日本応用きのこ学会誌
Online ISSN : 2433-0957
Print ISSN : 1345-3424
7 巻, 4 号
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  • 具 昌徳, 金 載水, 趙 南〓, 閔 斗植, 大賀 祥治
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 4 号 p. 169-174
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    シイタケ菌糸の含水率を43, 55, 64, 69%に調整して菌糸成長ならびに原基形成におよぼす影響を4種の菌株で検討した.含水率が43%では菌糸蔓延が抑制されたが,山林6株では影響が少なかった.山林4株は含水率43, 69%で成長抑制を受けた.含水率64%で菌床の重量減少率が最も高くなった.重量減少率は菌糸蔓延度と良く対応していた.ただ,原基形成率は菌糸成長速度,重量減少率のいずれとも相関していなかった・含水率69%で原基形成率が最も高くなった・エルゴステロール含有量は含水率55, 64%の方が43,69%に比べて高くなった.原基形成率とェルゴステロール含有率との相関はみられなかった.菌床の含水率が菌糸蔓延や原基形成におよぼす影響は,菌株の種類によって影響を受けることを示した.
  • 吉川 賢太郎, 岡田 崇, 山中 勝次, 坂井 拓夫, 寺下 隆夫
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 4 号 p. 175-180
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    6系統のマイタケ子実体を試料に,その熱湯抽出物の抗変異原性の検討を行った.その試験法はS. typhimurium TA100,アルキル化剤であるEMS (Ethyl methanesulfonate)を使用するAmes testを用いた.最も効果のあったマイタケ抽出物はSample Hで,1mg/plate濃度で約50%の変異原性を失活させた.しかし多くの野菜,果物に比較して,その効果は希薄と思われた.またマイタケ抽出物中に含まれていると思われるβ-1,3glucanについて,市販のβ-1,3glucanを用いて検討し,抗変異原性および生物的抗変異原性が認められた.その機序はβ-1,3glucan とEMSの複合体の生成やDNAのメチル化除去修復過程で作用していることが推測された.
  • 角田 光利, 日高 忠利, 安藤 正武
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 4 号 p. 181-188
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    シイタケほだ木に対してニマイガワキンの子のう胞子懸濁液を種々の方法で接種した.シイタケほだ木へのニマイガワキンの侵入部位を明らかにするために子座形成率[(=子座率):ほだ木表面積に対する子座面積の割合]を比較した.子のう胞子がほだ木に侵入するには樹皮から辺材部に達する傷が必要であった.また,子のう胞子懸濁液の接種時期と子座形成率との関係を検討した.子座形成率はシイタケ接種1か月前および同時期は高かった.しかし,シイタケ接種2か月後は子座形成率は低かった.これらの結果から子のう胞子による侵入はシイタケ接種時期以前に起こることが示唆された.春に子のう胞子をクヌギ生立木に接種し,同年の冬に伐倒後,シイタケを接種し,通常の方法で伏せ込んだ.この場合本ほだ木の子座形成率は高かった.これらの結果から生立木にも子のう胞子による侵入と定着が起こることも示唆された.
  • 岡村 徳光, 濱田 和美, 竹野 智美, 奥田 展子, 大杉 匡弘
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 4 号 p. 189-195
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科ホームベーカリーを用いて5%マイタケを添加したパンを焼いたところ,標準のパンに比べ著しく体積と比容積が減少した.マイタケの添加は.パン酵母によるガスの発生に影響を与えた.発酵4時間後の卜ータルガス量は,標準生地の約2.1倍に増加した.発酵6時間後では,マイタケを含む生地の上部の表面にいくつかの穴が形成されていた.ガス発生はマイタケ中のグルコースとマンニトールの消費に伴って増加した.マイタケの添加は低分子の糖(発酵糖)の生産を増加させた.それゆえ,マイタケの添加は,酵母に対する栄養源としての発酵糖を供給し,このことは過剰なガスの発生を促し,生地表面に穴を形成し,そこからガスが放出するために,結果として,生地の体積が低くなるものと結論づけられた.したがって,全自動ホームベーカリーを使用した場合では,生地の表面に穴が形成することで,焼く前に生地が破壊し,体積が低く崩れた状態で焼かれるものと推測された.
  • 北本 豊, 藤野 郁夫, 森 信寛
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 4 号 p. 197-202
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    ザラミノヒトヨタケの菌糸体は栄養生長過程にマンニトールを蓄積するが,その半量以上が子実体に転流したと推測された.一方,子実体中のマンニトールは子実体の発育の全過程で増大した.本菌の菌糸体はNAD依存性マンニトール脱水素酵素(NAD-MDH)のみを含有したが,子実体はNADP-およびNAD-MDHを保有していた.菌糸体のNAD-MDH活性は子実体形成の開始の時期まで増大し,その後減少した.一方,子実体ではNAD-およびNADP-MDHとも発育中期まで活性が上昇し,成熟が進むと減少した.NAD-MDHのマンニトール生成反応の最適pHは7.0で,フラクトースおよびNADHに対するKm値は6.0×10-<-2>Mおよび1.0×10^<-5>Mであった.同酵素によるマンニトール酸化反応の最適pHは8.8で,マンニトールとNADに対するKm値はそれぞれ2.8×10^<-3>M and 2.3×10^<-4>Mであった.一方,子実体中のNADP-MDHのフラクト-スおよびNADPHに対するpH7.0でのKm値は3.3×10^<-1> and 1.4×10^<-5>M,マンニトールおよびNADPに対する最適pH9.6での値は1.1×10^<-2>M and 1.0×10^<-4>Mであった.これらの結果から,本菌ではマンニトールは栄養菌糸体で生成したのち子実体に転流し,そこに含まれるNADP-MDHによりフラクトースに転換した後,解糖経路に流入することが示唆された.
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