SIP成果報告書
Online ISSN : 2758-4089
2021 巻, 1 号
SIP第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」中間成果報告書(2018~2020)
選択された号の論文の47件中1~47を表示しています
Introduction
1. SIP 第2期自動運転(システムとサービスの拡張)概要
  • 杉山 幸太郎, 古賀 康之
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は,総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して,府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより,科学技術イノベーションを実現するための国家プロジェクトである.自動運転については,SIPとして取り組むべき課題の一つとされ,交通事故の低減,交通渋滞の削減,過疎地等でのモビリティの確保,ドライバー不足の解消等を目的として,全ての国民が安全・安心に移動できる社会の実現を目指して取り組んでいる.SIP第2期(2018~22年度)は,「自動運転(システムとサービスの拡張)」として,SIP第1期「自動走行システム」(2014~18年度)の成果も踏まえ,Society5.0の実現への貢献も視野に,自動運転の実用化の領域を拡大するため,インフラ協調型自動運転システムの実現に向けた協調領域の研究開発,実証実験等に取り組んでいる.

2. 交通環境情報の構築と活用
(1)交通環境情報の生成に係る技術開発
  • 南方 真人
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転システムを搭載した車両が,多種多用な交通参加者と混在しながら様々な交通環境の下で安全かつ円滑な運行を実現するためには,路側での交通環境情報の収集や生成,そしてそれらを適時車両側に配信して活用できるインフラ協調の仕組みを構築することが必要である.さらに車両側から収集する民間プローブ情報等から新たな交通環境情報を生成配信し,車両側で再利用するといった,Society5.0におけるCyber physical systemを具現化したデータ循環の仕組みの構築も将来に向けて重要である.SIP自動運転では,協調領域におけるこの交通環境情報,民間プローブ情報の利活用の仕組み構築に関わる研究開発から実用化にむけた取組を推進している.

  • 小林 雅文, 畑﨑 由季子, 高柳 雄一, 馬渕 透, 川邉 俊一
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転のための信号情報の要件として,信頼性向上及び可用性向上の観点から,①信号情報と実際の灯色の誤差を±300m秒以下とすること②信号情報の異常を検出し,異常発生を車両に通知すること③様々な信号制御において信号情報提供を実現することの3項目を抽出した.まずはV2I方式を対象とし,信号情報の精度を検証するとともに路側機のフェールセーフ仕様を取りまとめ,試作機による機能検証を実施した.可用性向上においては,信号制御の運用見直し案を整理するとともに,テストコース等において特殊な信号制御における信号情報の検証実験を実施し,信号情報提供が困難である緊急車両優先(FAST)制御,歩行者押しボタン制御を対象に信号情報提供機能の拡張を実施した.これらの検証結果より,V2Iを用いた信号情報提供インフラ技術仕様を決定した.また,V2I以外の信号情報の提供手法としてモバイル回線を利用するV2N方式について検討に着手した.2021年度以降にV2N方式の検証実験が計画されており,実験結果等を踏まえ,適切な提供方式の棲み分けを整理する計画である.

  • 市川 博一, 竹之内 篤, 鯉渕 正裕
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    自律走行の自動運転車は前方の限られた範囲の情報に基づき走行しており,前方で事故等があり渋滞が生じている場合など急減速が必要となったり,交通量が多い場合には円滑な車線変更ができない可能性もある.この時,前方の交通状況(先読み情報)を車線別に予め把握することができれば,事前に予備減速し,余裕をもって車線変更するなど,より安全・円滑な走行が可能となる.現在,コネクティッドカーの普及に伴い,このような交通状況に関する先読み情報を生成できる環境が整いつつあるが,車線別の交通状態を直接的に把握できるデータ形式とはなって ない.本取組みは,自動運転車の安全・円滑な走行に有用と考えられる車線別の道路交通情報に係る技術開発を行うものであり,現状得られるプローブ情報からどの程度の車線レベルの情報生成ができるかを検証し,今後の可能性を明らかにするところから取組みを始めているものである.

  • 中尾 和浩
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    本研究開発では,「ドライブレコーダを活用した道路変化点抽出技術」と「車両プローブ情報を活用した道路変化点抽出技術」をそれぞれ検討したうえで,「速やかな運用開始を前提とした道路変化点抽出技術」について検討した結果をまとめた.「ドライブレコーダを活用した道路変化点抽出技術」では,道路が変化している既知の区間を対象に,道路変化後のカメラ画像データを取得した.取得したカメラ画像データから地物を認識する既存技術を利用して道路変化後の地物を整理し,道路変化前の地物と比較することで,道路変化の有無を把握可能か確認,評価した.「車両プローブ情報を活用した道路変化点抽出技術」では,高精度3次元地図の更新に必要と考えられるプローブデータの要件を机上検討し,テストコースでその妥当性を検証した.検証の結果,理想的な環境においては,車両から取得するプローブデータで,道路変化に伴う運転操作や車両の挙動を把握できることが確認できた.この結果を踏まえ,実交通での車両プローブ情報の提供についてOEMと調整し,提供された実交通での車両プローブから道路変化点を把握できるかを確認した.「速やかな運用開始を前提とした道路変化点抽出技術」では,①研究開発後に速やかに運用開始を前提としたスキームで実証実験を行い,機器スペック等の要件を整理した.次に最新の動向等を調査し,②「一般道/Global」での運用開始時に必要な要件を整理した.①の段階で整理した要件と②の段階で整理した要件のギャップ分析を行い,共通化に向けた手順をまとめた.

