シイタケ菌床栽培で培養期間中の培養温度の上昇が子実体発生に及ぼす影響について検討した.通常の培養温度を21℃とした.菌糸が培地全体にほぼ蔓延する培養前期と,培地の褐変がほぼ終了した培養中期に5日から10日間,培養温度を21℃から30℃にすると子実体発生量が増加傾向となった.一方,発生操作開始5日前に温度を30℃にすると発生量が減少傾向となり,培養の前期,中期,発生操作直前にそれぞれ3日間,培養温度を35℃にすると発生量は減少傾向となった.特に,発生操作3日前に35℃にすると発生操作後の培地が害菌に汚染されて発生しなかった.このことから,発生操作直前に培養温度が高くなると,子実体発生に悪影響を及ぼすことが分かった.また,培養前期と中期に温度を21℃から35℃にした時の培養袋内の二酸化炭素濃度は,培養の中期が前期に比べて高く,菌糸の活動が活発であることが示されたことから,培地の褐変が終了した培養中期の培地は,前期の培地に比べて高温に対して耐性があると考えられた.
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