小麦粉の代わりに米粉を用いてパンを焼成すると,パンの膨張に必要なグルテンがないため発酵時の気泡を保持できず密に詰まった膨らみのないパンとなる。本研究ではエクストルーダー処理した
アルファ化米
粉の添加が焼成パンや生地の特性に与える影響について検討し,グルテンフリー米粉パンの食味改善を行うことを目的とした。もち粉入り米粉パンにおいて,
アルファ化米
粉で一部置換することにより,ヤング率や体積の改善効果が認められた。
アルファ化米
粉の置換割合が15 %のパンは,気泡と膜厚が最も大きく,食感が最も好ましくなった。一方,粥入り米粉パンにおいては,
アルファ化米
粉置換により体積やヤング率が有意に変化せず,
アルファ化米
粉置換による物性改善効果が期待できないことが明らかとなった。
もち粉及び粥入り米粉パンの動的粘弾性を測定したところ,両者とも
アルファ化米
粉置換により生地のG’
とG”がともに増加した。しかし,もち粉入り米粉パンにおいては置換割合が20 %以上でG’とG”が減少しており,この結果は,官能評価やヤング率の測定で認められた
アルファ化米
粉添加時の変化と一致していた。以上から未糊化の米粉の一部を
アルファ化米
粉で置換することにより生地の粘弾性が変化し,焼成後のパンの物性が改善される可能性が見出された。
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