(2)交通環境情報の配信に係る技術開発
  • 小川 伯文
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    協調型自動運転のコンセプトは以前より様々な企業,研究機関等により検討されてきた.また,この機能を実現するための通信方式についても各地域で実証実験や標準化活動を通じて検討が行われている.日本においては,既に実用化され安全運転支援に活用されているITS無線を自動運転へ拡張することが考えられるところ,その適用可否又は将来のあるべき通信方式についての議論は個別には行われていたと思われるが,日本としてまとまった議論となっていなかった.SIPでは産学官が一堂に会して自動運転の実現に向け取り組む体制ができていることから,この枠組みを活用して議論することとした.2019年度に協調型自動運転通信方式検討TF(以下「TF」という.)を立ち上げ,3年計画で将来の通信方式の検討をスタートさせた.TFで,検討のベースとなる通信を用いるユースケースを定義し,そのうえで通信要件の明確化と要件を満足する通信方式の検討を行っている.ゴールとしては,協調型自動運転に必要な通信方式の提案とそれが必要となる時期を明記したロードマップの策定を目標とする.

  • 油川 雄司, 大久保 義行, 高山 浩一, 浜口 雅春
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    高度な自動運転を実現するための技術は多岐に渡り存在し,その一つとして,距離が離れている,遮蔽物が存在する等により自車のカメラやレーダ等では認識できない範囲の物標を自動運転車両がV2X通信で得られる情報により認識する技術がある.自動運転車両に搭載されるセンサだけでは安全が確認できるまで停止又は徐行すると想定され交通流への影響が懸念される中,この技術により交通流への影響を軽減することが期待できる.

    本研究開発は,高度な自動運転の実現に資するため,情報源である多数の路側インフラ等から得られる車両や歩行者等の動的情報の効率的な収集,これら情報の統合等の処理による動的情報の効率的な生成,処理後の動的情報の効率的な配信を行うための要素技術の研究開発を行い,複数情報源から情報を収集するための通信方式・共通インタフェース,収集した情報を統合するための指標案,自動運転車両に配信するための情報配信手法の策定を行う.

3. 自動運転の安全性の確保
(1)東京臨海部実証実験
  • 沼田 泰, 樋山 智, 横田 康秀, 愛甲 英史, 南方 真人
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 50-53
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    東京臨海部実証実験は,政府の「未来投資戦略」における「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え,最先端の自動走行技術を国内外に発信するショーケース,レガシーとすべく,羽田空港や臨海地域等において最先端の実証を行うとともに,制度整備等を行う」との方針を実行するための取り組みである.東京臨海部の3地区において,それぞれ異なる目的で路車間の通信インフラを整備し,有効性の実証と課題の抽出を行った.羽田地区では磁気マーカーの活用や正着制御を含むバスの自動運転実証,臨海副都心地区ではインフラの集中的な整備による交通信号情報提供の実証,2地区をつなぐ首都高速道路では,合流支援,ETC通過支援の実証を行った.

  • 津田 喜秋, 永倉 亘, 宮下 浩一, 並木 裕之
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 54-62
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    臨海副都心地域における実証実験(1),(2),(3) では,実験エリア内33交差点に設置されたITS無線路側機から提供される信号情報を活用し,インフラ協調型自動運転による一般道路の信号交差点を安全かつ円滑に通行できることを,延べ29,728回の交差点通過(内,信号情報を活用した自動運転:約18%)により検証した.逆光や順光,雨天,前走車やカーブによる隠蔽・遮蔽,夜間及び背景同化等車載カメラでは信号灯色を認識できない道路交通環境下においては,現在の信号灯色情報を把握・活用することで交差点での自動運転が可能であることを確認した.また,交差点通過判断に差異が生じやすいジレンマゾーンでは,信号残秒数情報を活用することで,交差点手前で急減速・急加速を生じることなく安全に停止,または,安全に通過できることを確認した.一般道路における高度な自動運転の実現に向けては,自動運転導入エリアの設定や信号情報を提供するITS無線路側機の面的整備を進めることで,路車協調による安全で円滑な自動運転の導入・拡大が可能と考えられる.

