農業経済研究
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84 巻, 1 号
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論文
  • 福田 洋介, 近藤 巧
    2012 年 84 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    2006~2008年夏にかけ,穀物の国際価格が急上昇した.2008年夏以降,穀物価格は急落したものの,いまだ1973年以降の水準より高いままである.本稿では,応用一般均衡一国経済モデルを用いて穀物の国際価格上昇が日本農業に及ぼす影響を分析した.主な結果は,以下のとおりである.第1に,穀物の国際価格上昇は日本の農業生産額および農業労働力を増加させる.穀物の国際価格上昇により,食料自給率が低い麦類,豆類,飼料作物の生産量は増加し,麦類,豆類,飼料作物以外の農業部門では生産量が減少する.生産価格は全ての農業部門で増加し,農業生産額も増加する.飼料価格の上昇によって畜産部門では生産量が減少し,労働投入量も減少する.畜産部門以外の農業部門は全て労働投入量が増加し,農業全体でも労働投入量が増加する.第2に,穀物の国際価格上昇により国内の消費者の効用は減少する.食料および非アルコール飲料の消費量も減少するが,GDP減少率はわずかにとどまっている.第3に,農業部門での技術進歩は国内の消費者の厚生水準の低下を軽減し,GDP減少率を抑える.
  • ──茨城県筑西市田谷川地区の事例より──
    西川 邦夫
    2012 年 84 巻 1 号 p. 15-31
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    本稿の課題は,現局面における米生産者直販の展開論理を明らかにするとともに,マクロ的に見た直販停滞についての示唆を得ることである.本稿では,米需要構造の動きと経営の生産力構造に注目するとともに,茨城県筑西市田谷川地区の事例から課題に接近する.本稿の結論は以下のとおりである.2000年代以降,中食・外食需要へ対応するために,取引ロットの大規模化による流通コストのカットと販売価格の抑制が求められた.また,生産力構造の高度化が,直販を可能にするとともに必要とされた.本稿の分析により,現局面では本格的に直販に取り組める水田作経営は限られてきていることが示唆された.
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