人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第34回 (2020)
選択された号の論文の892件中401~450を表示しています
  • 分散確率的探索アルゴリズムDSSA+の3次元空間への拡張
    塩田 知広, 平山 勝敏, 沖本 天太
    セッションID: 2N6-GS-1-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    分散確率的探索アルゴリズム(DSSA)とは,船舶衝突回避問題を解くための分散アルゴリズムの1つである.DSSAでは,自船舶に他の船舶が接近した際に,互いに意図(針路)を交換することで最適かつ安全なコースが選択される.また,その拡張版であるDSSA+では,針路変更だけではなく速度変更も考慮したコース選択がなされる.ただし,両者とも2次元空間内の船舶衝突回避を想定しているため,ドローンなど速度が比較的速い3次元空間内の自律移動体の衝突回避問題を将来扱うためには,さらなる拡張と既存の枠組みの再検討が必要になる.本論文では,そのような拡張と検討を加えた新たなアルゴリズムDSSA+for3Dを提案し,Unityを使ったシミュレーション実験によりその性能を評価する.

  • 戸谷 太亮, 水野 一徳, 増金 拓弥
    セッションID: 2N6-GS-1-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    現実的な時間内に制約充足問題(CSP)の解を発見する手法として,蟻コロニー最適化(ACO)という群知能を用いたアルゴリズムの有効性が実験的に示されている.ACOには複数のパラメータが存在し,これらは任意の値を設定する必要がある.ACOのパラメータを問題に適した値に設定することができれば,高い確率で解を発見することができる可能性が高い.しかし,そのためには,多くの実験と経験によってパラメータの値を調整していく必要があり,これには多くの手間と時間がかかってしまう.本研究では,ACOのパラメータ調整を自動化し,パラメータ調整の手間の削減を目標とする.パラメータ調整を自動化したアルゴリズムに,PSOACOというアルゴリズムが提案されている.このアルゴリズムはACOによる解探索中に,粒子群最適化という群知能を用いて動的にパラメータを調整するアルゴリズムである.本研究では,PSOACOをCSPに適用し,大規模なCSPに対してより高い確率で解を発見するための改良を加えた手法を提案する.また,本研究では,CSPの一つであるグラフ彩色問題を用いて,提案手法の有効性を実験的に示す.

  • 前田 浩丞, 岩沼 宏冶
    セッションID: 2N6-GS-1-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    近年,実世界から情報を収集する手段として,センサネットワークに関する研究が急速な進展を見せている.それに伴って,複数のセンサの情報を統合・圧縮する技術もその重要性を増している.情報を圧縮する技術として分位数を用いる手法がある. 本研究では,ストリームデータ上の分位数の高速オンライン計算の実現を目的として,ε近似分位数サマリを構築するGreenwaldとKhannaのアルゴリズムを,カウンタを用いて更に高速化する方法を提案する.

  • Lessons from Japan’s Fifth Generation Computer Systems (FGCS) Project
    Colin Shunryu GARVEY
    セッションID: 2O1-ES-5-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    AI is currently dominated by two superpowers, the USA and China. Both are engaged in an “arms race” that promises to shape the global balance of power. But this is not the first AI arms race between the USA and a rising Asian economic power. Japan’s 1981 announcement of the Fifth Generation Computer Systems (FGCS) project—a bold plan to revolutionize computing hardware and software—sparked a global AI arms race that ran for over a decade. This paper draws on prior historical research analyzing Japan’s FGCS project to ask: What can be learned from this historical episode? After briefly recapitulating the FGCS and global responses to it, the paper expounds a handful of policy lessons relevant to navigating the current AI arms race.

  • 玄道 俊, 程岡 晃一, 松下 光範
    セッションID: 2O1-ES-5-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    本研究の目的は、研究論文の中で視覚化することにより、研究分野の動向を把握することを支援するシステムを開発することである.これまでの研究では,引用論文の関係性を可視化し研究動向を把握している.しかし,単一の論文に焦点をあてているため,内容的に近い論文であるにも関わらず,論文に引用関係がなければ関係性を見出すことは難しい.これらの問題を解決するために,本研究では引用論文の関係の有無を複数の論文に渡って把握できるプロトタイプインタフェースを実装した.

  • IWASAKI Yuki, TAKENAKA Miku, MATSUSHITA Mitsunori
    セッションID: 2O1-ES-5-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    本研究の目的は初心者投資家が行うファンダメンタル分析を支援することである. ファンダメンタル分析は,株取引の際のリスクの低減を目的として,投資家が行う分析のひとつである.この分析では,投資家は,ニュース記事や株式市場の傾向を調査し,企業の動向を把握する.経験豊富な投資家は,ニュース記事が示す社会的動向と企業の状況との関係を理解するのに十分な知識を有しているため,こうした情報を統合して効率的に解釈し投資行動を行うことができる.しかし,投資初心者にとっては知識の不足によりファンダメンタル分析を行うことが難しい.このような初心者の分析を支援する端緒として、本稿では投資経験者と投資初心者の行動の違いが観察し,行動モデルを策定し,このモデルに基づいた支援システムのプロトタイプを作成した.

  • QU XIANG, Takayuki ITO, Ahmed MOUSTAFA, Shun OKUHARA
    セッションID: 2O1-ES-5-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    Social media has reshaped how crisis information is generated and shared. Therefore, how to use the characteristics of social media to turn a crisis into an opportunity, is of significant importance for this study. The objective of this research is to identify the factors on the crisis that can be turned into opportunities by using social media. In order to achieve the aim, this paper has been divided into six principal sections. Firstly, a brief overview of the research background and objectives of this study were provided. Secondly, it has offered a review of the related works on the subjects regarding two dominant theories. According to previous research, case studies and interviews were held for abstracting some common features and the logic behind them as possible impact factors. In this section, the hypotheses were developed based on the research objectives. Furthermore, hypotheses were tested based on the real findings collected data from a questionnaire survey. The key findings that approve or oppose those hypotheses were discussed fully in the section of the discussion that can supplement academic literature on practice of crisis management.

