(1) 食塩の固結現象の定量的解析の過程において未検討であつた定常条件下の平均粒径d, 粒度分布の型およびひろがりによつて定まる定数σ, 結晶表面のミクロ的な粗さを含めた粒子の形状によつて定まる定数ψ, 水分mおよび不純分xの影響について調べ, 下記の定常条件における固結現象の式を完成した. すなわち,
y=k
2θ
1/2e
(k1t+ν/d) p-k
2'θ
-1/2e-
(k1't-ν/d) pν=f (σ, ψ, m, x)
である. ただし, yは固結強さ, pは圧力,. tは温度, θは時間, k
1は物質の種類によつて定まる常数, k
1', k2, k2'は常数であつて, 第二項は体積変化等の固結現象とは直接関係のない現象に消費される圧力に関するものであり, 強い固結条件においては無視することができる.
(2) 上述の式においてνは充填状態に関する函数であると考えられる. σについては一般の国内塩の分布の型を正規分布であると見なしても大過なく, その場合に標準偏差が大きくなるほどνの値も大きくなる.
(3) 定常条件下の固結現象において水分mの果す役割は任意の圧縮圧力のもとで食塩の充填状態が変化する場合の結晶間の摩さつに対する抵抗を変化させることにあると推定され, σ, ψ, x等の因子とともにνの値, すなわち充填状態に関する見掛けの平衡状態を定めるものと考えられる. 不純分xは附着液の粘度に影響するためψやmと同様の意義を有するが, 実際上その影響はきわめて小さいと考えられる.
(4) mに対するνの変化はサンプルによつて非常に異つた性質を示すため定量的に表現することは困難であり, νの値は個々の事例について実測により定めなければならない.
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