  • 山田 康右, 内山 直浩, 祢津 伸一
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    羽田空港地域における実証実験では,磁気マーカー・バス専用レーン・信号情報・PTPS等の自動運転支援インフラを活用することで,自動運転技術を搭載したバスが,羽田空港周辺の公道上の周回バス路線における定時運行およびバス停への高精度な正着制御を実現できることを検証した.周回バス路線では,計322周の自動走行実験を行い,混在交通環境下で自動走行による定時運行が可能であることを確認したほか,一部走行で発生した手動介入の約8割が「路上駐車車両回避」または「左折時における対向車線の停止線への接近」に起因すること,PTPSが速達性・定時性の向上に寄与することを確認した.また,バス専用レーンが自動運転の継続性向上に貢献することを確認した一方,一般車両との錯綜事象も発生し,自動運転車の挙動特性に関する広報・啓発,バス専用レーンのルール遵守を訴求すること等の必要性も明らかになった.バス停では計416回の自動運転正着制御実験を行い,磁気マーカーの活用により標準偏差10mm未満という再現性の高い正着制御を実現できることを確認した.

  • 津田 喜秋, 高橋 由華子, 十河 孝介, 村木 由利香
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    首都高速道路における実証実験(1),(2),(3)では,ETC2.0路側無線装置から提供されるETCゲート通過支援情報・合流支援情報が,インフラ協調型の自動運転やドライバーへの支援情報として有効であることを,延べ365回の空港西入口通過(内,インフラ情報を活用した自動運転:12回,約3%)により検証した.ETCゲート通過支援情報は,ETCゲートの開閉状況を早いタイミングで正確に把握できることを確認した.運用状況の視認タイミングが遅れる料金所やゲート数の多い料金所で特に有効と考えられる.また,合流支援情報は,高速道路本線上流部に設置された路側センサの検知情報に基づき生成される情報である.自動運転車両やドライバーが本線状況を事前把握できる点で有効である.一方,路側センサ通過後の本線車両速度の変化を把握不能であることから,臨界時や渋滞時ではスムーズな合流に支障が生じることを確認した.

  • 渡部 康祐, 寺本 英二, 田村 太壱, 秋本 克哉
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    インパクトアセスメント実証実験では,多数の自動運転車両が一般道を走行する混在交通環境において,一般道への自動運転車両の混入が周辺の一般車両や歩行者に与える影響を評価した.評価にあたっては,複数交差点に設置した定点カメラの映像データ,車載カメラ映像データ,車両挙動データを組み合わせた見える化システムを構築・活用した.右左折時の捌き量は,自動運転車混入による顕著な低下は見られず,一般車両のみと比べて分散が小さくなることを確認した.一方,単路部や交差点手前等での自動運転車両の急減速挙動により,周辺車両とのヒヤリハット事象が散見された.また,横断歩道等において,自動運転によりドライバーと歩行者のアイコンタクトが不十分になることによる影響は確認されず,歩行者に対し安全な自動運転を実現できていることを確認した.周辺の一般車両や歩行者と協調した高度な自動運転実現に向けては,自動運転技術向上や自動運転車両普及に応じ,本実証実験と同様の評価を継続して実施することが望ましいと考えられる.

  • 菅沼 直樹, 米陀 佳祐, 柳瀬 龍, 倉元 昭季, 山下 隆義, 藤吉 弘亘, 目黒 淳一
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 80-87
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    市街地でのレベル4相当の自動運転には,車載されたAIによる高度で自律的な認知・判断機能とともに,それを支援する道路設備,通信設備等のインフラが必要となる.一方,道路設備・通信設備等のインフラを日本全国に設置するには莫大な予算が必要になるため最低限必要とされるインフラや,認知判断技術の検討が必要となる.そこで本事業では,将来の協調領域の議論のため,取得したデータおよび当該データを取得した際の技術を一定程度公開可能な大学等を主体とした自動運転車両の公道実験等を通して,自動運転システムに必須となる認知判断技術とインフラについて研究・調査を実施している.
(2)安全な自動運転社会の実現
  • 保坂 修, 古賀 康之
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 88-90
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転車の実用化および普及展開にあたっては,安全性や信頼性の確保が最重要課題であり,自動運転車両の安全性評価の手法の確立が急務である.また,自動運転車と他の交通参加者とのコミュニケーションについても,間違いなく行われる必要がある.SIP自動運転では,仮想空間における安全性評価環境の構築,コネクテッドカーへのサイバー攻撃に対する持続的かつ効果的な対策,自動運転車の意図の人への適切な伝達方法,自動運転車や自動運転サービスを利用する人々への効果的な教育や啓発手法の確立と普及に取り組んでいる.

  • 井上 秀雄
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転はシステムが複雑化する一方で,無数に存在する走行環境に対して高い安全性の確保が求められている.しかし,現在の自動運転車両の安全性の検証は,実環境走行下での網羅的な実績評価に依存しており,膨大なコスト(人・物・金・時間)を要する.また,自然界で起こる物理現象に対し,カメラ,レーダ,LiDAR等の外界センサは,物理的限界の検証が難しく,システムを構築する上でどこまでやれば安全性を保証できるのかといった課題がある(How safe is safe enough?).このような背景を踏まえ,本研究プロジェクトでは,自動運転の安全性評価に必要となる実現象と一致性の高い「走行環境~空間伝搬~センサ」一連のモデルを特徴に,仮想空間シミュレーションでの評価プラットフォームを構築する.これにより多くの環境条件(シナリオ)で精緻,且つ,効率的な自動運転の安全性評価(Safety assurance)を可能とすることを目的とする.