  • Md Parvez ISLAM, Hisashi MATSUGI, Shizu ITAKA, Kenichi TOKUDA, Nobuo K ...
    セッションID: 2O4-GS-13-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    The greenhouse microclimate is an uncertain nonlinear system and affected by various physico-chemical processes, such as heat and mass transfer between plants, air, growing condition and the plastic cover, plants photosynthesis rate, cultivation methods, CO<sub>2</sub> concentration, solar radiation, atmospheric RH, temperature, etc. Growers continuously supplied hot air and CO<sub>2</sub> inside the greenhouse for cultivating eggplant during winter season. This causes ununiform distribution of CO<sub>2</sub>, RH and temperature inside the different area of the greenhouse and potentially risk against disease and pest breakout, water stress condition. Therefore, the quality and accuracy of the microclimate monitoring data for optimal control of the greenhouse microclimate has a great influence on ensuring the high crop yield with good quality throughout the year. In this experiment, we divided the greenhouse into 20 subzones and sensors were setup into three layers (top, middle, bottom). Total 72 wireless sensors (48 temperature sensors, 9 solar radiation sensors, 16 CO<sub>2</sub> and RH sensors) with 4 mobile base stations were setup for the greenhouse area of 2910m2. In this paper, we investigated the accuracy, continuation and correlation of the different parameters to optimize the number of sensors for eggplant cultivation all the year round inside a solar type greenhouse.

  • 下村 真生, 中村 和幸
    セッションID: 2O4-GS-13-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    農作物の収量を予測することは,収穫日までの期間に環境補正が可能となること等,収量安定化の観点から重要である.また,この問題に対して畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用することで,高精度な予測が期待される.その一方で,農作物データの取得やモデルの学習に時間とコストがかかることから,適切なサンプルサイズが必要であるかの見積もりは重要である.本発表では,ハウス栽培環境下のきゅうりに焦点を当て,1週間後の収量が平均より多いか少ないかの2値分類問題に対して,識別根拠を視覚的に説明する手法であるGrad-CAMを適用して,本質的情報が得られているかについて分析した結果を示す.分析の結果,従来から重要性が指摘されている葉の部分を識別根拠として捉えている可能性があるという示唆が得られた.しかし,数百程度のサンプルサイズの場合には学習間で分析結果は安定せず,必要なサンプルサイズ確保と適切な学習モデル選択の必要性も見受けられた.

  • 甲斐 悠斗, 堀部 典子, 青木 振一
    セッションID: 2O4-GS-13-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    農業経営において深刻な問題となっている病害虫の発生について,被害を最小限に抑えるためには,迅速かつ適切な病害虫対策が必要である.そのため,これまでに,さまざまな病害虫発生に関する情報提供や発生シミュレーションシステムが作成されてきた.しかし,日本に数千種類存在すると言われている病害虫に対して適切な対策を行うには膨大なコストがかかる問題がある.そこで,本研究では,シミュレーションに必要な病害虫モデルを,気象情報と過去の病害虫発生履歴情報を使って,自動生成する方法を提案する.気温や湿度と病害虫の発生数や発生確率などの関係性を,機械学習の手法を用いて見つけ出し,シミュレーションとして実装する.さらに,生成された病害虫モデルは,その後の栽培実験と連動させることによって,より正確なシミュレーションを実現することが可能となる.本研究では,病害虫発生情報と気象情報から,初期段階の病害虫モデルを生成し,それをシミュレーションとして実装するまでの手法を解説する.

  • 川村 隆浩, 桂樹 哲雄, 稲冨 素子, 鐘ヶ江 弘美, 江口 尚
    セッションID: 2O4-GS-13-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    昨今,研究データの有効活用による研究の加速化や新たな知の創造が強く求められている.そのため,各国研,大学では研究データ基盤の整備が進められており,我々,農研機構では農研機構統合DB(以下,統合DB)を構築し,2020年4月より運用を開始した.統合DBでは,農業に関する様々な研究データ(ゲノムや品種,病害虫や環境に関する情報)にFAIR原則に基づく共通メタデータを付けてカタログ化する.一方,自然科学特有の複雑に絡み合ったデータ間の関係をRDF(Resource Description Framework)やProperty Graph,またはRDB形式で記述し,統計分析や機械学習の適用を容易にする仕組みを提供している.特に,農業や環境など研究期間が長期に渡る研究データをより早いサイクルで分野横断的研究に繋げるべく,日常的に利用するファイルサーバーと研究データレポジトリを一体的に運用できる点を特徴としている.本稿では,研究データレポジトリの動向を概観した後,統合DBのシステム構成,農研機構共通メタデータを紹介し,今後の展望を示す.

  • 高橋 伸弥, 李 玉潔, 鶴田 直之, 藍 浩之
    セッションID: 2O4-GS-13-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    観察用人工巣箱内のミツバチの行動を自動追跡することを目的として,画像処理により動画像の各フレームからミツバチ個体領域を検出する手法について検討する.これまでの観察実験により大量の画像データが利用可能なことから,段階的な畳み込み自己符号化器を用いた教師なし学習により,正解ラベルのついていない17万枚の学習画像から約86%の精度でミツバチ画像と背景画像を分類可能なモデルを構築した.この教師なし学習による分類結果を用いて,画像識別のためのニューラルネットワークVGG16を転移学習することで,高精度な識別が可能となることを示し,さらに物体検出のためのFaster R-CNNをVGG16の識別結果の画像から再学習することを試みる.

  • 古木 宏和, 荒木 光一, 一言 正之, 野村 卓矢, 田方 智
    セッションID: 2O5-GS-13-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    土木・砂防分野の調査や診断などは,専門家による経験的知見や暗黙知から判断されることが多く,100%の正解データを作成できない場合がある。その一つとして,地形判読が上げられる。地形判読は,土砂災害発生場を予測する手法としてだけではなく,地形図や空中写真から地形や地質に潜在する素因などの情報を読み取ることができる.しかしながら,この判読作業は個々の技術者によるため,個人差が生じやすく,広大な面積の判読には大きな負担となる点が課題である。 本研究では,地形判読をはじめとする専門家の暗黙知により判断されることが多い土木・砂防分野への深層学習の応用研究・事例を述べる.そして,適用性を検証するために,専門家の知見を元に教師データを作成し,pix2pixで学習・推論を行った。その結果,正解率は専門家が作成した正解データに対して7割ほどであり,推論結果には正解データを作成した専門家の意図した特徴,例えば,地すべり地形に含まれる崖の形や斜面勾配の変化が表現されていた.このように,深層学習は,土木・砂防分野においても有用な技術であると共に,省力化,効率化,迅速性において有効であることが分かった。

  • 長谷川 裕員, 邊見 涼, 鳥居 敏, 谷村 浩輔, 淡路 動太
    セッションID: 2O5-GS-13-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    山岳トンネル建設では地山性状を正確に評価することにより適切な支保工や補助工の選定を行い、落石・崩落の防止を行っている。地山性状の評価ではトンネル掘削面(切羽)の風化度合や亀裂の状態、岩盤強度を専門技術者の目視観察により行うが、観察者の経験差により結果が異なる場合がある。このため誰でも習熟した専門技術者と同等な評価ができるシステム開発が求められている。我々は切羽から取得した写真画像および3次元化画像(DEM画像)とドリル削孔機の油圧計測データを用いて地山を評価するAIシステムを開発している。トンネル切羽の写真画像、DEM画像から風化および亀裂状態の分布について深層学習(畳み込みニューラルネットワーク)を用いて数値化を行った。風化分布、亀裂分布の数値と油圧計測データを専門技術者の評価に関連付けた教師データを作成してアンサンブル学習による地山評価モデルを構築し検証した。主に泥岩が出現するトンネル切羽を用いて実施した結果、観察者と同じ傾向の予測が得られた。

