲作が確認でき,土地所有者との関係も固定的なことが判明した.また動産抵当証書作成ではなく,土地所有者からの資金提供により経営が行われていたと考えられる.この関係は1910年代前半の特徴であり,それはコルサ郡とは異なる移民日本人稲作の発展だった.
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