カウンセリング研究
Online ISSN : 2186-4594
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55 巻, 1.2 号
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原著
  • 杉﨑 雅子, 飯田 順子
    原稿種別: 原著
    2023 年 55 巻 1.2 号 p. 1-15
    発行日: 2023/05/31
    公開日: 2023/12/09
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は,スクールカウンセラー(SC)による移行期支援の認識と行動を測定する尺度を作成し,移行期支援行動に影響を与える要因について検討することであった。小・中・高校のSC325名を対象に質問紙調査を行った。因子分析の結果,5因子19項目から構成される「移行期支援認識尺度」と,8因子31項目から構成される「移行期支援行動尺度」が作成された。また,移行期支援行動の影響因を検討するため,移行期支援の認識,SC経験年数,臨床経験,移行期支援をはじめたきっかけを規定変数,移行期支援行動を従属変数とする重回帰分析を実施した。その結果,移行期支援をはじめたきっかけや臨床経験が移行期支援行動に正の影響を示したが,移行期支援の認識の影響は限定的なものであった。SCの移行期支援行動を促進するためには,移行期支援の仕組みを整え,有効な引き継ぎ方法をシステム化し,連携や移行支援に関わるSCの技術を向上させることが必要であると考えられた。

  • 野中 俊介, 境 泉洋, 加藤 隆弘
    原稿種別: 原著
    2023 年 55 巻 1.2 号 p. 17-26
    発行日: 2023/05/31
    公開日: 2023/12/09
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,ひきこもり家族会への期待と実際に家族会から得られた結果,そしてそのギャップ(差異)を明らかにすることを目的とした。加えて,この期待と結果との差異と参加者が望む支援との関連をテキスト分析により予備的に検討した。本研究では,50以上のひきこもり家族会をもつ全国ネットワークから研究参加者を募り,家族会に対する期待や家族会から得られた結果などを問う10項目について回答を得た。父親61名,母親165名の回答を分析対象とし,その平均年齢は 65.11歳であった。混合モデル分析の結果,家族会への期待は「子どもへの具体的な関わり方を学びたい」が最も高く,家族会から得られた結果は「同じ立場の家族と交流したい」が最も高い傾向にあった。期待と結果の差異に対する結果から,参加者は子どもへの具体的な関わり方について期待していたほどには学べていない傾向がある一方で,期待していたよりも自分の経験を共有することで気持ちが楽になる傾向にあることが示された。

資料
  • 尾野 裕美
    原稿種別: 資料
    2023 年 55 巻 1.2 号 p. 27-37
    発行日: 2023/05/31
    公開日: 2023/12/09
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,キャリア自律とキャリア焦燥感喚起状況について性別および年代別の特徴を検討し,それぞれの関連性を検討した。就業者1,200名を対象としたインターネット調査によって,キャリア自律心理(「職業的自己イメージの明確さ」「主体的キャリア形成意欲」「キャリアの自己責任自覚」),キャリア自律行動(「職場環境変化への適応行動」「キャリア開発行動」「ネットワーク行動」「主体的仕事行動」),キャリア焦燥感喚起状況(「キャリア探索の停滞」「所属組織からの低い評価」「友人・知人のキャリアとの上方比較」「ワークライフバランスの欠如」)を測定した。相関分析の結果,おもに,(1)すべての群において「主体的キャリア形成意欲」は「友人・知人のキャリアとの上方比較」と正の相関があること,(2)20 代と30 代の女性において「職業的自己イメージの明確さ」は「キャリア探索の停滞」と負の相関があること,(3)40代において「主体的キャリア形成意欲」は「キャリア探索の停滞」と正の相関があることが示された。

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