  • 伊原 滉也, 加藤 昇平, 増田 湖一, 新宮 康之
    セッションID: 2O5-GS-13-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    建設業界では人手不足が世界的な問題となっており,AIによる省人化や生産性向上が求められている.シールド工法は世界中で用いられているトンネル工法の1つで,都市部等の厳しい条件下でのトンネル建設に必要不可欠な工法である.シールド工法の計画段階において,トンネルのセグメントの割付順を計画するセグメント割付が行われる.従来は,技術者の手によって可能な限り計画線に沿うことを目的として計画されているが,計画線と割付けられたセグメントのズレは許容値以下に収めればよく,その制約を満たす解の中にはより施工コストの小さな割付が存在すると考えられる.本稿では,セグメント割付け時に幾何シミュレーションを用いてズレと施工コストを計算し,それらの値による解評価に基づいて進化計算によりセグメント割付を最適化する.また,提案手法の有効性検証のため,実データを用いた3次元シミュレーションによるセグメント割付実験を行った.実験結果から提案手法はズレの制約を満たした上で従来の技術者の手法と比較して施工コストの小さな割付を発見できることを確認した.

  • 木本 智幸, 園田 潤
    セッションID: 2O5-GS-13-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    地中レーダは,地中に入射した電波の誘電率差で生じる反射波により地中物体を検出する技術であり,社会インフラの劣化状況を非破壊でセンシングするのに有効な技術である.これまで我々は,FDTD法による物理シミュレーションで大量のレーダ画像を生成し,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて複数の不均質土壌における地中レーダ画像から物体の誘電率や大きさの識別が可能なことを明らかにしてきた.しかしながら,実際の現場ではレーダ画像は大量に入手できるものの,埋設物の誘電率は地面を掘って調べるしかなく,大量の画像で教師あり学習をすることは現実的でない.本研究では,正解ラベルの無いレーダ画像を有効に利用するために,VAEでレーダ画像を教師なし学習で潜在変数空間に写像した後、少量の正解ラベルありレーダ画像でラベル付けすることで、埋設物体の誘電率の識別率が向上することを報告する.

  • 津國 正一, 山戸田 武史
    セッションID: 2O5-GS-13-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    軟弱粘性土地盤上の道路盛土施工では、圧密沈下での道路沈下防止のため、基礎地盤に地盤改良が施工される。この地盤改良設計に機械学習での学習結果を可視化することで、最適な地盤改良形状を容易に設計できる手法を考案した。盛土と基礎地盤を含めた3次元FEMモデルについて遺伝的アルゴリズム手法による最適解析で得られた4,315ケースの解析結果を機械学習に用いた。機械学習には自己符号化器を応用したモデルを使用した。符号化器1では、入力とした解析で用いた改良パターンを2次元の潜在空間に符号化し、複合化器1で潜在空間から盛土の変形パターンを出力する。また、複合化器2は潜在空間を入力とし、改良パターンを出力とする。2つの複合化器を用いると潜在空間から改良パターンと盛土の変形パターンを同時に予測できる。次に2次元潜在空間を400ブロックに分割し、予測した各ブロックの平均改良パターンを潜在空間上にコンター表示する。また、改良効果が高いと値が大きくなるように定義した予測スコアを、潜在空間上にコンター表示する。改良パターンと予測スコアのコンターを比較することで、改良効果の高い改良パターンが容易に設計可能となる。

  • 小橋 昌明, 田中 駿, 塚本 祥太, 佐藤 能英瑠, 鳥居 武史
    セッションID: 2O6-GS-13-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    自動車の運転の内容を元に運転技能を評価し、ドライバにフィードバックをするシステムは、安全運転が行われる社会を実現する上で重要である。しかし、熟達した運転の中にも多様な傾向があり、単一の正解から逸脱した運転を問題であると評価するのはその多様性に対応できていないという問題がある。本研究では、上手な運転とは「自分の意図通りに車を操縦できており、運転操作の変更・修正が少ない運転」であると定義づけた上で、運転の時系列データに対して、ステアリング角度と前後加速度を元に「運転操作の変更・修正」を検出するアルゴリズムを考案した。さらに、変更・修正の要因を特定し運転者にフィードバックをするため、検出した点に対して、変更・修正の原因を予測する分類器を作成した。学習と推論を実施した結果、学習時と同一のコースにおいてF値0.199で正しい原因を予測できることが確認できた。

  • 赤坂 啓, 陳 放歌, 寺口 剛仁
    セッションID: 2O6-GS-13-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    自動車の空力性能を評価するためには、一般に風洞実験もしくは数値流体解析(CFD)を用いるが、実験や解析に伴う時間・コストの増加が課題となっている。そこで、機械学習技術を用いて自動車形状と空気抵抗係数(空力性能指標の一つ)の関係を学習することで、自動車の空気抵抗予測モデルを開発した。本手法では、三次元の車両形状をVoxelで近似しConvolutional Neural Networkを用いて学習を行った。この予測モデルを用いることで、短時間・低コストに空気抵抗係数の予測が可能になった。 また、本予測モデルにグラフィカル・ユーザー・インターフェーズを組み合わせることで車両形状を変えながら空気抵抗をインタラクティブに評価できるツールを開発した。一般に、空力性能は車両パッケージ要件やデザイン要件とトレードオフの関係にあることが多い。このツールを用いることで、車両形状を変えながらこれらの要件と空力性能の成立性を検討することが可能となり、意思決定の迅速化、開発効率の改善が期待できる。

  • 大久保 順一, 菅原 宏明, 藤井 純一郎, 小篠 耕平, 小早川 悟, 和田 英之
    セッションID: 2O6-GS-13-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    本研究は、日本大学と八千代エンジニヤリング株式会社との共同研究である。交通量調査は、ほとんどの場合、人手による目視で行われてきた。人員確保の手間と費用が掛かり、さらに計測精度も不明確である。 また専用のカメラや、専用の設置場所によるICTを用いたシステムで行われる場合もあるが高価であり設置地点も限られている。今後は自動車専用道路や幹線道路等ではCCTVカメラ等の画像解析により交通量の常時観測が行われる予定があるがカメラ等を設置していない区間や細街路等ではこれまで通りの交通量調査が必要となる、本研究では、汎用のビデオカメラによる画像を深層学習による画像解析手法を用いて、できるだけ安価で専用の設置場所によらず、容易に設置・撤収の可能なことを条件として、車種別交通量を精度を落とすことなく解析するシステムを提案する。

