日本応用きのこ学会誌
Online ISSN : 2433-0957
Print ISSN : 1345-3424
10 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 阿部 正範, 飯田 繁, 大賀 祥治
    原稿種別: 本文
    2002 年10 巻3 号 p. 129-134
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    シイタケ菌床栽培で培養期間中の培養温度の上昇が子実体発生に及ぼす影響について検討した.通常の培養温度を21℃とした.菌糸が培地全体にほぼ蔓延する培養前期と,培地の褐変がほぼ終了した培養中期に5日から10日間,培養温度を21℃から30℃にすると子実体発生量が増加傾向となった.一方,発生操作開始5日前に温度を30℃にすると発生量が減少傾向となり,培養の前期,中期,発生操作直前にそれぞれ3日間,培養温度を35℃にすると発生量は減少傾向となった.特に,発生操作3日前に35℃にすると発生操作後の培地が害菌に汚染されて発生しなかった.このことから,発生操作直前に培養温度が高くなると,子実体発生に悪影響を及ぼすことが分かった.また,培養前期と中期に温度を21℃から35℃にした時の培養袋内の二酸化炭素濃度は,培養の中期が前期に比べて高く,菌糸の活動が活発であることが示されたことから,培地の褐変が終了した培養中期の培地は,前期の培地に比べて高温に対して耐性があると考えられた.
  • 稲冨 聡, 難波 謙二, 小平 律子, 下坂 誠, 岡崎 光雄
    原稿種別: 本文
    2002 年10 巻3 号 p. 135-140
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    ブナシメジMH025011株(ホクト(株))のビン栽培において,各栽培工程に対する光処理が子実体生産に及ぼす効果を調べた.1)培養工程において50lxで光処理を行った場合,暗黒下で培養したものに比べ子実体収量がやや増加した.2)芽出し工程を暗黒下で行ったビンでは栄養菌糸体が菌床面に繁殖するのみで,原基は形成されなかった.ビン当たりの茎数増加,収穫時の新鮮重量および茎の伸長に対する最適照度は2lxで,傘の生長に対する最適照度は30〜100lxだった.3)生育工程を暗黒下で培養すると,茎の生長が一定方向に定まらず,傘の生長は極めて悪かった.子実体の伸長は2〜2000lxまでは照度を高くするにつれて抑制された.傘の直径は500lxで最大径を示し,新鮮重量は200〜500lxで高収量を示した.傘の色は30lxでは淡灰褐色,100lx以上では暗灰褐色を示した.
  • 難波 謙二, 稲冨 聡, 森 光一郎, 下坂 誠, 岡崎 光雄
    原稿種別: 本文
    2002 年10 巻3 号 p. 141-146
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    ブナシメジ(Hypsizygus marmoreus)の子実体原基形成(芽出し工程)および子実体形成(生育工程)期において,4種類の発光ダイオード光源(青色光(460nm),緑色光(520nmn),黄色光(592nm),赤色光(630nm))による光照射の効果について調べた.芽出し工程においては,黄色光や赤色光を照射した場合,子実体原基は全く形成されず菌床表面に気中菌糸の発生が見られた.原基形成の誘起には青色光が最も効果的であった.緑色光はある程度の原基形成はみとめられたが気中菌糸の発生も部分的に見られた.子実体原基形成時の青色光の最適照度は1lxであった.生育工程においては,茎の伸長抑制や傘形成のために音色光が最も効果的であった.一方,黄色光や赤色光は効果が見られなかった.茎長,傘径,傘の着色を考慮すると,青色光の最適照度は60lxと考えられた.
  • Yoshie Terashima, Hisao Igusa, Shoji Ohga
    原稿種別: 本文
    2002 年10 巻3 号 p. 147-154
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    脱脂米糠と生米糠(対照)を使って,シイタケの菌糸体成長と子実体収量に関する試験をおこなった.培養期間を119日あるいは126日とした栽培試験では,脱脂米糠と生米糠の培地間に有意な収量の差はなかった.特に,98日から126日の培養期間では,脱脂米糠培地において個体重の大きな子実体の割合が大きいという優位性が認められた.一方,119日間より短い培養期間では脱脂糠培地での収量は少なかった.このことは,油分がないこと,およびエルゴステロール含有量がより少なかったことから菌糸体量が少なかったことが原因と考えられた.
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