農業経済研究
Online ISSN : 2188-1057
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94 巻, 2 号
(大会特集号)
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
座長解題
報告
  • 久野 秀二
    2022 年 94 巻 2 号 p. 91-105
    発行日: 2022/09/25
    公開日: 2022/12/25
    ジャーナル フリー

    食料保障危機,栄養危機,気候変動危機に直面する現行の食農システムの問題性は国際社会の共通認識となっている.しかし,それをどのように・誰の手によって・どの方向に転換していくかをめぐり大きな齟齬と対立が存在する.本稿では,批判的政治経済学と批判的言説分析に依拠しながら,グローバル食農ガバナンスをめぐるヘゲモニー言説の傾向と問題点を析出するとともに,対抗的ヘゲモニーの実践の可能性を探るため,食料主権・アグロエコロジー論と世界食料保障委員会の挑戦ならびに都市圏フードシステム論とフードポリシーカウンシルの挑戦に注目する.最後に,批判的食農政策研究のあり方,批判的食農政策研究者の役割について示唆を与える.

  • 西澤 栄一郎
    2022 年 94 巻 2 号 p. 106-119
    発行日: 2022/09/25
    公開日: 2022/12/25
    ジャーナル フリー

    日本と欧州の農業環境政策を環境政策統合(各部門が環境に配慮した政策を立案・実施すること)という視点から比較した.日本では,農業環境問題で政治的リーダーシップが発揮されていないこと,環境団体が政策形成に関与できていないこと,農業の環境負荷が広く認識されていないこと,などから農業環境政策が最小限のものにとどまっている.また,多面的機能の概念が農業生産の環境負荷を把握できていないこと,レファランスレベルが曖昧なこと,施策が営農行為に限定されているといった問題も存在する.さらに,食料自給率が低く,生産量が低下しているという中で環境配慮を進めていかなければならないという課題も抱えている.

  • 立川 雅司
    2022 年 94 巻 2 号 p. 120-134
    発行日: 2022/09/25
    公開日: 2022/12/25
    ジャーナル フリー

    持続可能な開発や脱炭素など社会転換が迫られるなかで,食料農業政策においても新たな対応策が模索されている.こうした政策転換の構想においては,イノベーションへの期待が重要な柱となる傾向がある.本報告では,食農分野における技術開発の動向や政府による研究開発戦略を国際比較も含めて概観しつつ,脱炭素などの課題解決に向けた転換を進めるためにどのようなイノベーションが必要か,近年議論されている「期待の社会学」や「社会技術レジーム論」などに依拠しつつ論じる.近年のイノベーションの多角的な展開やレジーム間の相互連関などに着目しつつ,課題解決に向けた政策対応において考慮すべき論点と今後の課題について明らかにする.

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