  • 松平 正樹, 藤田 幸愛
    セッションID: 2O6-GS-13-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    我々は,高速道において事故や路上障害物,故障車などによる交通異常を早期に検知する目的で,ETC2.0プローブデータを用いた交通異常検知方式を研究している.本稿では,交通流の特性を数値指標としてモデル化した方式について説明し,実際のプローブデータを利用した評価結果を報告する.まず,プローブデータにより,渋滞先頭の交通流を分析した結果,交通集中(自然渋滞)の場合は緩やかに加速し,交通異常の場合は比較的速く加速する特性があることが判明した.また,サグ部や合流地点といった交通集中による渋滞が発生しやすい場所があることが分かっている.この特性を渋滞先頭の速度回復距離や加速度,時系列速度変化などの数値で特徴量とした.開発した方式は,交通集中と交通異常について複数の特徴量の生起確率をガンマ分布などでモデル化し,リアルタイムに取得したデータをモデルと照合して特徴量の同時生起確率を計算して交通異常を検知するものである.いくつかの交通集中渋滞の頻発地点および事故・交通規制が発生した実際の400件のデータを用いて,開発した交通異常検知方式を評価した.その結果,再現率,適合率ともに80%以上の精度を達成した.

  • 大田原 菜々, 塚原 裕史, 欅 惇志, 小林 一郎
    セッションID: 2P4-GS-11-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    自動運転車を言葉で操作をするためには、発話の中で現れる場所や物体などと、実世界上の場所や物体を結び付ける技術が必要であると考えられる。本研究では、自動運転車を操作するための、自然言語と実世界空間のグラウンディング(対応付け)を行い、運転指示に応じた行動を出力するモデルの構築を行う。特に運転指示の中でも駐車指示に焦点を当てている。既存手法では、特定の構造の駐車指示文のみを扱っており、推論を行うことのできる駐車指示の構造の数が少なかった。そこで、本研究では、グラフィカルモデルを生成するモデルを発展させて複数の構造でのグラウンディングに対応した。実験では、1つの構造について学習をし、そのパラメータを初期値とし次の構造を学習すると言う方法と、学習可能な全てのデータを同時に学習する方法の2種類を行い、精度を比較した。

  • 坂本 佳史, 青田 健太郎
    セッションID: 2P4-GS-11-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    自動運転車の開発は,市場への導入に向け急ピッチで進行している.自動運転車の信頼性を保証するためにシミュレーション技術が広く採用されている.そのシミュレーションは自動運転車の機能の中で経路計画に重点をおいて実行するケースが多く見られる.その理由は経路計画が自動運転車その状態と周囲の環境に大きく依存する事から,現実世界での再現が難しい事である.その中で重要と考えられるのは自動運転車の周辺車両の振舞いの再現であり現在はその再現に多くの時間を要している. 他方,自動運転車は事故等の状況において適切な動作を求められるが全ての状況を事前に特定して検証することは困難である.また設計段階において特定出来ないケースで重大な事故を発生する可能性が高いであろうことは想像に難くない. 我々は意図しないテストスペースを満たすテストケースを現実的なコストで生成,さらに自動運転車と周辺車との相互作用を動的に実現するためのコ・シミュレータを開発した.このコ・シミュレータにはアクティブマターを採用することで計算量を抑制,その結果として周辺車両の振舞いと,自動運転車との相互作用を自動的かつリアルタイムに生成する事を実現した.

  • 吉田 拓巨, 山中 久昂, 大塚 孝信
    セッションID: 2P4-GS-11-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    近年,医療現場では多種多様な医療機器に支えられ急速な発展を遂げている. しかし, その管理に係るコストの増大が問題となっている. 本研究では, LPWA通信を用いた医療機器管理ネットワークシステムを構築し, 機器管理に関わる人的コストを削減する. 医療機器の位置情報に加え, 機器の動作情報を合わせて位置稼働情報と定義し, 使用時刻などを加味した効率的な医療機器の保守点検に利用する. 具体的には, 本システムモジュールを医療機器に取り付け, WiFiアクセスポイントからの受信信号を用いた位置情報推定に加え, 電流値の測定により動作情報の収集を行う. 取得した位置稼働情報はLPWA通信規格のLoRaWANにより集約する. 本システムを用い, 大学病院にて運用実験および機器の位置稼働情報の可視化を行った. 可視化には, 本モジュールから取得したデータに加え, アクセスポイントの位置情報など病棟の情報を利用する. 特定の病棟に関わらず様々な用途で本システムを利用できるよう, 位置情報は地球座標系により管理可能にした. さらに, 地上高に関する値として階層を用い, 建物内部における階層を含めた位置の推定を実現した.

  • 野口 洋平, 田中 文英
    セッションID: 2P4-GS-11-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    内部に可動錘を有するハンドヘルド型コミュニケーションロボット OMOY を開発した。ハンドジェスチャや音声対話などの振る舞いに加えて、内部ウェイトの動きを制御していくことで、より複雑な感情や意図の伝達が可能になると考えられる。本研究では、重心移動に関する効果的な設計指針を得るべく、4つの基本的な動作パラメーター(target position、trajectory、speed、repetition)に基づいて生成された36の重心移動パターンが、ユーザーにどのように解釈されるのか調査した。定量的・定性的分析の結果、各パラメーターとユーザーの知覚特性との間の詳細な対応関係が明らかとなったとともに、特定の感情・意図を表現しうる特定の重心移動パターン(上記4種のパラメータの組合せ方)が明らかとなった。本研究により得られた設計指針は、たとえば OMOY が2者間コミュニケーションの『仲介役』として用いられるような場面で、伝達される感情的コンテンツを補強し、両者のメッセージングを円滑にしていく上で有用であると考えられる。

  • 磯和 隆道, 小川 浩平, 佐藤 理史, 石黒 浩
    セッションID: 2P4-GS-11-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    近年の技術の進展により,ニュースといった客観的な情報やおすすめといった主観的な情報など多様な種類の情報が,文字や写真,動画,ロボットなど様々な方法で伝達されている.そのなかで,情報を対話により伝達することで,単に情報を伝達するよりも受け手にとって記憶に残りやすいという知見が明らかになっている.そのため,既存の様々な情報を分解し,対話形式に再構成することで,より効率的な情報伝達が可能であると考えた. 不完全な知識を持つ2つのエージェントを用い,互いの知識をすり合わせ,互いが持つ知識を理解しようとする試みを会話として表現することで,情報を対話的に再構成する.2つの知識構造は,1つの完全な知識構造をあえて不完全な2つに分割したものとし,エージェントは,互いの知識をすり合わせることで各々の知識構造を完全なものに近づけることを目指す.もともとの完全な知識構造は,属性を伴った構造にし,APIを用いてフォームフィリングする.また,具体的な会話は文を穴埋め構造にし,属性をもとに単語を埋める方法で実現している. 本稿では情報の対話的再構成を実現したシステムについて用いた手法や技術などを詳細に説明する.