  • 奥山 謙, 和栗 直英, 韓 欣一
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 98-102
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    (概要)自動走行システムの基盤となる高度な地図情報や地図上にマッピングされる自動車,人,インフラ設備等の情報は,主に外部ネットワークから取得され,車両制御に活用する目的で,車両の制御系/情報系の機器に送られるが,このような状況は従来の自動車にはなかったサイバーセキュリティ問題を引き起こす要因にもなっている.また,UNECE WP29 におけるUNR155/R156 の合意に伴って,法規の観点からもサイバー攻撃への対策が必要となっている.このような問題を解決するために,本研究調査では,出荷後における新たなサイバー攻撃への対策技術として,侵入検知システム(IDS)に着目し,IDS 導入時における評価・テストのベースラインとなるIDS 評価ガイドラインを策定する.また,実際にインシデントが発生した際の初動対応を支援するための仕組みづくりとして,コネクテッドカーの脅威情報の収集・蓄積方法の検討およびハニーポット等による収集実験を実施する.本研究調査は,2022年度までの計画となっており,本年度は,基礎調査や検討を中心に行い,活動成果としてまとめた.
  • 佐藤 稔久, 長谷川 国大, Wu Yanbin, 木原 健, 中野 公彦, 楊 波, 合田 美子, 戸田 真志, 松葉 龍一, 新目 真紀 ...
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 103-107
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)の“走行環境条件の逸脱や自動運転システムの機能低下における適切な運転引継のためのHMI等に関する研究開発”と“運転者や歩行者等が習得すべき知識とその効果的な教育方法に関する研究開発”の取り組みを概説する.前者では,自動運転から手動運転への運転交代前におけるドライバーの周辺監視状態の評価指標の検討や,HMIによるドライバーのシステム理解への効果の検討等に取り組んでいる.後者では,主な研究目的に基づき,(1)個人特性を踏まえた教育方法の提案,(2)動機づけ手法の提案,(3)部分教育を意識したモジュール化可能な完全教育教材の開発の3つの研究テーマを設定し研究を行っている.また,試作した教材を用いて,自動運転に関する一般的な知識を事前に提供することの効果についてドライビングシミュレータを用いた検証を行った.これらの成果をもとに,日独連携として自動運転と教育についてのワークショップを担当した.

  • 大門 樹, 對間 昌宏, Lee Jieun, 古谷 知之
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 108-112
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    交通制約者のモビリティの確保や移動・物流サービスのドライバ不足の改善・コスト低減等の社会的課題の解決に向けて,低速走行の自動運転移動・物流サービス車両の技術開発や中山間地域等での実証実験が実施されている.低速走行の自動運転サービス車両では,従来の手動運転車の場合とは異なり,将来的には運転を常時行うドライバが乗車しないことから,歩行者や他のドライバなどの周囲交通参加者とのコミュニケーションにおいて,安全,安心,交通効率などの課題が存在する.低速走行の自動運転サービス車両と周囲交通参加者の間の安全・安心で円滑なコミュニケーションの実現を目指して,実証実験等で観測されたコミュニケーションの特徴分析,自動運転サービス車両からの意図や状態を交通参加者に伝達するためのコミュニケーション方法(車両挙動や外向けHMI等)の実験的検討を実施している.低速走行の自動運転サービス車両が備えるべきコミュニケーション方法の設計推奨,周囲交通参加者が備えるべき知識などの抽出・提案のための研究開発を進めている.

4. 自動運転のある社会
(1)地域社会における自動運転移動サービス
  • 坂井 康一
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 113-116
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    我が国では,人口減少や超高齢化社会が社会問題となっている.特に中山間地域では高齢化の進行が著しく,人流・物流の確保が喫緊の課題となっている.高齢化が進む中山間地域等での人流・物流を確保するため平成29年より 全国18箇所で道の駅等を拠点とした自動運転による移動サービスの実証実験を実施してきた.本稿では,その実証実験で得られた成果や社会実装に向けた課題と今後の取り組みについて概説する.

  • 加藤 宣幸
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 117-123
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転による移動サービスや物流サービスの事業化に向けて,まずは現時点の技術レベルで一般道における自動運転による移動サービスの導入が可能な地域として,他の交通が少ない地方部を念頭におき,道路の走行空間の確保,運行管理等の社会実装を行う上での課題を解決する.また,全国への横展開に向け,地方部における自動運転による移動サービスの導入ガイドラインの策定,自動運転車が走行する道路空間の基準の整備等を行う.このため地方自治体や関係事業者と連携して,自動運転による移動サービス等を継続的に運営可能なビジネスモデルの構築を念頭においた検証及び当該検証に必要な調査研究等を実施する.地方部の実証実験については,導入する自治体の受容性も踏まえ,社会実装に必要な部分に限って実施する.そのために地方部における自動運転サービスを導入する自治体の財政的な受容性を図りつつ,地域間連携の強化など,社会実装に必要な取組を進める.

