植物環境工学
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20 巻, 2 号
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論文
  • 前田 智雄, 前川 健二郎, 戸田 雅美, 大島 千周, 角田 英男, 鈴木 卓, 大澤 勝次
    2008 年 20 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    種々の光源の組合せによる補光がブロッコリースプラウトの生育およびポリフェノール含量に及ぼす影響を効率的に検討することを目的として,商業生産システムを模した実験装置を設計,製造した.ブロッコリースプラウトの胚軸長,生重,乾物重および総ポリフェノール含量に及ぼす種々の波長の蛍光管の組合せによる補光の影響を検討した結果,48時間の補光後に,1)白色蛍光管とブラックライト(UV-A);2)赤色蛍光管とブラックライトの組合せにおいて総ポリフェノール含量が暗黒や商業生産レベルの光強度に対して有意に高まった.一方,胚軸長はやや短くなったが乾物重には有意差は認められなかった.このことから,ブラックライトを組み合わせて補光を行うことで,抗酸化能を高めたスプラウトを収量や外観品質を損なうことなく生産できるものと思われる.
  • 平間 淳司, 松岡 大輔, 松井 良雄, 西堀 耕三
    2008 年 20 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    本研究ではマイタケ子実体の生体電位信号をモニタリングし,信号中の概周期的な生体リズム成分より,光照射のタイミングを制御する方法を考案した.すなわち,子実体をバイオセンサとして用いることで,生体電位の自発性リズム変動に連動させた光照射を用いる新たな栽培技術を提案した.約1時間分析区間長毎の生体電位の上昇や下降の変動特性に応じて,光源装置の点灯あるいは消灯タイミングを試行的に設定した.その結果,12L12D(12時間Light,12時間Dark)の間欠照射あるいは連続照射に比べて,生体電位のリズム変動に連動させた光源制御の方が菌傘の展開が発達したり,新鮮重が増加する傾向となり,茸工場内での生産性向上が見込まれる結果を得た.このように,本研究では特定の個体をバイオセンサとして生体電位信号のリズム変動を計測して,その信号に連動させて茸工場全体の光源を制御するシステムの基盤が構築できたと考えている.
    なお,本研究成果の一部は文部科学省科学研究費(基盤研究(C):課題番号16560420)の助成による.
  • 清水 浩, 馬 稚〓, 田澤 信二
    2008 年 20 巻 2 号 p. 98-101
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    青色光を対象として,LEDと蛍光灯のもとでキクの伸長成長量がどのような影響を受けるのかを調べ,これらの光源を同等と扱ってよいかどうかを検討した.
    その結果,LED区では一日あたりの伸長成長量が15.2 mmであるのに対してLEDでは8.8 mmであり,両者間には有意な差(p<0.01)が認められた.この原因を探るため,545 nmの緑色LEDを用いて青色蛍光灯のスペクトルとよく似たスペクトルの光環境を創り,その光質のもとでキクを栽培した場合と青色LEDのみで栽培した場合とで伸長成長量を比較したところ,545 nmの緑色光を付加した実験区では青色LED単独よりも伸長成長量が抑制され,高度に有意な差が認められた.これらのことより,青色蛍光灯および青色LEDの環境下で行なった実験結果は同等zではないことが明らかとなった.
短報
  • 太田 勝巳, 劉 興遠, 宗藤 慎一, 細木 高志
    2008 年 20 巻 2 号 p. 102-105
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    パクロブトラゾールおよびエセフォンによるサルビア・コッキネア ‘コーラルニンフ’ の草丈および開花に及ぼす影響を評価するために発蕾直前に散布処理した.薬剤散布3週間後に,パクロブトラゾールおよびエセフォンの処理によって,茎長はパクロブトラゾール区およびエセフォン区において対照区に比べて小さくなる傾向にあった.同様に,第7葉における葉長および葉色はそれぞれ最も大きくなった.また,葉幅はパクロブトラゾール区では,対照区に比べて大きくなった.パクロブトラゾールおよびエセフォンの処理により,1番花開花日は,遅延し,花穂長も抑制された.主枝の花数および花数/花穂長は500 mg l -1および1000 mg l -1エセフォン区で最も多くなった.
    以上の結果より,発蕾直前に茎葉散布した500 mg l -1および1000 mg l -1エセフォン区において,サルビアの茎長の抑制および花数増加が可能であった.
  • 山名 昌男, 原島 崇好, 山口 剛史, 栗山 昭
    2008 年 20 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    カイワレの成長に及ぼす静磁場の印加と音波による加振の効果を,形態変化と無機イオンの含有量の変化から調べた.
    静磁場を印加すると,茎丈の伸長,生重量,水分含有量いずれでも増加が見られたが,乾燥重量には有意な変化が見られなかった.一方,無機イオン含有量では,特にK+の増加が著しいことから,K+による細胞への水の吸収が伸長を促進していると考えられる.つまり,磁場は,カイワレの根からのK+や水分の吸収を増進させていることがわかる.
    音波の印加では,生重量,乾燥重量,水分含有量はカイワレ全体ではなく,葉では増加,茎では減少と不均一な効果を示した.しかし,茎と葉における乾燥重量の総和では,乾燥重量に有意な増減は見られなかった.無機イオンの含有量では,Ca2+, Mg2+の含有量は茎と葉で減少しているが,一方,K+の含有量は増加し成長増進をもたらしていることがわかる.
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