  • 水谷 守裕, 奥野 彰文, 福井 一輝, KIM Geewook, 下平 英寿
    セッションID: 2P5-GS-3-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    近年, FlickrやInstagramのような複数種類(例えば, テキストと画像)から構成されるマルチモーダル関連性データの分析が重要な課題となっている. また, 可視化によってデータ分析を行う様々な手法が提案されている. t-Stochastic Neighbor Embedding(t-SNE)では, データベクトルからベクトル間類似度により計算される近傍グラフが保存されるような低次元ベクトルを計算し, 可視化を行う. しかし, 1ドメインデータを扱う既存のt-SNEではマルチモーダル関連性データを処理できない. 本研究では, 所与のドメイン間グラフに加え, 特定のドメイン内でデータベクトルが与えられたマルチモーダル関連性データについて, 所与の関連性をよく反映する低次元ベクトルを得ること, 特に得られた2次元ベクトルのプロットによる可視化を目的とする. 提案手法では, データベクトルから計算したドメイン内近傍グラフと, 所与のドメイン間グラフを組み合わせたマルチモーダル関連性データのグラフを利用した, 複数ドメインの確率的同時埋め込みを行う. 最後に, 本手法を用いたFlickr画像データの可視化と分析から有効性を示す.

  • 小山 和輝, 切通 恵介, 大川内 智海, 泉谷 知範
    セッションID: 2P5-GS-3-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    多変量時系列データから元の現象を表現する学習モデルを獲得する方法として、ベクトル自己回帰(VAR)モデルが広く使われている。しかし従来のVARモデルに基づいた解析手法では、モデル選択で全ての系列に同一の最大時間遅れを仮定するなど、現象の本質的な情報が損なわれる危険性があった。 本論文ではこれらの課題を乗り越える手法として、潜在構造正則化学習と統計モデルを用いたVARモデル解析の拡張手法を提案する。提案手法は、従来手法では抽出できなかった個別の系列毎の最大時間遅れのモデル選択が可能となり、さらに現象の説明に本質的に寄与しない時間遅れ成分をスパースに縮約推定することができる。その上で提案手法で学習したモデルは、従来手法と同等以上の精度を保つことが確認されている。また提案手法で変数間に仮定している構造は、多変量時系列解析に広く適した構造であり、個別のドメイン知識の影響も少ない。 提案手法の効果を測るために、本論文ではトイデータと実データに基づく評価も行なった。結果的に、提案手法は多変量時系列データに内在する本質的な低次元空間を的確に抽出し、現象に対して解釈性の高い結果が得られることが示された。

  • 竹内 孝, 鹿島 久嗣, 上田 修功
    セッションID: 2P5-GS-3-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    都市空間の様々な地点に数多くのセンサーが設置され,都市の活動が膨大な時空間データとして計測されている.これらの時空間データを利活用し,都市の状態把握や将来の変化予測に役立つ新たなデータ解析技術が必要とされている.データ解析のための技術として,畳み込み型ニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network: CNN)が注目を集めて久しいが,CNNは観測値が格子状に存在することを前提としており,都市から取得される時空間データのように観測する地点が散在する場合には使用できない.一方,コンピュータビジョンでは,レーザースキャナーを用いて観測した3次元点群から,物体認識を行う点群深層学習が提案され,まばらに存在する点群の位置情報の活用が進められている.そこで本研究では,点群深層学習を要素として組み込んだ,時空間データ解析のための新たな畳み込み型の深層学習技術を提案する.都市で運用されるシェアリングエコノミー型サービスであるバイクシェアリングの移動履歴データを用いた実験を行い,提案手法の優位性を検証する.

  • 宮村 祐一, 神津 友武
    セッションID: 2P5-GS-3-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    機械学習手法の活用の一つとして、事象の要因ないしは特徴の分析が挙げられる。例えばマーケティング分析の場合、商品を購入する利用者か否かについて決定木を学習し、学習した決定木の条件分岐を解読することで、商品を購入する利用者の特徴を分析することが出来る。このような方法では、商品購入の有無にどのような変数が影響しているかはわかるものの、どうしたら購入してもらえるようになるかまでは分からない。また、深層学習等の可読性の低いモデルは活用しにくく、決定木などの可読性の高いモデルでは大まかな傾向しかわからないことが多い。本稿では、深層生成モデルの一つであるConditional Variational Autoencoder (CVAE)を用いて、商品を購入していない利用者がどういう状態の場合に購入する可能性が高いかを推定(理想状態を推定)することで、前述の課題への対処を試みる。各利用者の理想状態と現状の差を求めることで、どうしたら良いかを明らかにし、かつ、深層生成モデルを用いることでより詳細な分析を実現する。金融機関のマーケティング分析を題材に決定木との比較実験を行い、深層生成モデルの有効性を示す。

  • 伊藤 柊太, 伏見 卓恭
    セッションID: 2P5-GS-3-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    近年,グラフの一般化であり,2つ以上のノードの関係を表すことができるハイパーグラフの研究が活発に行われているが,それらに対するクラスタリング手法はまだ確立されていない. 本研究では,ハイパーエッジをノードとして扱うことで二部グラフを構築し,ノードとハイパーエッジの関係をTF-IDFで定義し重みとして扱うことで,ハイパーグラフを高速にクラスタリングする手法を提案する. このアルゴリズムは,TF-IDF重みの降順で二部グラフエッジを再構築し,エッジに沿って到達可能なノードをクラスターに併合することで効率的にクラスタを把握できる. 人工データと大規模な実データセットを使用した評価実験により,既存手法と比較して提案手法が有効性と効率性の点で優れていることを示す.

  • 小川 芳樹, 沖 拓弥, 関本 義秀, 柴崎 亮介
    セッションID: 2P6-GS-13-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    地震被害推定の精度向上には,建物1棟1棟の構造・築年代情報を有する建物データベースの整備が必須である.そこで本研究では,不動産データから得られる地理空間情報(GIS)と建物画像を用いて建物の構造・築年代を1棟単位で推定する手法を2つ提案し比較する.1つ目は,全国の不動産ポイントデータ(構造・築年代付き)に,用途地域や道路などの GISデータ情報を空間結合させることで,教師データを作成し,スパースモデリング(SpM)による学習するモデルである.2つ目は,不動産データから得られる建物の外観画像を畳み込み深層学習(CNN)により学習するモデルである.最後に,提案した2つのモデルを実際の不動産データに適用し,実験することにより,建物構造と築年代を正確に分類できることを検証する.