  • 渡部 康祐, 寺本 英二, 三田 亮平, 加藤 宣幸
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 124-128
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    「地方部における自動運転サービス事業」において,地域毎の固有の課題や導入目的の違いを超えて,サービスの導入や実装,運用をよりスムーズに行うための運行支援システムを開発した.最初にアーキテクチャモデルを整理し,機能層について早期の必要性や汎用性などに着目して層別を行い,位置管理,安全管理,予約および乗降管理機能を抽出した.抽出した機能を実現するための要件検討および開発を行い,2つの地域で実際に運用・評価し多くの課題を抽出した.これらの結果を踏まえ,地方の自動運転サービスの運行管理者が容易に展開可能なシステムパッケージを開発した.これはクラウドサーバ上に機能を集約し実装することで,新しい地域への展開や保守を容易にするのに加え,車載機器を統合化して導入時や運用時のコストを抑えるよう配慮している.開発したシステムパッケージをこれまでに3つの地域の自動運転サービスに適用し有効性を確認した.今後はシステムパッケージを全国の自動運転やモビリティサービスに展開する予定である.

(2)自動運転の社会的受容性
  • 荒木 雄一, 古賀 康之
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 129-131
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転車や自動運転技術を活用した物流・移動サービスの普及を進めていくためには,技術開発,制度整備に加え,社会的受容性を醸成していくことが重要である.SIP自動運転の社会的受容性の醸成活動では,自動運転に関する正しい情報の発信と自動運転の効果の定量化を中心に取り組むとともに,実証実験と連携させつつ,本活動をより効果的に進めるために長期的な視点で幅広いターゲットに向けた活動を行っている.

  • 宮木 由貴子
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 132-138
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転技術の社会実装においては,技術開発と制度整備に加え,社会的受容性の醸成が不可欠である.消費者の正しい理解と柔軟で適切な対応が,技術の早期かつ有効な活用を促進するとともに,新しい道路交通システムの安全性を担保する.筆者は関係省庁と連携しつつ,数年にわたって自動運転に関する消費者意識調査を受託・実施し,その変化をフォローしながら,いかなる領域にどのような情報をどのように提供することが,効果的な社会的受容性の醸成につながるかを模索してきた.本稿では,これまでのアンケート調査の結果の一部と全国各地での定性情報収集の結果をもとに,①消費者における自動運転に対する意識の停滞,②運転支援技術の利用者における効果体感の低さ, ③運転支援技術の利用者における機能理解の不足,④高齢者を中心とするモビリティニーズの高さと技術期待への不連携,④「コスト」「固有性・技術限界」面での低受容度について考察した上で,社会的受容性醸成におけるアクション評価チェックリストを提示し,共創体制の重要性を指摘する.

  • 高橋 政代, 青木 宏文, 伊藤 誠
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 139-144
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    (概要)本事業は,視野障害者の運転に対して支援システム利用による安全性確保を担保するための方法論を確立し,それを周知啓発することを目標とした.まず,医療機関において,ドライビングシミュレーター(DS)を用いたデータベースを構築し,視野障害特有の事故要因を明確化し,次に事故リスクに対して自動ブレーキや音声支援をはじめとする運転支援システムの支援条件を検討した.それらの結果を用いて,運転支援システムの有用性・有効性について,視野障害を例として社会や関係各所に広く情報発信し,高度運転支援システムの普及と安全意識を向上することを行なった.特に,簡易型DSの結果をSelf Organizing Map(SOM)解析により,視野障害のパターンと起こしやすい事故の場面を明らかにすることができた.また,簡易型および高精度D Sを用いて視野障害者においても,高感度のセンサーと自動ブレーキ,あるいは状況ではなく指示を音声により知らせることにより事故を軽減させることができることを示した.一方で,事故を完全に防ぐことのできない自動ブレーキではかえって事故が増える可能性も見ることができた.さらに簡易型DSの結果を用いて初めての運転外来を2つの眼科施設で開始し,社会への発信を開始した.

    以上のように現在の視野障害者の運転という課題を発掘し,それを解決する糸口を提示した.視野障害者の運転に対する当事者及び眼科医の対応の啓発が必要であり,さらにこれらの結果をもって一般社会,産業界,省庁に向け全方向への働きかけが重要である.技術的な解決だけでなく,車の表示やルールなどソフト面も加味して課題解決につなげたい.

  • 須田 義大, 三好 博昭
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 145-151
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転の社会経済インパクトの評価は,自動運転に対する社会的受容性の醸成,企業経営や政府の政策形成への活用という点で極めて重要である.本稿は,この認識の下,2018年から2021年にかけて実施した「自動運転による交通事故低減等へのインパクトに関する研究」の各種シミュレーション分析について,その手法の概要を紹介することを目的にしている.本稿では,まず,社会経済インパクト評価の基礎となる自動運転車の「普及シミュレーション」の2つのモデル(動学モデルと静学モデル)を紹介した後,この普及シミュレーション結果を用いて実施した「道路交通に与える影響分析」,「交通サービス分野への影響分析」,「産業・社会分野への影響分析」の概要を紹介する.

