小学校・中学校の理科授業で行う地学分野の実験は,野外実習での観察と関連し,ともに重要であるが,実施が困難な現状にある.小学校第6学年の単元「大地のつくりと変化」で行う“地層をつくる”実験ついて,実験装置の作製方法,試料の作製,実験の手順,観察ポイントを示し,さらに実験の背景にある堆積学および地質学的な意味について解説した.この実験方法は,子どもたち自身が体験できる簡便なものである.
2014年10月8日に起きた皆既月食をデジタルカメラで撮影し,その画像を用いて三重県内の都市の相対位置関係を求めるという試みを行った.この試みは,地上の位置関係が天球上に反転して投影されるという視差の特徴を利用したものである.都市の位置推定のためには,観測地点間での微小な月の視差を検出することが必要であり,県内各地で撮影された月食画像を集める必要がある.皆既月食当日,三重県内は曇天であったが,市民からの協力も得て県内各地から500枚以上の画像が集まり,そのうちの122枚が解析可能な画像であった.解析の結果,三重県の6都市のうちの3都市における月の視差を5″以下の精度で求めることができ,月食画像から推定した都市の位置は既存地図とほぼ一致した.この結果は月食画像を用いて県という狭い範囲内の都市位置を求めることが可能であることを示すものである.
高等学校地学基礎において,実際の空間の中での体験を通して,その空間像のイメージを形成することで地層の広がりを把握するための地層観察の模擬体験活動を考案した.その際,複数の露頭情報を総合して考え,水平方向・鉛直方向の地層のつながりを考えることを意図して立体的に考えることができるワークシートを作成・活用した.この活動は,ほとんどの生徒に肯定的に受け入れられており,地層のつながりや重なりを考えることや他の地点と組み合わせて地層の広がりを考えさせるうえで有効な手立てとなりうることが確認された.
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