  • 諏訪 博彦, 大坪 敦, 中村 優吾, 野口 真史
    セッションID: 2P6-GS-13-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    賃貸物件を検索する際には,賃料,広さ,駅までの時間,築年数などの情報が使用される.これらの指標は定量的データであり,比較することができる.しかしながら,備考欄のコメントに記載されているような「閑静な住宅街」や「日当たり良好」などの条件は,各物件の表示にあいまいさがあるため,比較が困難である.そのため,騒音や日当たりを定量的に評価できる指標が求められている.我々は,IoTデバイスを用いてデータを収集し,そのデータに基づいて,物件探索者が比較可能な静穏性(屋内・屋外),防音性,採光性,断熱性の5指標を構築した.不動産業者の協力による評価の結果,提案指標のうち防音性を除く4指標において,適切な指標化がなされていることを確認した.

  • 堀 貴仁, 高橋 佑典
    セッションID: 2P6-GS-13-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    近年,AI領域における研究成果のビジネス適応が盛んに行われており,例えば,LIFULL HOME’Sのような不動産相場価格を提示するようなサービスなどが多く存在する.一方で不動産鑑定士という不動産を鑑定する専門家がいるが,これらのサービスの多くは不動産鑑定士の鑑定評価ロジックを模倣しているわけではなく,線形回帰モデルやニューラルネットワークを用いて推計を行っている. そこで本研究では,不動産鑑定士の意思決定,特に取引事例比較法を機械的に再現し,戸建住宅価格を推計することを試みる.取引事例比較法は,近隣地域もしくは同一需給圏内から類似物件を収集し,時点修正や事情補正を行った後,類似物件と比較をすることで評価を行う.その手順を模倣するために,不動産鑑定士の手順を類似物件収集,住宅価格に影響を与える主要な要因での修正,より詳細な要因での修正の3つのステップに分割し,回帰分析と回帰木を用いて価格を推計する. 結果として,データセット全体に線形回帰モデルを適用したときより,本研究の手順を行った場合,予測精度が向上することが明らかになった.

  • 大浜 毅美
    セッションID: 2P6-GS-13-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    不動産賃貸においてその適切な賃料設定は重大なテーマであり、機械学習を用いた賃料推定システムは主に不動産管理会社および投資オーナーといった貸主向けのものが近年多数開発されており、社会的な不動産流通の適正化に少なからず寄与し始めていると考えられる。しかし、賃貸物件を借りる側、つまり借主(ユーザー)向けのシステムは少なく、そうした恩恵を直接的に受けることは現状困難であり、不動産流通の情報非対称性という点ではむしろ格差が拡大している可能性がある。本研究では借主向けという視点で特徴量を選定した賃貸推定システムを構築し、実際に賃貸物件を探しているユーザーに相場比較の形で提案することで、ユーザの物件選定にどの程度寄与できるかを検証する。

  • 楢原 太郎, 汪 雪婷, 山崎 俊彦
    セッションID: 2P6-GS-13-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    深層学習を用いた間取り認識に住み心地に関連した項目を抽出するには主観評価に基づいたデータ導入が必須である。本研究ではクラウドソーシングを用いて不動産の間取り画像の印象や機能性に関する項目(例えば今風か、プライバシーは高いかなど)に基づく魅力度データセットを作成、その結果について考察を行った。これまで著者らが報告した予備実験では設問数6項目、間取り図40枚に対し被験者10名が対象だったが、今回は設問数9、間取り図1000枚、被験者3128名で大規模なデータセットを構築した。被験者は性別及び世代別に募り、家族構成を含む様々な属性と主観評価結果との関係性を考察した。その結果、被験者が魅力的だと感じる間取り図は世代等の属性の違いによって異なり、各グループの選択した間取りに見られる項目別の評価値の違いからその嗜好に特定の傾向がある事が示せた。また、各間取りの魅力度の項目別結果と各部屋の繋がり方を反映したグラフ構造との間に特定の傾向が見られる事も分かった。本研究は今後、建築デザインの世界で経験的に言われてきた重要項目をデータサイエンス的に明らかにしていく上での一歩と考えている。

  • 渡邊 千紘, 亀岡 弘和
    セッションID: 2Q1-GS-10-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    複数の話者による混合音声信号のスペクトログラムから,各時間周波数点における主要な話者ラベルを推定する音源分離の問題において,近年深層クラスタリング法と呼ばれる手法の有効性が示されている.深層クラスタリング法は,まずニューラルネットを用いて各時間周波数点の低次元埋め込み表現を学習し,得られた埋め込みベクトルのクラスタリングにより音源分離を行う方法であり,任意の話者数の音声信号に対し高精度な分離が可能である一方,埋め込み表現の意味解釈が困難であり,未知音源や学習データが限定的な音源に対応可能なより汎化性能の高いモデルを構築するための見通しが立てづらいという課題が存在する.そこで,本研究では,高精度かつ解釈可能な音源分離手法を構築することを目的として,新たなニューラルネットワークモデルを提案する.提案モデルにおける各時間周波数点の音源分離のメカニズムは,非負の要素を持つスペクトログラムテンプレートの重み付き和として解釈可能であり,さらに学習された各テンプレートは音声信号の調波構造を捉えたものになることが実験的に示された.

  • 幡谷 龍一郎, ズデネク ヤン, 美添 一樹, 中山 英樹
    セッションID: 2Q1-GS-10-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による画像認識モデルの性能向上にはデータ拡張が不可欠だが,効果的なデータ拡張戦略の設計には対象のデータの性質に対する深い知見が必要となる.データからデータ拡張戦略を探索する手法も研究されているが,高い効果を発揮する一方,探索には多くの計算コストを要する.本稿ではデータ拡張に用いられる画像変換や探索操作の勾配を近似し,目的函数を微分可能な分布間の距離とすることで勾配降下法を用いた効率的な探索を可能にしたFaster AutoAugmentを提案する.Faster AutoAugmentは先行研究に対して性能を保ったまま,大幅な高速化を実現した.