  • 大田 浩之, 内田 信行, 安達 章人, 北島 創
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 152-158
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    自動運転車及び運転支援車の円滑な導入や利用を促進するためには,社会的受容性を醸成することが必要である.本施策では,交通参加者が各々に,知覚・認知,判断及び操作を行うマルチエージェント型のシミュレーション(SIP 第1期「自動走行システム」施策(1) にて開発)を用い,選定したモデル都市の交通環境を再現し,その中にドライバの脇見などの事故発生要因を実装することにより現実の事故発生状況を再現した.また,別施策「自動運転による交通事故低減等へのインパクトに関する研究」より提供される2015年度から2050年度まで5年おきの自動運転(運転支援)システムの普及シナリオを用いて交通事故削減効果の推計を行った.自動運転(運転支援)システムの普及シナリオは車両区分ごとに異なるため,車両区分を細分化し,乗用車,乗合,貨物などの区分ごとに自動運転(運転支援)システムの普及率を設定した.全国規模の交通事故削減効果は,モデル都市を対象としたシミュレーションから算出される交通事故削減割合を用いて交通事故統計データより推計した.

5. Society 5.0実現に向けたデータ連携・活用
(1)データ連携の促進
  • 松本 光太郎, 古賀 康之
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 159-160
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    SIP自動運転では,自動運転のための高精度3次元地図の生成・配信や,その地図に紐づく交通環境情報の生成・配信を通し,ダイナミックマップの構築に取り組んでいる.これらの地理系データは自動運転や高度運転支援システムにとって有効であるばかりでなく,MaaSや災害発生時の避難支援,人流・物流のマネジメントなどにも活用が期待されている.分野間のデータ連携・データ活用が不可欠となるSociety 5.0の実現に向け,SIP自動運転では,自動運転等に利用する交通環境情報の生成・配信に加え,データビジネス市場の創出を目指し,地理系データの流通を促進する交通環境情報ポータルの構築を進めている.

  • 礒 尚樹
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 161-167
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    自動運転の実現に向けて整備される高精度地図データや道路交通,車両プローブ等の収集データは,交通環境情報として自動車産業以外にも様々な産業での活用が期待できるとし,これらの情報がより安全に使いやすい形で流通できるための仕組みづくりが重要と考えられる.この仕組みを実現するため,モビリティ分野のデータを集約し他の分野との連携を行う交通環境情報ポータルサイト「MD communet™」を構築し,一般公開した.MD communet™の持続的な運用を目指し,会員企業の獲得や各種プロモーションによる認知度の向上,オフライン/オンラインでのマッチングの場づくり等の普及促進活動を進めている.さらに,本仕組みを社会実装する上で重要な鍵となる交通環境情報を,他の分野の情報とも組み合わせて有効利用するサービス事例づくりとしての実証を進めている.

  • 林 典之
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 168-171
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    交通環境情報を活用し,都市部における交通に関する課題を解決するユースケースを創出する観点から,多くの観光資源を擁する世界的な観光都市である京都市が抱える観光や交通等に関する社会課題を解決するためのアプリケーションやアイデアを募るコンテスト(「観光・交通に関する課題解決のためのアプリコンテスト(KYOTO楽Mobiコンテスト)」)を実施した.コンテストの実施にあたっては,京都市交通局をはじめとする交通・物流・観光にかかわる事業者の協力を得て,バスや鉄道等の公共交通機関の駅・停留所・路線・ダイヤ・運賃データや,物流分野における手荷物一時預り・配送サービスや店舗データ,観光分野における施設・スポット情報,過去の混雑統計データや将来の混雑予想,地図API等を整備・提供した.コンテストの実施を通じて,交通環境情報ポータルサイトの認知度向上を図るとともに,様々な関係者との協議・調整によりポータルサイトに掲載するデータの収集・活用を実現した.

  • 清水 新太郎, 目黒 浩一郎, 外山 友里絵, 愛甲 聡美, 田中 清一
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 172-175
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    モビリティ関連データは様々な用途での活用が期待されているが,データの取り扱いやステークホルダー間でのデータ連携に課題があり,ステークホルダーがデータ利活用に参画しやすくするための環境を整備する必要がある.本調査研究では,まずデータ利活用促進に向けた課題の調査・分析を行い,その結果を踏まえてデータ連携・利活用に向けたルール整備の在り方を検討した.分析の結果から,データ連携を加速させるための推進手順として,官データから利活用を始め,徐々に民を巻き込み本格的な官民データ連携を目指すことが有効である可能性が示唆された.また,分析の結果抽出したデータを取り扱う際のリスクに対し,データの取り扱い方法,および業界で取り組むべき事項の観点から対応策を検討した.検討結果は「モビリティ分野におけるデータ取り扱いに関するガイドライン(」以下「データ取り扱いガイドライン」)および「モビリティ分野における官民データ連携提案書(」以下「官民データ連携提案書」または「提案書」)に取りまとめた.

