植物環境工学
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35 巻, 1 号
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論文
  • 山本 奈菜, 樫本 裕輔, 小川 敦史
    2023 年 35 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
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    本研究では,カリウム摂取量が制限されている腎臓病透析患者のために,根菜であるカブとハツカダイコンにおいて胚軸の収量を確保しつつカリウム含有率を低下させる栽培方法の確立を目的とした.水耕により「栽培期間を通して培養液中のカリウム濃度を減らして栽培した条件」と,「栽培途中から培養液のカリウム濃度を減らして栽培した条件」について検討した.カブにおいて胚軸の収量を確保しつつ最もカリウム含有率が低下したのは,全栽培期間のうち収穫前30日間培養液中のカリウム濃度を対照区の1/10に調整した処理区(カリウム濃度0.3 mM)で,カリウム含有率は対照区と比較して胚軸で70.1 %,茎葉部で94.8 %低下した.ハツカダイコンにおいて胚軸収量を確保しつつ最もカリウム含有率が低下したのは,全栽培期間のうち収穫前15日間培養液中のカリウム濃度を0に調整した処理区で,カリウム含有率は対照区と比較して胚軸で88.0 %,茎葉部で92.2 %低下した.さらに,全栽培期間の収穫前約30 %の期間,カブではカリウム濃度を対照区の1/10に調整した培養液で,ハツカダイコンではカリウムを含まない培養液で栽培することで,胚軸の収量を確保しつつカリウム含有率を低下させることが可能であることが明らかになった.

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