  • 藤江 真也, 片山 颯人, 小林 哲則
    セッションID: 2Q1-GS-10-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    音声対話システムが自らの発話を適切なタイミングで開始する手法,およびその評価について報告する.システムに対するユーザの発話は,様々な要因で複数の音声区間として与えられる.音声の途切れをターンテイキングのタイミングとする単純なシステムでは,ユーザの発話を遮るなど不都合が多い.近年の研究では,ユーザの発話終了を適切に判定することでこの問題を解決しようとしているが,ユーザの発話終了タイミングに対する次のシステムの発話開始タイミングの詳細な検討を行っていないものが多い.そこで,我々が従来から提案しているユーザの発話終了を逐次的に推定する枠組を拡張し,システム発話に対する期待度の逐次推定により,システムがいつターンを取るべきかを予測する手法を提案する.また,人同士の対話コーパスを用いて提案手法の評価を行う.

  • 宮西 大樹, 前川 卓也, 川鍋 一晃
    セッションID: 2Q1-GS-10-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、多段階時空間推論による映像質問応答手法を提案する。映像質問応答とは、ある映像とその映像に関する質問が与えられたときに、その質問に対して適切な答えを返す課題である。映像は複数のフレーム画像から構成されるため、これまで画像フレームとテキストの関係を表す時間的構造を考慮した映像質問応答手法が数多く提案され、複数の映像質問応答データセットで良い性能を示してきた。しかし、映像を構成する画像フレームには複数の物体が映ることが多いにもかかわらず、時間と空間の両方の情報を同時に考慮できる高性能な映像質問応答手法はまだ少ない。映像に対して、より複雑かつ正確な推論を行うには、映像の時空間的構造と自然言語で記述された質問を同時に考慮することが不可欠である。そこで、本研究では空間情報を扱う視覚的推論課題で高い性能を示すCompositional Attention Networksを時空間情報を処理できるネットワークへと拡張し、これを映像質問応答に利用する。本手法を、公開されている4つの映像質問応答データセットに適用したところ、従来の手法と比較して全てのデータセットで最も良い性能を示すことがわかった。

  • 中井 康平, 松原 崇, 上原 邦昭
    セッションID: 2Q1-GS-10-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    ニューラルネットワーク(NN)のアーキテクチャ設計を手動で行うには専門的知識と多大な労力を要する.NNのアーキテクチャ設計を自動で行うニューラルアーキテクチャ探索(NAS)の分野の発達により,画像分類タスクにおいて高い性能を発揮するアーキテクチャを短時間で得られるようになってきている.画像分類タスクでは一般的に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が用いられるが,その主要な演算は畳み込みとプーリングである.従来のNAS手法はこれを考慮し,探索空間に畳み込みとプーリングのみを含めている.一方近年,NNのアーキテクチャに関する研究では,従来のCNNに新たに注意機構を挿入することで無用な特徴量を捨て,パラメータ数の増加量を抑えつつより高い性能を発揮している.そこで本研究では,従来のoperation(畳み込みやプーリング)に加えて注意機構が挿入されたCNNの探索手法を提案する.提案手法は勾配法探索を行うDARTSをベースとし,得られたCNNはCIFAR-10及びCIFAR-100を用いた実験において,DARTSで得られたものよりパラメータ数を抑えつつも性能が向上した.

  • COMPAS問題を事例に
    前田 春香
    セッションID: 2Q4-OS-13a-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    本発表の目的は、COMPAS事例を用いて人工知能がいかに差別を「行う」ことができるか、その振る舞いから説明することである。 近年、人工知能技術の普及とともに人工知能による差別が話題になっている。倫理指針においても反差別は多く言及されるにもかかわらず、何が差別なのかはこれまで指摘されてこなかった。差別がなぜ悪なのかを探求する差別の規範理論においては、被差別者に発生する経済的・心理的害、または差別者の態度などに着目して差別の悪質さを指摘できる。 本発表では、再犯リスク予測COMPASの事例を用いる。COMPASは人種データを入力していなかったにもかかわらず、判断に人種差があるため議論になった。一度に特定の属性に対し大規模に差別を行うことができるため、このように害が観察できてからでは手遅れになりうる。 そこで差別者の行為に着目するHellman説が、人工知能による差別の悪質さをも指摘しうることを示す。この作業によって、差別的行為を「ふるまい」の問題として独立させ、人工知能の差別の悪質さをその「ふるまい」から指摘することが可能になると同時に、より早い段階での差別性の指摘が可能になる。

  • 事例研究を通じた問題構造の比較分析
    石川 開, 水上 拓哉, 戸田 聡一郎, 猪口 智広, 前田 春香, 福住 伸一, 佐倉 統
    セッションID: 2Q4-OS-13a-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    新たなAIの社会実装によって生じる様々なリスクを事前に把握する事は大変重要である。しかし、個々のAIプロダクトが実際に社会にどのような倫理的・社会的問題を生じうるかといった可能性を、事前に網羅的かつ精緻に想像するのは大変困難であり、想像する個々人の技術的・倫理的・社会的見識によって結論が大きく左右されてしまう。このため、このような特定のAIプロダクトに関する倫理的・社会的問題の検討を支援する、効果的で再現性の高い方法が求められている。我々はそのような方法の一つとして、既に議論が蓄積されているAIの事例や、これまでの歴史の中で議論が積み重ねられてきた倫理的・社会的問題の事例との類推に基づくアプローチを模索する。本発表ではその予備検討として(1)医療実践におけるAI、(2)ソーシャルなAI、(3)犯罪予測とAI、(4)対戦ゲームとAI、の4領域におけるAIの倫理的・社会的問題の事例研究を紹介し、領域間の事例研究の比較から、問題間のアナロジーの存在や類型化の可能性を議論する。

  • 谷川 由紀子, 原田 悦子, 福住 伸一
    セッションID: 2Q4-OS-13a-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    新しい技術やそれを用いた製品・サービスは,利用者に使ってもらうことで初めて社会に受け入れられたこととなる.このような技術の社会受容性を高めるには,技術そのものの向上だけでなく,利用者に使いやすく提供すること,また利用者が自分で使えるようにするための支援のデザインも重要になる.それでは,使いやすさの感じ方,また求める支援のあり方といった技術の受け止め方は,誰でも同じなのだろうか?今回,利用者が経験してきた「教育」との関係に着目して考察する. 工学系と人文系の学生を対象とする質問紙調査を行い,情報システムを上手く使えない場合の感じ方や行動,使いにくさに対する認識,さらにICT利用スキルやモノづくりへの意識を分析した.また各学部の1年生と3年生以上の比較を行った.その結果,使えない場面で求める支援の傾向に違いはないが,使いにくさの評価基準,使いやすくするための改善項目の優先順位づけに違いが確認され,違いの発生に工学教育が影響する可能性が示唆された. 以上から,技術の社会受容性の向上を図るには,「提供側」と「想定利用者」との教育面でのバックグラウンドのズレを考慮する必要があることが示された.