6. 国際連携の推進
(1)国際連携と国際標準化活動
  • 梅田 学
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 176-178
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    自動運転に関する技術が劇的に進化し,様々な活動が世界各地で行われている中,自動車産業及びその関連企業の国際競争力を維持し続けるためには,自動運転の標準化・基準化活動において我が国がイニシアティブを発揮し,国際的な調和を図っていくことが重要となる.

    SIP第2期自動運転では国際連携の強化を活動の4本柱の一つとして掲げ,7つの国際連携重点テーマを設定,テーマ毎に国際連携テーマリーダーをアサインするとともに,国際連携活動を推進,調整する国際連携コーディネーターを設置した国際連携体制を構築し,国際連携活動の推進を図っている.現在,ドイツ連邦教育研究省との共同研究や,欧州委員会の研究・イノベーション枠組み下の研究プロジェクトとの連携等の国際連携活動が行われており,SIP-adus workshop等を通じたSIP研究成果の海外への情報発信や,国際連携強化に必要な調査研究を行っている.また,国際標準化活動においては関連する標準化団体と連携し,デジュール標準,デファクト標準の両面での標準化活動を進めている.

  • 田中 孝浩, 池田 晃
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 179-182
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    SIP-adus Workshopは,SIP第1期がスタートした2014年よりSIP自動運転が毎年開催している国際会議である.2020年には第7回の開催を行い,本会議は日本で開催する自動運転分野の国際会議として,世界の主要な自動運転分野の国際会議のひとつとして認知されつつある.SIP-adus Workshopは,SIP自動運転におけるひとつのイベントではなく,研究開発とサービスの実用化双方の領域における多くの自動運転分野の専門家が世界中から集結し,それぞれの専門知識を交換し,国際的ネットワークを充実させるフォーラムとして大きな流れと共に進化を遂げてきた.2021年は第8回となるSIP-adus Workshop 2021を11月に開催し,SIP自動運転の研究開発や実用化の成果等を中心に,さまざまな議論や意見交換を行い,自動運転に関する国際的な情報発信と交流を行う場として,SIP自動運転の国際連携活動の一翼を担う予定にしている.なお,SIP第1期の報告書にはSIP-adus Workshopに関する項がないため本書にてSIP第1期に開催されていたSIP-adus Workshopについても簡単に触れる.

  • 梅田 学
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 183-185
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    SIP第2期自動運転における政府間の国際連携活動として,SIP自動運転に対し日独連携やEUプロジェクトという枠組みでの共同研究のオファーが寄せられ,日独連携,日EU連携としてドイツ連邦研究教育省(BMBF)および欧州委員会研究・イノベーション総局(DG-RTD)と連携活動を行っている.日独連携では2019年1月に自動運転に関するヒューマンファクターと社会経済インパクトの研究分野での共同研究計画が承認され,また,2020年には新たに安全性評価,サイバーセキュリティの研究分野での共同研究計画が承認され,現在4つの研究分野で連携活動が行われている.日EU連携では欧州委員会が進める研究開発枠組みプログラムであるHorizon 2020のプロジェクトとの連携活動についてオファーがあり,現在Horizon 2020傘下の3つのプロジェクトと連携活動が行われている.

  • 中條 覚
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 186-188
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ダイナミックマップの国際連携活動は,国内におけるSIP-adus研究開発成果をもとに行っている.活動の主たる目的は,SIP-adus,特にその中でもダイナミックマップに関する活動および研究開発成果を海外に周知するとともに,それらに関するフィードバックを得ることである.具体的な活動は,各種国際会議での発表等,国際標準化活動,業界標準活動,日米欧三極連携活動に大別できる.SIP第二期のこれまでの活動においては,ITS世界会議をはじめとする複数の国際会議での発表とともに,ISO17572-4(高精度相対位置参照手法),ISO20524-1,2(地理データファイル)の3つの国際標準成立,デジタル地図に関する業界標準活動であるOADF(Open AutoDrive Forum)へのステアリングメンバとしての正式な参画,またOADF参加団体であるADASIS(Advanced Driver Assistance Systems Interface Specifi cation Forum)との今後のSIP-adus実証実験での協力に関する覚書締結といった成果を得ている.

  • 北﨑 智之
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 189-192
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    自動運転のヒューマンファクターは,自動運転の安全性や社会受容性に関わる重要な側面である.また人を理解することは,基盤研究と位置付けることもでき,いわゆる協調領域を多く含む.SIP第1期,第2期を通して,積極的な海外連携により,SIPヒューマンファクター関連プロジェクトの課題設定や研究方法の妥当性を検証するとともに,成果を国際的に発信してきた.また国際標準への成果の織り込みに積極的に取り組んできた.本稿では,その具体的な活動を紹介する.

