日本応用きのこ学会誌
Online ISSN : 2433-0957
Print ISSN : 1345-3424
8 巻, 4 号
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  • 稲冨 聡, 池田 静香, 小平 律子, 岡崎 光雄
    原稿種別: 本文
    2000 年 8 巻 4 号 p. 173-181
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    菌株のハナサナギクケ(MH19910,MH19912,MH19915)を用いて,その栽培工程で,CO_2濃度の違い(1,4,9ml/L)によるシンネマ形成への影響を調べた.PDA培地で培養した時の菌糸生長は,MH19910は9ml/Lで抑制され,MH19912は各濃度で影響がなく,MH19915は4ml/Lでやや促進された.一方,栽培用培地を用いて各CO_2濃度で培養した時の発生生育への影響は,MH19915は,栄養菌糸の生長量と比例して収量の増減を示したが,MH19910は,培養中の栄養菌糸の生長が抑制されたにもかかわらず収量が増加する傾向が見られた.発生及び生育工程に対する各CO_2濃度の影響は,収量,発生本数,分岐率は各菌株とも炭酸ガス濃度の上昇に比例して減少した.しかし,分生子柄束の生長は3菌株とも異なった挙動を示し,MH19910のみはCO_2濃度の上昇に比例して徒長した.
  • 稲冨 聡, 難波 謙二, 小平 律子, 岡崎 光雄
    原稿種別: 本文
    2000 年 8 巻 4 号 p. 183-189
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    ヒラタケMH00608株(ホクト産業(株))のビン栽培において,各栽培工程に対する光処理が子実体生産に及ぼす効果を調べた.1)培養工程において50luxの光処理を行ったビンは,全てにおいて培養中に原基が形成された.しかし,暗黒下で培養したビンでは培養中に原基は形成されず,収穫時の収量が多かった.2)芽出し工程を暗黒下で行ったビンでは栄養菌糸体が菌床面に繁殖するのみで,原基は形成されなかった.ビン当たりの茎数の増加に対する最適照度は2luxで,収穫時の新鮮重が最大となる最適照度も2luxであった.3)生育工程を暗黒下で培養すると,茎が肥大して,傘の発育が不良となった.子実体の伸長に対する最適照度は約30lux,最大収穫量に対する最適照度は200-500luxであった.また,最大傘径を示した照度は200luxだった.子実体の色は,2-100luxでは青みを帯びた灰褐色,500lux以上では茶色がかった灰褐色を示した.
  • 熊田 淳, 青野 茂, 北本 豊
    原稿種別: 本文
    2000 年 8 巻 4 号 p. 191-196
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    ナメコ(Pholiota nameko)子実体発生不良株の継代培養により,扁平な菌叢を形成する脱二核化菌糸体が得られた.この脱二核化菌糸体は,和合性の核を受容して二核化する能力が喪失していた.この能力の喪失および同時に現れた扁平な菌叢を形成する形質の遺伝性について解析した.この脱二核化株と正常株との交配株から得られた担子胞子由来一核株の二核化能力は,2因子変異の仮説に対して有意の範囲内にあった.しかし,異常株との戻し交配株では,2因子変異に対し観察値が理論値と異なった.また,担子胞子由来核株における菌叢は,別の遺伝形質の欠損の結果として扁平な菌叢を形成すると考えられた.一万,2種の一核親株のいずれの交配型とも交配しない担子胞子由来一核株が,約45株中2〜6株出現した.この原因は,二極性のナメコ不和合性Aβ因子内における減数分裂過程での組み換えで生じる欠損と考えられた.
  • 衛藤 慎也, 谷口 實
    原稿種別: 本文
    2000 年 8 巻 4 号 p. 197-202
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    林地土壌中に生息するトリコデルマ属菌に耐性のある,マツタケの林地接種用接種源の作成を目的として,殺菌剤を添加したバーミキュライトを支持体とする培地でマツタケの菌糸体を培養することを試みた.トリコデルマ属菌の生育を阻害しマツタケの菌糸体生長に著しい影響を及ぼさない,殺菌剤の培地への添加濃度は,ベノミルでおよそ10ppm,TBZで15〜30ppmであった.そこで,ベノミルを10ppmあるいはTBZを15ppm添加した培地を用いてマツタケ菌糸体を培養し,林地接種用接種源を作成した.これらの接種源にトリコデルマ属菌の菌糸体を接種しても,トリコデルマ属菌は全く生長しなかった.
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