  • 飯塚 重善
    セッションID: 2Q5-OS-13b-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    人間と人工知能が共生するであろう近未来の社会をどのようにデザインしていく必要があるのかについて,まず「親和性」に着目して,複数のSF映画からいくつかのシーンを抽出するとともに,既往の研究等を基にした予備的な検討をおこなっている. 現在,人工知能にかけられている期待は非常に大きいが,その一方で警戒感も大きい. その一方で,人工知能は人間にとって「パートナー」としての役割を求められる. 鉄腕アトムやHAL9000のような人間と対等に話せるパートナーがいてほしいという,我々の純粋な夢が,今日のロボットや人工知能研究の礎になっているという見方がある. 真に「親和性」の高い人工知能は,自律的で,かつ感情・意思を有するべきで,決して人間の奴隷であってはいけない. もちろん,人工知能もまた,他のシステム等と同様に人間中心であるべきであろう.ただその一方で,人間の側の考え方・捉え方として,単なる人工知能システムから人間共生システムへのパラダイムシフトが必要となるのかもしれない.

  • 大澤 博隆, 宮本 道人, 長谷 敏司, 西條 玲奈, 福地 健太郎, 三宅 陽一郎
    セッションID: 2Q5-OS-13b-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    人工知能の様々な可能性とリスクが、現在現実の応用のための迅速なAI開発の緊急課題として議論されている。メディアや研究者でさえ、未来のビジョンを示すものとしてSFを引き合いに出すことがある。しかし、エンターテイメントに対する技術的不正確さのため、SFにおけるこれらのAIを将来の真剣な議論に持ち込むことは必ずしも適切ではない。一方で、SFのテーマの中には、人々に新たなビジョンを思い起こさせるような積極的な役割を果たすものもある。AI分野におけるSFの混合した影響を解明するために、著者らはSF評論家や作家とともにSFにおけるAIの記述方法を分析した。まず、SFにおける115のAIストーリーを、知能の多様性、社会的側面、および人間の知能の拡張という三つの方針の基準に基づいて選択した。AI特性を表す11つの要素をクラスタ分析と主成分分析を用いて分析した。その結果、SFには4つの特徴的なAIクラスタが存在することが示唆された。それらは人間、機械、ヘルパー、インフラストラクチャであり、2次元空間にマッピングされている。それらは知能と人間性である。

  • 福住 伸一, 佐倉 統, 神野 真理子, 稲垣 香澄, 澤 虹之介, 野田 夏子, 中川 裕志
    セッションID: 2Q5-OS-13b-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    ロボットやAI技術の社会受容性を検討するために、これらのキーワードに対して、人がその関わり方やどのようなイメージを持っているかについて、経験や現在の立場との関係という観点から調査分析した。対象は、IT関連企業従業員268名と学生196名である。 IT関連企業従業員では、技術開発や製品開発に関わっている人が多い中、AIに関わる仕事をしていない、自分はAIに詳しくない、と回答している人が77%と多いが、ロボットのイメージはあくまでもツールだと回答している人が多かった。一方学生は工学系では詳しいかどうかについては企業従業員と同じぐらいであるが、ロボットのイメージが「ツール」という意見が減り、「友達」としているのが多いことがわかった。これらの結果はAIアシスタントのようなものを日常使っているかどうかによっても影響を受ける。 これらのことから、AIに詳しいと認識する率については、企業の従業員であろうと学生であろうとほぼ同率であるが、ロボットやAIに対するイメージは世代や職種によって多様である。従って、製品投入の際にはターゲットユーザグループがどのような背景を有しているかを見極める必要がある。

  • 誤動作対応のケース分析
    小川 隆一, 島 成佳
    セッションID: 2Q5-OS-13b-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    筆者らは、機械学習を中心とするAIシステムの信頼構築に向けた課題分析を続け、特にベンダー側が製品の性能あるいは機能としてどこまでを実装することが求められるか、を検討している。この中で、AIの分析性能に加え、AI自身の分析結果が間違っている場合のリカバリー機能が信頼の重要な要素であるとの仮説をたて、ケーススタディを行うこととした。本稿では、自律型ドローンを含むロボット系のAIシステムをケースとし、AIの間違いや、それに基づくAIシステムの誤作動のタイプとリカバリー機能をどのように評価すべきかを検討する。

  • 自動セファログラム解析の精度向上
    西本 聡
    セッションID: 2Q6-GS-10-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    目的:顔面規格X線写真(セファログラム)解析は頭蓋顎顔面の形態を評価する上で価値の高い手法である。解析のためには規格撮影されたエックス線写真をトレースし、解剖学的特徴点をプロットすることが行われる。この作業は、経験と時間を要する。自動化されたセファログラム解析システムが開発されれば、臨床家にとってとても便利なものとなる。データサイエンスにおいて機械学習は大いに発展中の分野で、その中でもディープラーニングは急速に浸透してきた。ディープラーニングによる回帰分析によってセファログラム上の解剖学的特徴点を自動予想するシステムを開発した。 方法:ISBI2015のコンペティションで用いられた画像とそれぞれ19点の特徴点座標を用いた。予想精度を向上させるため、多段階的に畳み込みニューラルネットワークを学習させ、特徴点を絞り込んだ。 結果と考察:多段階的に絞り込むことで、単一ステージモデルと比較して高い精度の予測ができた。また、過去に報告されているベンチマークに比べ高い精度で予測された。計算量に制限のある環境においては多段階的に絞り込んでゆく手法は一つの解決法になる可能性が示唆された。

  • 井上 謙一
    セッションID: 2Q6-GS-10-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
    会議録・要旨集 フリー

    [背景]BRCA1/2遺伝子変異を持つ乳癌のハイリスクグループに対し、乳癌検診として乳房MRIによるスクリーニングが勧められている一方、毎年造影MRIを受けることによるデメリットも少なくない。そこで単純MRIから造影剤を用いずに造影MRI画像を生成するモデルを構築した。 [方法と対象]当院で撮影された原発性乳癌と診断された症例の造影MRI画像の内、脂肪抑制T1強調画像(T1)、脂肪抑制T2画像(T2)、拡散強調画像(DWI)、造影早期相画像(早期相)の切断面が 4種類全て一致している画像を用いた。U-Netを用いて、T1、T2、DWIから早期相を推定するよう学習させた。 [結果]MSEを264まで減少させ得た。その時のピーク信号対雑音比は55.1dBと適切に画像が生成されていた。 [考察]造影MRI画像を造影剤を用いずに生成することができれば、将来の MRIによるスクリーニングもより安全に効率よく施行され得る。より精度を向上させ実臨床への応用を目指す。

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