  • 谷口 悟史
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 193-195
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    より安全,効率的で自由なモビリティ社会の実現のために,自動運転車両の実用化と展開が期待される中,『どのような考え方で社会受容性のある安全性判断を行うか』という安全性評価基準と,『多様な交通状況における安全性をどのように包括的に評価するか』という安全性評価手法の整備が急務である.国内においては安全性評価仮想環境構築を推進する内閣府支援のDIVPと,安全性評価シナリオデータベース構築を推進する経産省支援のSAKURA を立ち上げ,自工会がこれらのプロジェクトの横串を指す形で技術戦略を示しながら産官学で連携して安全性評価基準と安全性評価手法を支える安全性評価基盤技術の構築を行っている.各国でも多くの安全性評価の研究プロジェクトが活発に立ち上がっており,国内だけでなく国際も含めてプロジェクト間で密に連携し,国際基準・標準,共通基盤技術の確立に向けたテコとなる連携体制の構築・運営が重要である.

  • 小川 伯文
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 196-199
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    Connected Vehiclesの国際連携活動として,SIP-adus WorkshopやITS世界会議などの国際会議を通じてSIPで取り組んでいる通信を活用した協調型自動運転関連施策の情報発信や,国際会議への参加を通し海外の関連活動の情報収集や海外の専門家とのネットワーク作りを行ってきた.特にSIP-adus Workshopでは開催期間中海外の専門家に直接SIPの活動の紹介を行うことができ,また,本音レベルでの意見交換をすることができた.一方,欧米で開催される国際会議は,各国の取り組みや様々な企業の考えを聞くことで,幅広い情報を入手することができた.本稿ではこれら活動の概要を紹介する.

  • 上原 茂
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 200-202
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    自動走行システムの基盤となる高度な地図情報や地図上にマッピングされる自動車,人,インフラ設備等の情報は,主に外部ネットワークから取得することが想定されている.

    こうして得られた情報は,自動走行システムによる車両制御に活用する目的で,車両の制御系/情報系の機器に送られるが,このような状況は従来の自動車にはなかったサイバーセキュリティ問題を引き起こす要因にもなっている.また,UNECE WP29におけるUN-R155/R156の合意に伴って,法規の観点からもサイバー攻撃への対策が必要となっている.

    このような問題を解決するために,「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)/新たなサイバー攻撃手法と対策技術に関する調査研究」では,出荷後における新たなサイバー攻撃への対策技術として,侵入検知システム(IDS : Intrusion Detecting System)に着目し,IDS導入時における評価・テストのベースラインとなるIDS評価ガイドラインを策定する.

    また,実際にインシデントが発生した際の初動対応を支援するための仕組みづくりとして,コネクテッドカーの脅威情報の収集・蓄積に係わる技術要件の検討およびハニーポット等による収集実験を実施する.

    「IDS評価ガイドラインの策定」については,IDS検知機能の評価項目へのフィードバックを目的として,2020年に公表された新たなサイバー攻撃の調査を行ない,ベンダー3社に対してアンケートおよびヒアリングによる仕様調査のほか,NIDS(Network IDS)の検知機能を中心に,テストベッドや車両ベンチといった実機環境によるIDSの性能評価項目について検討中である.

    「コネクテッドカーの脅威情報と初動支援の調査研究」については,脅威情報を業界で共有することが初動支援に寄与するという仮説のもと,先行するIT業界での脅威インテリジェンス活動および,脅威情報収集・蓄積方法などを解析した上で,脅威情報の収集実験として,アフターマーケット製品(例:OBDを介して接続される外部機器)を模したハニーポットの検討および観測実験を行う予定である.

  • 大口 敬
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 203-205
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    社会経済インパクトに関する国際連携の取組みは,日独連携の枠組みを中心に進められている.具体的には,カールスルーエ工科大学(KIT)とドイツ宇宙研究所(DLR)の研究者を中心とするドイツ側の研究プロジェクトCADIAと,日本のSIP-adus第2期で2018-2021年度に東京大学・同志社大学が受託した「自動運転による交通事故低減等へのインパクトに関する研究」プロジェクトとが連携している.これは,ドイツ連邦研究教育省(BMBF)と日本の内閣府SIP-adusとの間で,2019年1月開催の日独・二国間連携運営会議(Steering Committee)で,日独連携研究として認められた.2019年10月にはドイツで専門家が集まる会合を持ち,2020年11月のSIP-adus Workshop 2020では,日独連携を中心としたセッションも開催し,自動運転普及のモデル化や,自動運転による新しい交通サービスの社会受容性などについて,国際的な共通の認識や国や文化の違いによる認識の違いなどに関する意見交換が実施された.また,日米欧三極会議を通じたインパクト評価に関する情報交換も定期的に行われている.

  • 外山 友里絵
    2021 年 2021 巻 1 号 p. 206-209
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    自動運転の実用化に向けて,自動運転を活用したサービスのユースケースやビジネスモデル等の検討は重要である.国内外において,自動運転を活用したサービスの実証実験は行われているものの,実証実験から実装に向けたステップアップの際に生じる課題とその対応策等については様々な検討や議論の途上段階である.そこで,国際連携活動においてもサービス実装推進という観点において,SIP-adusワークショップ等を通じた情報交換を行ってきた.本稿ではその取組状況を紹介する.

7. その他の成果と取組等
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