地図にあるランドマークの位置や関係を尋ねると,意味的に関連するランドマーク間の距離が,そうでないランドマーク間の距離に比べて短く想起されることが知られている(Hirtle & Mascolo, 1986)が,そうしたランドマークの意味的関連性の影響は,高齢者では小さいとの報告がある(Thomas et al., 2012).しかしこれらの先行研究では,地図を記憶するようにとの教示をした課題が用いられており,日常的な空間探索や地図利用の結果としての地図の記憶とは異なる可能性がある.そこで本研究では,地図上で指定されたターゲットを探索するという課題を作成し,高齢者と若年成人各20名に実験を実施した結果,若年成人ならびに高齢者群いずれにおいても,意味的に関連するランドマーク間の距離が短く推定される意味的関連性の効果が示された.加齢変化と意味処理の有効性の関係について考察する.
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